読書の欠片ネタバレあり
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ブレイブ・ストーリー 上・中・下  [Edit]
2006-06-22 Thu
 文庫化で続けて宮部。漫画化されてるのは知ってたけど、アニメ映画になるのは全然知らんかった…もうすぐ公開なんですねー。スニーカー文庫版も出てますがナチュラルに普通版をチョイス。でもスニーカー文庫の挿絵スリットで、男の子二人が背中合わせで立ってる絵を見てごく単純にこの二人の友情が一つのメインなんだろうな~と思いつつ読み始めたんだけど…いやはや全然裏切られましたね~びっくり。

 宮部作品で唯一読んでなかったのがこの「ブレイブ・ストーリー」だったんだよね。文庫化待ちしてたってのもあるけど、待てたのはこれがゲーム的な世界観だという前知識だったから。ゲーム女ミヤべだからこそ、わざわざ宮部さんがゲーム的ファンタジーを書かなくても…というちょっとした抵抗があったのかも。前にどこかで書いたことがあるんだけど、ファンタジーな設定の中のリアルな人物像とリアルな世界の中にちょっとファンタジー(理想とか希望とか)入った人物像だったら、後者の方が好きなのだ私は。そんで宮部さんの持ち味もどっちかというと後者だと思ってるのだ。

 ところが上巻を読んでも読んでも全然異世界に辿り着かない、イヤになるくらい現実が描かれてるんだよねえ。小学5年生のワタルの現実。ごく普通の子供の日常…だった、父親が自分と母親を置いて急に家を出ていくまでは。ワタルには理解できるはずもない、父親と母親が結婚した経緯を知るまでは。父親に「この結婚は間違いだった」「人生は一度しかないから、どんなに困難でも信念を貫いてやり直す」と言われるまでは…。ううう。…なんかもうものっそい現実じゃないっすか。私ももう子供ではないし、宮部さんも子供じゃないから、どっちかだけに立って見ることがもうできない。家族という契約が存外に脆いものだという現実は身近に転がっているし、親という立場を捨てて個人に戻ろうとした父親をヒドいとは思っても、そうなったらヒトの心は戻らないものだということも知ってる。ワタルの目を通してはいるけど、宮部さんもまた父親を身勝手で自分本位なだけの「悪者」として描いていないので(ホントーに身勝手な大人もたくさんいるけどな…)、ワタルの想いはどこにも持って行き場がなくてただ「分からない」のだ。「父さんが家を出た」から始めることもできただろうに、ワタルにとっては不条理な「誰かを責めてもあがいても何も変わらない現実」を実に1/4も使って描き出していくこの小説は、確かに宮部さんらしい「リアルな世界」だったのだ。

 そしてようやく幻界(ビジョン)へ。ワタル以上にハードな現実を幼い心に抱えている故に現実の不条理さを受け入れられない同級生のミツルが、一足先に渡っていったその世界では運命の女神の元に辿り着けば一つだけ旅人の願いを叶えてくれるという。「運命を正す」というミツルの決然とした言葉に、ワタルもまた家族を取り戻すべく飛び込んでいくのだけど…。いや~~定番ゲーム系ファンタジー世界を装ってはいるけどコレ…アニメ化しちゃって大丈夫なの?と心配になるくらい某国に似てる気が…;。モンスターや魔法、アイテムや多種族の暮らす街…そのあたりのライトノベル風味にはそんなに惹かれるところはなかったけど、一皮剥けばそこに暮らす人々にあんまりにも生々しい現実が投影されててホントに厳しい。ひょっとしたら現実の世界では小学生のワタルがまだ気がつくことがなかったかもしれない、ヒトの心の中の偏見や利己心。訳がわからないまま自分に襲い掛かった理不尽が、世界には溢れているということ。それらがたとえ子供でも自分で歩いていかなければならないこの幻界では、否が応でも目を見開いて受け入れ、考えていかなければならないのだ。運命をなかったことにできれば幸せになれるのか…自分が本当に必要としているものは何なのか。

 ライトノベル風味でありながら、その実中身はかなり容赦ない現実です。そういう理不尽に折れない人間、希望を描きたいからこそ現実に手加減してもらうわけにはいかないんだよなと、つくづく宮部さんだわと思ったわけですが。でもラストのワタルの願いのところはかなり直接的に語ってる分、ライトノベルっぽかったかもしんない。いつもは作品に込めた思いをここまで全部は語らないような…そういう意味ではスニーカー文庫で出すのは案外正解かもしんない。中高生にはストレートに伝わるんじゃないでしょか。

