読書の欠片ネタバレあり
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少女探偵サミー・キーズと小さな逃亡者  [Edit]
2005-10-21 Fri
 4作目はクリスマス。犬の誘拐事件の責任を被せられ、しかも脅されて危険な探索をしないといけなくなるわ、家出少女を拾って送り迎えをすることになるわ、グレイビルさんの思わぬ秘密に触れることになるわ、ヘザーには邪悪な笑みを送らないといけないわ相変わらず大忙し。あ、クリスマスプレゼントも用意しないと…ヒー私だったら頭がわやになりそう(笑)。それに何より心を乱す母親のこともある。わずか13才でこれだけのことを抱えるのは本当に重いと思うんだけど、でもこれにひとつひとつ向かっていくことで、サミーの中に渦巻いてた感情が整理され、やらなきゃいけないことやなりたい自分が見えてくるのが分かるだよね~。痛快な楽しさの中に今回も人間の心理がなかなかに深く描かれてて思わず唸ってしまいます。

 一つは「許す」ということについて。ひとを許せず、恨むことを原動力にして人生を無駄にしてしまった何人かの大人たちの姿はリアルですねえ。それがどんな強い原動力になり得るか、一度そこに入り込んだら出るのがどれだけ難しいかはきっと子供にも想像がつくと思う。人の感情のままならなさに触れ、でも子供だからこそそこで間違わず正しく生かしていこうとする気持ちが響いてほろっときたよ…。ああしろこうしろとは言わないけど大事なことを教えてくれるハドソンの存在も大きいよなあ~…「それはきみしだい」「激流を遡ることに決めたなら、岩の間をぬっていけ」。必要以上に手を出さず自分で考えさせようとするハドソンと、拠り所にしながらも頼らず自分の意思で決めようとするサミーがいいのです。ラストのクリスマスプレゼントの章には泣かされたしな…涙を越えた先に力強さと光があって、ラストの一文がまたぐぐっと来るのよねえ~><

 もう一つは子供が「死」を乗り越えることについて。父親の死という概念を触れさせないようにしてる周りの大人たちの様子と、逆にそれ故に心の拠り所を見つけられなくて家出を繰り返すエリサの話は、さり気なく描かれてるけどこれまたなかなか深いですー。

 許しとか死とか、なんだかえらく宗教的で心理学っぽい話みたいだけど(笑)、やそんな押付けがましさは全然ないです。読んでて子供たちの心の成長がするっと入り込んでくるのよねえ。大人が思ってるよりずっと物事を深く感じとって考えてるってこと。越えようとする力が備わってるってことを素直ーに感じさせてくれて好きだなあ。あくまで13才のサミーの日常と(たまに非日常と)感覚がベースなのよね^^

 学校でのクリスマスのプレゼント交換は楽しそうだったわー。町をあげてのクリスマスパレードもそうだけど、クラスでお互いがサンタになってこっそりプレゼントを贈り休み前の最終日のパーティでに正体を明かすなーんて日本にはない習慣とか、英米児童文学の楽しい部分だと思う♪これがヘザーにいっぱい食わせるのにも一役買い、「あたたかくて、幸せで、平和な気分」にも一役買うんだから上手いわ~。ボーシュ巡査へのクリスマスプレゼントも効いてるしね。あちこちまあるく収まり満ち足りた気分になったところで、パーティの後の静けさと淋しさが、そしてまたささやかなあたたかさがやってきて余韻が残る。とってもクリスマスに相応しいお話でした~^^

少女探偵サミー・キーズと小さな逃亡者 ウェンデリン.V.ドラーネン(集英社)
コメントを読む(3)
サミー・キーズ  by おむらよしえ
読み始めました!サミー・キーズ。
お勧めどおり面白いですね~。早く次の巻が読みたいです。
いまどきのこどもでありながら、とんがりすぎてないところがよかったです。
管理人のみ閲覧できます  by -
>おむらさん  by banri
おむらさん、こんばんはー^^
これから読もうとしてた児童書は全然違うやつだったんですが、たまたま手に取ったのが面白かったものでつい長々書いてしまいました(笑)
気に入ってもらえました?嬉しいです~

>とんがりすぎてない
そうそう、そんな感じ。好奇心だけで突っ走るスーパー少女探偵じゃないとこもいい感じっす。状況や感情も少しずつ変化していってるので次の巻も楽しみです♪

>P.S.
こちらこそありがとうございました~v
novel | ウェンデリン.V.ドラーネン
CM:3 | TB:0 |
少女探偵サミー・キーズと消えたゴブレット  [Edit]
2005-10-19 Wed
 今回は感謝祭と家なき子とソフトボール。一見無関係な物事がちゃーんと絡み合っててますます物語に厚みが出てきたような気がします。言い回しや文章も好きだなあ~。私どっちかっていうとアメリカ的エスプリたっぷりの言い回しって苦手なんだけど、ニンジンスキーな犬グレゴリーのところとか、ドイツから来た交換留学生につられてついヤー(Ya=Yes)とかダス(Das=That)を連発してしまうとか(伝染性って…関西弁ですかい)細かいところがいちいち楽しい♪もちろん楽しいばかりじゃないんだけど、それが皆サミーの糧になってくところにしっかりした「物語」があるのです。

