読書の欠片ネタバレあり
08≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫10
スポンサーサイト  [Edit]
-------- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告
|
五月の鷹  [Edit]
2006-01-10 Tue
 時はアーサー王の治世。ブリテンを平定し国内に秩序と正義をもたらした彼の時代は安定しよく治まっているのだけど、その実常に王位を巡る陰謀がうごめいている。円卓の騎士の一人、アーサーの甥にしてオーク二-の惣領息子ガウェインは知らず知らずにその罠に足を踏み入れ、いわれなき罪を着せられて裁きを受けることになった。神聖裁判…与えられた試練に耐え得れば潔白だと認められ、そうでなければ命が奪われる。ガウェインに与えられた試練は「すべての女が最も望んでいることとは何か」を正しく答えること…そうして彼は裁きの一年後までに答えを探すべく放浪の旅に出たのだったー

 円卓の騎士の伝説と言っても有名どころ以外はあんまり(つか全然)詳しくなく、この物語の元になったエピソードも知らなかったんですが…あちこちにさりげなく他の騎士たちの伝説をちりばめつつもかなりオリジナルな物語になっているようで。とりわけこのガウェインの生真面目さときたら、出てくる女たちの現実的且つそれぞれの立場で幸せを追求しようという直接的な欲望に対しても何とか誠実に対応しようと汲々とし、時には逃げ出したりしてるあたりが何とも騎士らしくなく(笑)、伝説というよりもっと身近な物語になっているのです。

 「ガウェインとは、ウェールズ語で『五月の鷹』という意味である」…うおーカッコええ!おまけに赤毛の犬を連れ赤毛の馬に乗った赤毛の男…しかも御前試合で優勝するほどの剣士と来たら好みv以外の何者でもないのだが、実は彼の本分は強さよりその騎士らしくないほどの生真面目さにあるのだ。探求の旅の途中だというのに女の世捨て人の間で雑役夫代わりに働いてみたり、あちこちの女たちの求愛の視線から必死に逃げ出そうとしてみたり。挙げ句に人里から離れて隠者になろうかと思ってみたり。真剣なんだけど段々探求の旅からルートが外れていくのがなんていうかかわいい…全然ローマンティックじゃない詩に夢中になってみたりね(笑)。騎士らしく冒険とロマンスを求めるでなく、むしろ一族の女性たちの貪欲な征服欲を恐れているが故にいつの間にか本当の自分というものを奥深く閉じ込めていた彼が、ようやくささやかな幸せを見つけたのがよかったね!と。

 テーマ自体は伝説の形を借りながらもとっても現代的ですねえ~。これは元になった伝説でもこの答えだったのかな?コーンウォールの女系の歴史や古い宗教が気になる…。まあ神話の女性たちって結構強い人多いですが、その生き方や人生に意思を尊重してくれる男性ってそうはいないのじゃなかろうか?主役はガウェインだけど「女性の物語」って感じがしたー。それとも「騎士」とは本来そうあるべきものだという作者の主張なのかもしれません(?)。そういう意味ではガウェインは騎士の中の騎士の鏡だよね~。

 従兄弟にして親友のイウェインと兄大好きな弟たちとの関係が楽しかったなー。もっといろいろ読みたいとこだったけど、そこは本筋じゃなかったので残念っした(笑)

 アン・ローレンス(福武書店)
novel | アン・ローレンス
CM:0 | TB:0 |
| 日々是好日 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。