 しかし大人的には直球勝負のワタルの物語の影で進行したミツルの物語の方が気になる…イラストから受ける雰囲気と全然違う上にラストまでそのスタンスを崩さなかったのにはかなり驚きました。ワタルの旅の仲間や出会う人々のことはそんなに語ることがないし(カッツと隊長のすれ違い愛はなかなか含蓄あったが…)、ワタルのことも感情移入したり同化したりっていうより見守るみたいな感じで、でもちゃんと正解ルートを歩いてきてたのであんまり心配はしなかったんだけど、ミツルのことはこんなラストを迎えた後も悔いが残る。ワタルとは全く別のルートを通って運命の塔に辿り着いた彼。10才かそこらで全て失ったまま何ひとつ取り戻せなかったことが可哀相で可哀相で;取り戻して欲しかったのは失ったものじゃなくてそこから先に待ってただろう未来のことなんだけどね。ワタルと対比されて「間違っていた」と読者の少年少女たちの反面教師にされてしまうとしたら悲しい…できればミツルも救ってやって欲しかった。ワタルと違いその旅の様子も何を思っていたのかも語られてないけど分、ミツルの孤独を感じないくらいの孤独やあったはずの可能性を考えずにはいられないのです。

ブレイブ・ストーリー (上) ブレイブ・ストーリー (中) ブレイブ・ストーリー (下) 宮部みゆき(角川文庫)
novel | 宮部みゆき
CM:0 | TB:1 |
ドリームバスター3  [Edit]
2006-06-15 Thu
 3年ぶりのシリーズ新刊、やっぱり1年1冊は無謀だよね・笑。一話目「赤いドレスの女」は過去にシェンたちに出会った二人の女性D・Pがオフ会する話(ちょっと違)なので、1巻と2巻を読み返さないといけなかったわ。ごく短い話だけどただの番外的な話じゃないハズ…赤いドレスの女はローズ母さんなのか…?髪の色と長さがシェンの記憶とは違うみたいだけど、エネルギー体だから外見は変えられそうだもんね。理恵子はあの時一緒にいた誰かの記憶の中の女だと納得したけど、この中の誰かの中にローズ母さんがいるということでしょうか…。その時こそマエストロが理恵子につけた「錨(アンカー)」の出番はくるのかもしれないすね。

 「モズミの決算」、前巻でお預けになっていた、虐待されていたタカシとそれを守るために一体化してしまっていた逃亡犯のモズミのケースの解決編かと思いきや、こちらの方は手をこまねいているうちにモズミが一人でケリをつけてしまったという。D・Bとしてフォローもできなかったし…というわけで、この話のメインはD・Bミッションじゃないのだね(というか今回ミッションの話ってないじゃん)。物語はかなりテーラの方へと重心を移したみたいです。これまで少しずつ語られてきたテーラで現在進行中の「何か」はまだ表立って浮上してきてないけど、いろいろ気になることがちらほら…。一番は「器」ですね…リップのことがあるからさ;

 そして新キャラ、カーリン。あのパーカーの姪っこにして最強の犬ブリーダー(違)。シェンにとっては数少ない気を許せる人間になりそうだし、こっちの方がさらに今後の展開に大きく関わってきそうだな。ご飯を待ってるシェンとか微笑ましくてかわいいじゃん。ただ、恋の相手になるのか姉貴分で終わるのかはまだまだ未知数です・笑。

 今回一番衝撃的だった「時間鉱山」…ドレクスラー博士が27才って…!!?!(そこか)あああホントだ、12年前の事故の時に弱冠15才って書いてあった;…だってまさかあの1巻の挿絵でそんな設定が定着するハズもなく・爆。ははは脳内イメージ書き換えよ。…まあそれはともかく、敵にならないといいなあ~と思ってましたが、まさか一足飛びにオトモダチになるとは思ってなかったわ。でもおかげで大分心強くなったしよかった…かな?シェンの頭痛さえこの際目をつむれば・笑。

 で、時間鉱山。時間の源泉やら時間素やらの概念はシェンと同じく「そういうもの」と言うことにしておこう…<思考停止。えらく人為的な匂いがして、でもここがルーラとどう関わってくるのか今はまだ見当もつきませーん。最初に出て来た「二人のレイモン」は、てっきり「器」だと思ったのに時間素の副作用だっていうからリップとは違うケースみたいだしなあ。今までの話とどう繋がってくるんでしょう。「重要な転換点」ってことは次あたりメインの展開が始まりそうかな?…って次また3年後だったりして…

ドリームバスター〈3〉 宮部みゆき(徳間書店)
コメントを読む(2)
こんにちは♪  by かずは
うわあ、3年ぶりでしたか。
ってことは全7巻だとあと10年以上?Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーン
絶対内容を忘れてそうです。
う~ん、やはり、せめて1年に1冊でお願いしたいですねえ。
>かずはさん  by banri
はじめまして、コメントTBありがとうございます。
10年は長いですね~(^_^;7巻も予定は未…(ごふっ
3巻は方向性がはっきりしてきた感じなので、できれば続けて読みたいところですね。
novel | 宮部みゆき
CM:2 | TB:2 |
孤宿の人 上・下  [Edit]
2005-09-16 Fri
 江戸の商家から流され讃岐国、丸海藩に辿り着いた少女「ほう」。満足に育てられなかったせいでよくものを知らず、覚えも遅いため「阿呆」の「ほう」という名前だけを抱えて置き去りにされたほうに丸海の人々は優しかった。藩医の井上家に奉公人として引き取られ、生まれてはじめて与えられた人間らしい生活と教育と情…けれどそんな平穏な生活も丸海藩が預かることになった幕府の流刑人、加賀さまとともにやってきた嵐に呑まれ、再び翻弄されていくー

