読書の欠片ネタバレあり
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僕僕先生  [Edit]
2007-01-23 Tue
 表紙のかわいさにつられてみたら、またもファンタジーノベル大賞受賞作でした。新潮のこのあたりは「しゃばけ」といい「ゴメス」といいどうも表紙にツボつかれてしまうな。

 時は唐代、玄宗皇帝が楊貴妃に骨抜きにされる前、まだ若く英気に溢れていた平和な時代。県令の息子として恵まれた環境で育った王弁は、働くことに意義を見いだせず好んで無為徒食の日々を送っていた。そんな息子を苦々しく思いながらもすでに退官し自分の道教趣味(ひいては不老長寿の仙術)に突き進んでいる父親はある時、お前の人生観は老荘の無為自然の思想に通じるかもしれないと無理矢理な理屈を付けて、近年黄土山に住みついたという仙人の元に遣いに出すことにする。しょうがなく貢ぎ物を持って山を登った王弁だったが、そこで出会った少女の姿をした仙人に、仙骨はないが仙縁はあると太鼓判を押されて弟子入りすることになったのだったー

 文体や会話が現代的な割に、中国の歴史や官僚政治の在り方なんかのディティールがしっかりしてて、さらにそこに神仙の術やいろんな古い伝説があっけらかんと織り込まれるおおらかな感じが中国っぽいです。無為な人生を信条としてる息子と話してると寒天と話してるみたい、なんてのもうまいっと思ってしまった。しかしこれ、どんな話だった?と聞かれたら、うーん恋愛小説?と答えるしかないかも。普通この流れで行くと、仙人との旅を通じて王弁が成長する話になりそうかなと思うんだけど、まあ実際何もしたくない頃に比べると変わってはいるんだけど、基本的にはあんまり変わってないような。普通できない体験をいろいろしながら、世界を見ずに僕僕先生ばっかり見てたような気がします…笑。

 単なる好みですが、どうせならもっと視界が広がるような話が好きなのよね。王弁と僕僕の関係もね~、淡い想いを抱いて悶々したりちょっかいかけたりと微笑ましいっちゃ微笑ましいかもしれないが、どっか俗っぽいというか生々しいというか…うーんせっかく大きな世界観と時間とがあるのに惜しいなあと。そもそも僕僕は王弁のどこにどーして拘ってたんだろー。もっと世界を知り自分を知り、その上で二人の関係が変わっていくのなら好みだったんだけどな~。

 背景にあるらしい仙界回帰運動や、仙と人との関わりなんてのは面白そうだったんだけど深く触れられなかったしね。人界で起こってる蝗の害との戦いや政治の話にも、よく考えたら直接関係してないような。渾沌もどうなったんだ?だから結局「…恋愛小説、かな?」としか言いようがない…。仙人同士の会話とか中国の社会や伝説がさり気に語られたりする部分が楽しかっただけに、もっと王弁が積極的に関わってくれたら面白くなりそうだったのにー。

 まあでも、そもそも王弁てそういう積極的に人生送ろうってキャラじゃなかったか。一番面白かったのはその王弁が伝説の馬を手なずけるところで、そこは王弁のぬるいキャラが却って生きてました。あんまり一生懸命にならないところ。ムキにならずにとりあえずラッパの練習をはじめちゃうようなとぼけたところは意外と大物の素質があると思ったですが。だからキャラ的にはゆるいままでいいので、自分の目で世界を見て自分で考えたらもっとちゃんと大人になれたんじゃないですかね。どうも考えることは先生におまかせ、みたいなとこがちょっとスッキリしなかったのでした。

僕僕先生 仁木英之(新潮社)
コメントを読む(2)
  by 兎に角うさぎ
こんにちは。
やはりファンタジー<恋愛ですかね。
これからこの作家さんがどちらに進んでいくのか私は気になってます。
>うさぎさん  by banri
こんばんは~。
恋愛描写に一番リキ入ってましたよね?笑
淡くてほのぼのなんだけど、最初から最後までそれしか考えてないんかみたいな。
そこんとこがちょっと物足りなかったんですが、中国や仙界の背景は面白かったんでそっちの方面行ってくれたらな~と。
私もどっちに進まれるか気になります。

あ、明日伺う予定で~す♪
novel | 仁木英之
CM:2 | TB:0 |
| 日々是好日 |
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