読書の欠片ネタバレあり
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ハッピーバースデー  [Edit]
2005-07-13 Wed
 ちょっと前から中学生あたりが男女問わずやたら借りていったり予約したりするのですよ、これの児童書版とかあと同じ作者の「ハードル」とか。別に新しい本でもないし今時のコが好んで借りていくような装丁でもないし、アニメ版があるらしいから学校でこの映画でも観たのかなと思っていたんだけど、どうやら密かなベストセラーだったらしい。今回読んだのは、元々青木和雄が書いた児童書にアニメ化の脚本を手掛けた吉富多美が共著として加わって大幅に加筆修正され、一般書としてこの春発売されたもの。図書館のコが買ったよ~読む?と貸してくれましたー(てかこないだカウンターで予約受けたのひょっとしてこっちの版か…ゴメン児童書の方渡しちゃったよ・爆)

 「生まれてこなければよかったのに」…11才の誕生日を母親の冷たい言葉で迎えたあすかは声を出せなくなってしまう。けれどこれまで何気なく妹を傷つけたいたことに気づいた兄と全てを受け止めてくれる祖父母の存在に救われ自分という存在を取り戻したあすかが、今度は心の弱い母親やいじめの連鎖を止められない同級生や重度の障害を持つ子供たちに力を与え再生していく、そんな話。

 えーと、作者の青木和雄は作家というよりそういう方面の専門家のようで。児童書版とどのくらい変わってるのかは分からないけど、昨今の子供をとりまく、聞くだに心が痛くなる現実を取り扱った本ではある。子供を愛せない母親、そうなった原因である母の子供時代にまで遡っていろんな角度からの見方を示してると思う。そうやって今自分の苦しみだけで精一杯の子供にも親にも、必ずそこから出る道はあるからという真摯な気持ちはよく伝わってくる。いじめの連鎖を断ち切るとこやラストの誕生会での言葉のプレゼントにはよかったなーと素直にじわじわ来ますし、何より今いろんな自分の問題の渦中にいる読者がこれ読んで少しでも希望を持つなり感情を動かされてくれるのならそれが一番かなと。実際大人でも子供でも自分の問題が弱い者に向かっている現実を見聞きする度やりきれない気持ちになるので…傷つける側でも傷つけられる側でもどっちでもいいからそこから抜け出すきっかけや手掛かりになってくれればいいと思う。

 うん、これは専門家によるカウンセリングに近いというかあくまでメッセージであって小説ではないのですよ。しかし一応形式的に小説の形を取ってるので敢えて。敢えて言うと、子供を取り巻く環境や問題はリアルなのに皆が皆できすぎでっしょ…。子供の本音というよりは大人のメッセージを託されてるよーな。うーんどうだろ、子供だって案外大人に対して大人びた視線を向けてるものだから共感できるとこももちろんあると思うけど、それにしたって子供らしくないというかうまくいきすぎというか。最後まで子供のまま大人になったような両親すら親として立ち直ったからな…(最後まで駄目駄目のまま忘れ去られたのは担任だけか…これもすげーいそうでイヤン;)。とにかく様々な局面で、大人にも子供にも作者の言いたいことを背負わせたなと。んで、こんな何もかも言葉で言い尽くされてしまっちゃー自分的には感動半減なのよ~っ;

 小説として読むなら、言いたいことを「感じさせてくれる・考えさせてくれる」ものほどよいと思われ。作者が先回りして全部言ってしまっちゃあ醒めちゃう。もっと物語として昇華されたものの方が自分で感じた分深く残るような気がする。まあこれは物語でないと言ってしまえばそれまでですが…(笑)むしろ手を入れる前の児童書版のがひょっとしたら「子供は子供視点の物語」になってたかもしれないなーと。読んでないから何とも言えませんが…。
 あと帯はな~~;「純愛小説では泣けなかったあなたへ」って何だそりゃ~~?!最初っから「泣き」を売るのも求めんのも何か、違うよーな…最近こんなの多いよなー。あと「奇跡」ももういいからと思います…

ハッピーバースデー 青木和雄・吉富多美(金の星社)
novel | 吉富多美
CM:0 | TB:2 |
| 日々是好日 |
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