読書の欠片ネタバレあり
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アヒルと鴨のコインロッカー  [Edit]
2005-09-28 Wed
 「ラッシュライフ」「重力ピエロ」ときて伊坂3作目。今までこれってミステリ?なの???と思ってたけど、これはかなりミステリっぽいやられたー感があって面白かったす。まあ中盤くらいまでは相変わらず感情移入しにくいこの文体になかなか入っていけなかったけど…。何て言うか、誰も本心を見せてくれないというか一体どんなキャラなのかつかみにくいの;。言い回しとか比喩もどうもピンとこないのよね~。所々展開や行動に不自然なとこも結構あって、思わずいくらなんでもそりゃないっしょと一々ツッコんでしまったりして、その度に自分が作品世界から落ちちゃうのがちとつらいし。それでも今回は、上手さの方が上回ったということで自分的ポイントアップ。さり気なく張られた伏線がラストにきちんと生かされてて、決してハッピーエンドじゃないのにどこか清清としてるのがよかったなと。

 大学生活のはじまりに河崎という青年と出会い、本屋を襲って広辞苑を手に入れるという計画に巻き込まれた椎名の目を通し、平凡な日常の中で出会ったいくつかの非凡な出来事が語られる「現在」。ペットショップに勤める琴美と同居人のブータン人・ドルジ、そして河崎とのちょっと変わった関係と、連続ペット殺しとが語られる「二年前」。二つの時間軸が交互に語られ、それが段々と交差点に近づいてくる。ペット殺しの方は正直このままだとイヤンな展開になる;;と身構えていたんだけど(警察行けよ…;)、恐れてたようにはならなかったのでホッと。しかしいくらあのクレジット出されても、実際ペットは非道い目にあってるじゃんよ~~;;効果ない…てか皮肉?

 それでも後味が悪くなかったのは、ドルジの考え方が所々救いになってたからかな。風にお経を読ませてる=代用品で誤魔化すのが得意なんだ、とか。善いことも悪いことも自分に還ってくるとか。生まれ変わりを信じてて今の人生がすべてだとは思っていないとか。「生まれ変わりの長い人生の中で、たまたま出会ったんだ。少しの間くらいは仲良くやろうじゃないか」…それがストンと落ちたからね。ちょっと変わってる…でも悪くない^^

 人間関係は~~淡白。皆それなりに面白いところがあるのだけど、あんまり感情をさらけ出してくれないしね。河崎も「美」青年はともかくなかなか見所があると思ってたのに、なんだ女好きのポリシーはその程度かチェッみたいな。いや、自分のポリシーがひとを傷つけたことがショックだったんだからむしろ人間的なんだけど、んーそれでも最後まで一貫してほしかったな~。それまでの自分を全否定せずに受け入れる覚悟が欲しかった。結局「アヒルと鴨」は誰と誰だったんだろ。河崎と椎名?ドルジと琴美?それともドルジと河崎かも。この二人の関係が面白そうだったんで「一年前」の二人の話をもっと読んでみたかったな~。

アヒルと鴨のコインロッカー 伊坂幸太郎(東京創元社)
novel | 伊坂幸太郎
CM:0 | TB:0 |
重力ピエロ  [Edit]
2005-09-11 Sun
 うーん伊坂幸太郎、なかなか尻尾を掴ませない書き手のようです。変ないい方だけど2作読んだところではそういう印象。底が知れないというか、本心をみせないというか。少なくともストレートに作者の言いたいコトが伝わってくる作風じゃないのね。ストーリーを組み立てていくというよりは、あちこちにいろんな絵を散りばめたパズルみたい。謎解き小説という意味のパズルじゃなくって、例のあの、分割してバラバラにした絵を一マスずつ動かして元の絵に戻すパズル。でもって完成!と思ったら一枚だけ別の絵にすり替えられてたり逆さまだったりしておやあ?みたいな。あるいは作る人によって別の絵ができちゃったりとか(笑)。トリッキーな仕掛けもないし、謎解きでもない不思議なミステリ。文章というか言い回しは正直あんまりピンとこないし、やたら哲学や古今東西の思想を引いてくるのが知に勝ちすぎてる気がしないでもないが、出来上がった「ちょっと不思議な絵」にはおっと思わせるとこがありますね。