 まずは感謝祭。前回校内放送を私的ジャックしたことへのペナルティとして教会で奉仕活動することになったサミーだけど、そこで神父さまの十字架とゴスペル盗難事件発生。寄付金集めのためにゴスペルを歌う「慈悲のシスター」の出現で教会には微妙に不協和音が漂いはじめ…ミステリ要素で引っ張りながらも、教会の中の決して聖いだけでない人間模様が上手いなー。

 それから家なき子のホリー。施設に育ち、里親のところでも辛い仕打ちを受けてきた彼女はそこを逃げ出して川原で冷蔵庫の段ボールに暮らしている。それがサミーには「もう一人の自分」に思えて心が痛んでるのが伝わってくるんだよね。何とかしてあげたいという思いも他人事でなく、ホリーに心が寄り添ってるからこそ人を動かすんでしょう。

 そしてメインは何と言ってもソフトボール大会。マリッサも普段の大人し目の印象はどこへやら、ソフトボールとなると人が変わったようにクールなピッチングとリーダー気質も見せてくれて多いに見直したわ~やるじゃんv。宿敵ヘザーとも今回はソフトボール対決で、サミーにとっては父親キャッチャーミットっていうキーアイテムもある。父親を知らず、母親にとっても自分が生まれたことは「まちがい」だったんじゃないかと思ってるサミーにとって、それは唯一親の存在を証明する拠り所なのだ。あと、ヘザーがサミーを憎むのは何か理由があるんだろうと思ってきたけど、父親関係なのかなー?ますます気になります。

 三題噺それぞれに読みどころがあって面白く、しかもその三つをカクテルしてすごくおいしいディナーに仕上げてくれたのがお見事!親がいないことを憐れまず、今自分を分かってくれる人たちが周りにいてくれることを幸せだと思うことができれば…それはそこに辿り着くまでの一つひとつを自分で見、考えてしっかり受け止めてきたサミーの本心ではあるけれど、口には出せない思いもやっぱりあって。いろんな思いを飲み込んだ「感謝します」にぐぐっとくるのよね~。

 あと特筆すべきはボーシュ巡査がサミーを分かってくれる人の一人になったのが嬉しかったのと、「だれにでも貸すわけじゃないから、な」でしょう~v。いやーやってくれるわブランドン…その「、な」が凶悪///。まだまだ恋愛色は極薄だけど、却ってこんなのの方がラヴ度高いです、私(笑)かわいいなあv

少女探偵サミー・キーズと消えたゴブレット ウェンデリン.V.ドラーネン(集英社)
novel | ウェンデリン.V.ドラーネン
CM:0 | TB:2 |
少女探偵サミー・キーズと骸骨男  [Edit]
2005-10-19 Wed
 タイムリーにハロウィン。しかも今回の事件は古書ものvv。や、あんまりよくは知りませんが(オイ)アメリカンミステリでは初版本や稀覯本を巡るミステリって(多分)立派に一つのミステリ分野なのでは。少なくとも私は滅多に洋書ミステリ読まないのにジョン・ダニングの「死の蔵書」と「幻の特装本」は買ったぞ、えっへん。…つまり私が好きなんです(笑)

 というわけでハロウィンの夜、大きくて立派なのに電気も電話もないブッシュ・ハウスから飛び出してきた骸骨男に扮した泥棒にまたもやサミーはバッティング。そして泥棒もさることながら、その鬱蒼とした屋敷に世捨て人のように独りきりで住むチョーンシーが気になって首を突っ込んでしまうのだ。犯人を捕まえて事件を解決したいわけじゃない。元はとても優秀な大学講師だったという彼の家は,音楽とコーヒーの香りに溢れていたとハドソンは言っていたのに、何故今こんなさみしい暮らしをしているのかがサミーの心に引っ掛かるんだよね。

 学校ではマリッサに加えて新しい友達ドットが仲間入り。二人のキャラもしっかり立ってて学校生活は楽しいんだけど、サミーにはどうしても埋まらない淋しさがあるんだと思う。だから孤独な人に共鳴してしまうんだろうな…痛みが分かるから放っておけないのだ。ヘザーやグレイビルさんを憎めないのもきっと彼女たちの孤独を無意識に感じ取ってるからなのかもね。でも取り合えずまだ中学生。自分に意地悪な人に優しくできるほどサミーだって大人じゃないわけで、ヘザーには今回もキッチリ倍返ししてるわけですが(笑)。それでもヘザーがただ毎回サミーにやられる「だけ」のキャラには思えないからね~ここまでサミーを「だいっ嫌い」な理由はいずれ出てくるんだろうな。この二人がどう変わっていくのかが実は一番楽しみなところかな。

 前作ではまだイマイチどういう人か分からなかったハドソンも、段々キャラが立ってきていい感じ^^。推定72才だけど気持ちが軽やかで、サミーにとってはなくてはならない「味方」。そして「人生の師」でもある。何でも知ってるし何でこんなものまで…って物まで出てきたりするのでハドソンの過去にも興味があるけど、それよりハドソンとおばあちゃんが友達以上になれるかどうかも密かに楽しみにしてたりして(笑)

