読書の欠片ネタバレあり
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紙魚家崩壊 九つの謎  [Edit]
2006-06-23 Fri
 久しぶりに北村薫のミステリを読んだ。「紙魚家」という名前にめちゃめちゃそそられますなー。それだけで書物・文字・知識…そしてそれらに惹かれてやまない書痴という種族がイメージされて。「本は紙魚に食われるからね」…うっとり(笑)

 それはともかく、最後の「新釈おとぎばなし」以外は10~15年前にあちこちで発表された短編を集めたもの。私が初めて北村薫を読んだのが多分93年くらいだから、ちょうど前後してる頃の作品ばかりなんですが読むのは全部初めて。タイプも違えば書き方もいろいろ違ってて面白かったです。

 「溶けていく」、これはホラー?心を病んで日常がズレていく現代的な話だけど、副題は「九つの謎」…これにもミステリがあるのかな?何故似てるのかとか?後半が妄想か現実かで違うかも。「俺の話」はショートショートっぽい。ブラックユーモアですね。

 「紙魚家崩壊」「死と密室」はシュールな感じの探偵物。設定的には現実的制約をぽーんと軽々飛び越えつつ、ひとの心の真理を突いてくる。「死と密室」のもはや作品を発表しなくなったミステリ作家たちの老人ホームという設定がいいっすね。皮肉でも何でもなく、謎がないと生きられない種族の性を見ましたね、うむ。

 「白い朝」「蝶」が一番古いのかな、デビュー直後くらい。どちらも恋愛がテーマですが、「白い朝」は表北村節で「蝶」の方は裏北村節(?)って感じでしょうか。北村さんの恋愛観てロマンティックというか運命的だなあと思う。

 「サイコロ、コロコロ」「おにぎり、ぎりぎり」、千春さんの日常の謎、ほんわ~と思わず和んでしまうかわいさでお気に入りの2編です。特に「おにぎり」の稲村先生がいいですなあ~~。非論理的な女は本格ミステリとは相性悪いかもしれませんね・笑。

 「新釈おとぎばなし」は北村版「アリとキリギリス」と「カチカチ山」。「あれとキリギリス」は名文ですなあ~すばらしい。「あれ」という言葉に潜む不定性故にホラー風味なんですが、北村薫が書くと哲学的だわ…。そして「カチカチ山」はお見事な本格ミステリに仕上がっております。仕掛け自体は「公式」だそうですが、マスターキートンばりのウサギ探偵の持つ憂いがパズル的本格にはない深みを加えている…かもしんない(笑)。北村薫の素が覗ける語りも文学論民族学にまで及んでて贅沢なパロディだな~ボウボウ山の苦しさもいっそナイスだったしね。

紙魚家崩壊 九つの謎 北村薫(講談社)
コメントを読む(2)
染みゆく紙魚家。  by ましろ
banriさん、コンニチハ。
もうタイトルからして惹かれて、わたしもうっとりしちゃいました。
記事を拝見してから、そんなにも書かれた年月がバラバラだったのかぁ…
と、またまた深く深くうっとりしてしまう、わたし。
シュールなのも好きですが、「おにぎり、ぎりぎり」みたいな作品もいいですよね。
やっぱり稲村先生最高ー!いいオチでした。
TBさせてくださいませ。
紙魚紙"魚…  by banri
ましろさん、こんばんは^^
このタイトルは手に取らずにいられませんよね。某漫画の影響で、紙魚は単なるシミではなくて、古い記憶や知識に巣食う原初的な生命を感じるので尚更でした。
本だけでなくそれに惹かれすぎたひともまた紙魚に食われちゃうわけですね…他人事だと思ってはいけませんね・笑
おにぎりの謎いいですよね!こんなに短いけど謎が解けるって気持ちいいなあと思ってしまう良質ミステリですねv。稲村先生かわいい~~シリーズで読みたいくらいです。
novel | 北村薫
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語り女たち  [Edit]
2005-03-04 Fri
 潮騒が常に響く小部屋で、訪れた女たちが紡ぐ不思議な話に耳を傾ける―聞き手の「彼」の主観はほとんど語られないだけに、自分もその外界から切り離されたような空間に立っていたり、隅っこに座ったりして聞いているような感覚に。こちらの姿は見えてないんだろうなというか自分が透明な存在になったような気がするな。

 語られるのは幻が現実になった時のような不思議な存在や、思いが歪んだちょっと怖い話、過去の思い出など…。印象的だったのは、美しい玉虫色のこどもの静かな動き。世界に一冊しかない本。駱駝が砂を踏む音。お約束でもやっぱり微笑んでしまうにこにこマーク。迷いなく歌う心。目にこめられた恋心。約束。人の想いと、それを超越してただ存在する物、両極端だけどどちらにも惹かれるのです。

語り女たち 北村薫(新潮社)
novel | 北村薫
CM:0 | TB:0 |
| 日々是好日 |
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