 「ラッシュライフ」よりはこの「重力ピエロ」のが好きだなー。規範が緩いっつかそれはどうなの;みたいなとこもありますが~~。でも泉水と春のお守り兄弟関係がどっか憎めないし、何より父親が素敵だ^^(背景が重いがお母さんも好きだ~~)。それに普通ならイヤンな存在のハズのストーカー・夏子さんが段々味が出てくるんだよな~。キャラクターはなかなかに魅力的っした。

 話もいろんな絵を紛れ込ませてある割にはこれはストレートな方なのかもです。このタイトルは「ふわりふわりと飛ぶピエロに、重力なんて関係ない」って台詞から来てるのだけど、それが象徴する通り遺伝子の縛りを飛び越えてく話なわけだし。「楽しそうに生きてればな、地球の重力なんてなくなる」…お父さんはホントそんな感じの人だった^^<「賞賛に値する」。そして生まれた時から自分を縛っていたものがなくなった春も、きっとこれからそんな風に生きていくんでしょう。何と言っても、あの父の息子なんだから。

重力ピエロ 伊坂幸太郎(新潮社)
novel | 伊坂幸太郎
CM:0 | TB:0 |
ラッシュライフ  [Edit]
2005-08-26 Fri
 金で買えないものはないと言い切る実業家とそれに買われた画家、律儀な泥棒、神を解体しようとする信者、不倫相手の妻を殺そうとする精神科医とその恋人、失業した中年男と野良犬。一見無関係なそれぞれの物語がどこかで繋がりリレーのように続いていく…そんなミステリ?(?って何だオイ)

 えー初・伊坂幸太郎。何となく気になるタイトルの作品がいくつかあったんで、まずはすぐに借りれたこれから入ったんですが…ちょーっと思ってたのと違ったかな、作風。読み始めてすぐ、恩田陸の「ドミノ」と似た構造の話だなーと思ったんだけど、あちらのキャラがとっても立っててそれぞれの話の行方が気になるのに比べると物語としてはちょっと弱いような…というか、泥棒の黒澤以外は誰の物語にも興味が持てな…むにゃむにゃ;何でまたこんな自分勝手な論理を振り回す人ばっかり出てくるんでしょーか…どの人物もかなりおしゃべりで実にいろんな持論を展開するんだけど、もともとの生き方から来る信条にも、追いつめられてすがりつく言い訳にも、何かを越えて辿り着いた結論にも、ど~も共感できないというか響く言葉がないというか。イマイチこの人たちの人生に興味が持てなかったわ~。むーこのキャスティングはワザと?(爆)

 唯一黒澤と佐々岡パートだけは割と面白かったんだけどね。しかし泥棒から足洗ってカウンセラーってのもよく分からんな。本気じゃないにしてもわざわざ電話する意図が見えませーん。そのまま職人気質の泥棒でいるのが最も「ラッシュライフ」なんじゃないかと思ってみたり。スコンと憑き物の落ちた豊田のラストもそれなりに悪くはないけど、何か物足りないんだよな~何だろ、吹っ切れ方かな?

 神こと高橋の扱いも中途半端だったしー。老夫婦強盗も突飛だったしー。章の最初に挿入された言葉も雰囲気だけで意味なさそうに見えるしー。時間軸をワザとずらしてるのは想像ついたんでミステリ的カタルシスもちょっと物足りなかったかな。
 …結局これはタイトルや「エッシャーの騙し絵」に象徴される構造そのものに焦点を当てた話であって、人の物語じゃないのかも。う~んこれが伊坂節ならちょっと残念なんだけど、まだ気にはなるんで他にもいくつかは読んでみるつもりっす。

ラッシュライフ 伊坂幸太郎(新潮社)
コメントを読む(2)
  by まめころりん
はじめまして(´ー`)ノ
伊坂幸太郎さん 私は大好きですよ~
ラッシュライフより最新刊の死神の精度の方がお薦めかも!
よかったら読んでみてくださーい
>まめころりんさん  by banri
はじめまして、こんなケンカ売ってるような感想に(嘘です売ってません;)優しいコメントありがとうございます~。
「ラッシュ~」は想像してたよりパズルっぽい作風だったんですが他のはどうか、やっぱりまだ気になりますんで早速また2冊借りてきてます^^
「死神~」まで頑張って辿り着きたいと思います~
novel | 伊坂幸太郎
CM:2 | TB:0 |
| 日々是好日 |
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