読書の欠片ネタバレあり
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女教皇ヨハンナ 上・下  [Edit]
2006-01-10 Tue
 キリスト教が各地の異教を征服していった中世ヨーロッパに、教会の公式記録から抹殺された男装の女教皇がいた。当時のキリスト教において女とは罪の温床であり、学ぶことも考えることも許されてはいなかったこの時代に、ヨハンナは自らの理性と知性のみを信じて生き抜こうとするー

 ダヴィンチ・コードつながり(?)でこれも映画になりそう…と思ったらやっぱり制作中だとか(笑)。歴史の影の部分を扱った話や蘊蓄系は結構好きだし、男装の女性が知性を武器に男性社会でのし上がっていくってのが面白そう~と思って読み始めたんだけど、意外と爽快感はなかったな~(^_^;

 キリスト教に征服されたザクセン人を母に持ち、母が持つことを許されなくなったオーディンをはじめとする北欧の神々への信仰にも惹かれつつ、それでもヨハンナは学びたい一心でキリスト教の道を歩んでいく。神の実在性や神秘性を薄れさせるとして今となっては司祭たちからすら失われかけている古代の論理や理性を持つことは、たとえ男性であっても地位があろうともある種の危険性を孕んでいる。ヨハンナが本当に信仰しているのはキリスト教ではなくこういった真理や真実なのだ。けれどもそれを表立って言うことのできない時代、また幼い頃に刷り込まれた父母の関係から決して男に身を任せないと誓っていたヨハンナだけどそれでも好きになってしまったら心を止めるのは難しいわけで。だからヨハンナは常に身内に矛盾を抱え込んでいるんだよね~。男と女、信仰と科学的論理、自由や野心と愛情…。それでも科学や論理の持つ真理の力を学ぶこと考えることが一番の歓びだという「早すぎたヒロイン」ではあるのだけど。

 当時のキリスト教の蛮勇さ、異教徒との戦いや男性主義的な見方以外はありえなかった教会の現実、皇帝(政)と教皇(宗教)の共存してるようで実は一発即発な関係、教皇の座を巡っての貴族たちの権力争い…歴史的な部分はかなり忠実で雰囲気もありなかなか面白いんだけど、調べた史実をエンタティメントとして昇華するにはちょっとハッタリが足りなかったかな~(笑)。小説は一作目だそうなのでそのせいもあるかもしれないけど、ヨハンナの物語としてもうちょっとワクワク感があったらよかったのにな~と(自分の好みですが)。その点「ダヴィンチ・コード」の方がハッタリが効いてて歴史の謎を解き明かすってワクワク感があって面白かった。構成にミステリ要素があると面白いよね!…ってこれそもそもミステリじゃないのか…<殴

女教皇ヨハンナ (上) 女教皇ヨハンナ (下) ドナ・W・クロス(草思社)
コメントを読む(2)
おっしゃるとおり  by よっちゃん
はじめまして
第一級のサスペンスミステリーといっていいでしょう。だからもっと多くの人が読めるはずなのですが。
大歴史小説であり、立身出世物語であり、宗教批判であり、大恋愛小説です。
とにかく凄い傑作にめぐり合ったものです。
>よっちゃんさん  by banri
はじめまして、コメントありがとうございます。
サイトの方も拝見させていただきました^^
私が一番感じたのはヨハンナの中の女が持つ矛盾性でしょうか…男社会の中で失われた古代の知性を武器にのし上がっていくのならとってもエンタティメントだったと思うんですが、ゲロルトへの想いに引き裂かれてしまうのが何ともリアルで…それを超えて自己実現しようとする「女」の物語だなあと。
でもそういう女性たちが歴史の影にひっそり生きて道を繋いできたのかも…というのはロマンですね。
宗教と歴史物語部分は面白かったです~。
novel | ドナ・W・クロス
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| 日々是好日 |
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