 そんなこんなでサミーの日常そのものがスリリングで、走り回りながらもいろんなことを感じて吸収していく物語が面白いこのシリーズだけど、ミステリとしても1作目よりぐんと面白いですv。ただ解決するだけじゃなくて事件を通してサミーが「人の心」を知って成長していくのがいい。今回は好きな古書ものってこともあるけど、段ボールの中の稀覯本さながらにセーターを手にいれるところには思わずにやっとしちゃうし、ラストはとっても幸せな気分になれてよかったな~^^。チョーンシーもサミーも、稀覯本の価値より大事で豊かなものを手に入れるのよね。そしてその気持ちを分かち合える人がいるってのが何より幸せなことだよなーv

少女探偵サミー・キーズと骸骨男 ウェンデリン.V.ドラーネン(集英社)
novel | ウェンデリン.V.ドラーネン
CM:0 | TB:0 |
少女探偵サミー・キーズとホテル泥棒  [Edit]
2005-10-17 Mon
 サミーはハリウッドスターになりたい母親に預けられておばあちゃんの高齢者専用マンションにこっそり暮らす中学1年生。見つかったら規約違反で追い出されるからこそこそ出入りしなくちゃいけなくて、誰かがおばあちゃんの家を訪ねてこればクロゼットに隠れないといけない。荷物だって最低限しか持ってない。だから退屈しのぎに双眼鏡で外を偵察していたら、向かいのホテルで男がお金を盗んでいるところを見てしまい…あろうことかその男に向かって手を振ってしまったのだった…!

 表紙のイラストがかわいいシリーズ。カワイイんだけどキラキラでも甘くもなくって好きなんだよね~…というだけで読んでみる気になったんだけど。翻訳の読みにくさがなくってなかなか面白かった。「ガールズ」シリーズあたりだと中学生でもいかにも外国っぽく背伸びしててYAって感じだけど、これは日本の中学生って言っても違和感がないような。まだまだ恋愛関係も初心だし安心(笑)…ってか元気がよくって、それでいて子供ならではの悩みや心の傷も抱えてるサミーが等身大で好感v

 読んだ印象は赤川次郎みたい…や、悪い意味でなく!(笑)女の子のイキがよくって魅力的なところとか、いくつかのミステリがきれいに解決されて丸く収まるところとか、事件を解決するのが中学生だったり猫だったりしても全然OKと思える爽快感とか。赤川次郎は「吸血鬼はお年頃」のシリーズと「三毛猫ホームズ」は結構長く読んでたなー。どれを読んでもハズレはほとんどないというのがすごいと思うけど、ただ長いシリーズだと主要人物たちの関係や気持ちにほとんど変化がないのがね。安心でもありそろそろいいかと思ってしまうところでもあったりして。最近のは全然読んでないので今もそうかは分かりませんが…。サミーが大人を当てにしないで事件を解決してもウソっぽく思えない話の持って行き方とキャラ作りの上手さが赤川次郎に通じるものがあるなと。

 「少女探偵」と言っても事件がメインってわけじゃなく。むしろサミーの学校生活や友人関係、日常のあれこれが読んでて面白い。マンションには常にサミーの規約違反の証拠を掴もうとしているグレイビルさん、入学したての学校ではしょっぱなにケンカして以来仕返しの機会を狙ってるヘザー、サミーが事件に首を突っ込むのにウンザリして相手にしてくれないボーシュ巡査といった敵の面々に、おばあちゃんや親友のマリッサや静かに見守ってくれるハドソンといった味方がうまーく配置されてて、それぞれとの会話や関わりの中で性格や問題が浮かび上がってくるのよね~。まだ12才だけど、その一つひとつに真剣に向かい合っていくサミーは、決して「何でもできるスーパーな女の子」じゃない。母親に置いていかれたことや信じてもらえないことに傷つき、意地悪にはキッチリお返ししてみせながら、少しずつ自分の居場所を作ろうとしてるのだ。

 これはまだ1作目なので、この後どういうシリーズになるのか分からなかったせいもあって「なかなか面白い」だけど、実はこれ、この先どんどん面白くなっていきます~v。日本の「子ども探偵モノ」にも多い子どもが事件を解決してナンボという、スカッと爽快だけどパターンが決まってるお子様向けミステリー…とはちょっと違う。何だろ、確かに犯人を捕まえたりヘザーをやり込めたりサミーの活躍は爽快ではあるんだけど、サミー自身はその爽快感に浮かれてないんだよね。それはサミーが本当に欲しいものじゃないから。事件を解決すれば母親が帰ってくるわけでも、安心して家や学校で生活できるわけでも、皆と上手くやっていけるわけでもないことをサミーは知ってる。毎回ミステリーはあれど、メインはその中で少しずつ変化し広がっていくサミーの世界なのです。以下シリーズの感想続きマース^^

少女探偵サミー・キーズとホテル泥棒 ウェンデリン.V.ドラーネン(集英社)
novel | ウェンデリン.V.ドラーネン
CM:0 | TB:0 |
| 日々是好日 |
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