 雨をつれてくる海うさぎ、「匙」と呼ばれる藩医や町方と船方二つの奉行所、特産品である紅貝染め、轟く雷鳴と雷から丸海を守護してくれる神様の信仰…時代ものでもいつもの江戸とは全く違うその雰囲気にまず惹き付けられました~。四国の海を抱く小藩の風景や空気が冒頭からぐんぐん広がってくる…それは最後本を閉じるまで感じられ、この物語の中で一番印象的だったところかも。私の住んでいるところも雷の通り道なので、何時間も頭上で雷がピカピカしていたり(そういう時はついカーテンを開けて見入ってしまったりする)落ちる音を間近に聞いたりするし、地方の空気にも馴染みがあって丸海の様子とそこに住まう人々にはすごく近いものを感じたなあ。

 しかも加賀さまという嵐がやってくる前、舞台が地方である故に、江戸で起こった「中心となる出来事」が間接的に、それも大元とは違った形で人々の生活に被さってくるのが何ともリアルで。加賀さまが丸海に流罪されるに至った事情、様々な思惑が江戸表にはあり、それを知りつつ丸海藩は引き受けざるを得ない。そしてその状況がまた丸海藩で燻っていた様々な火種に火をつける…。この辺、宮部さんの時代ものと初期の社会派サスペンスものが見事に融合されてるような気がして、まさに新境地!と思ったんだよな~。江戸で何が起こっているのか。それを知り、また自分の大事な人間をその飛び火で失いながらも藩を、ひいては幕府から遠い地故に自分たちの甲斐性で生きてきた民を守ろうとする人々がどう動くのか…とそんな展開を実はちょっと期待したんだけど。でもこの辺はさらりと触れられただけで終わってしまった、かな(^_^;;

 何かが起こっている。誰かが動いてはいる。だけど多くの民はただそれに翻弄され、知らないうちに鬼の気配に自分を支配されて道を踏み外したり、そのあおりを食って理不尽な死を遂げたり…。なので全体に必死に生きてても一握りの上の人々の都合で運命を変えられる民というものの立場の弱さや悲哀が漂ってたわ…それでも、生きていくしかないのだけど。襲ってきたのが天災であれ人災であれ、民にとっては同じこと。恨むより嘆くより、命がある限り生きようとするのが民だとも思うし。そんなことを思いながら英心和尚の言葉をしみじみと噛み締めたり<「世の中を直すなどという荒業は、時と人と天運が揃って初めてなし得る。今はその時ではない」。そんな世の中を生きるしかない民の姿と哀しさがメインだったのね。

 ああでも中心が語られなかったのは残念だったかも~。一握りの中心人物…加賀さまや井上「叱られ」舷洲先生の心情は敢えて隠され、その周りの円で、与えられた選択肢の中で自分に出来ることをやろうとする宇佐や啓一郎や英心和尚や石野、心の一部を鬼に呑まれてしまった花吉や渡部、それぞれの生き方にはいろいろ感じるところがあるものの、やっぱりこうかゆいところに手が届かないもどかしさもあるのよね…><。何も知らないまま中心に連れていかれた「ほう」と加賀さまの心の交流が一方のメインであるならば、「ほう」と同じ側の民である宇佐の話よりも、鬼にならねばならなかった加賀さまや舷洲先生の心の裡こそを読みたかった…!ていうのは、この二人がやはり一番重いものを背負っていると思うから…。江戸はちょうど政治と経済が破綻しかけ、その不満が民の間にも募り出していた頃。それを背負った加賀さまと、加賀さまごとそれを引き受けねばならなかった丸海藩の重鎮が、自分の心を切り捨てても守らなければならなかったものは何だったのか…その葛藤が読みたかったなとね。

 丸海が幕府の直轄地になることで「ほう」のような民が江戸の波をまともに被らなくてもすむように、「時が来るまで」今まで通り自分のために生きることができるように、そのためにはいっそ藩内部の膿も出して今の治世を盤石にして少しでも長く続けたい…そんな舷洲先生の願いは、自分の犯した罪に殉じることができなかった加賀さまの心と通じるところがあっただろうなあと思うのだけど、二人の口からは語られなかったので…ただ「ほう」の存在がそれを見失わないよう導いてくれたんだろうなあと想像するばかりです。うん…でも「ほう」が加賀さまに与えられたものを抱えてこれから生きていくように、加賀さまや舷洲先生も願いを托し、やるべきことをやったと最後に思っていてくれたと思えるラストだったのがよかったな^^

孤宿の人 上 孤宿の人 下 宮部みゆき(新人物往来社)
novel | 宮部みゆき
CM:0 | TB:0 |
My Best Books!【宮部みゆき】  [Edit]
2005-08-27 Sat
 続けて今度はマイベスト宮部みゆきMy Best Books!さん(主催:トラキチさん)の投票に参加しマース。未読は「ブレイブストーリー」と「孤宿の人(予約中)」「ぱんぷくりん」かな。


1位:ステップファザー・ステップ
ステップファザー・ステップ →感想

2位:龍は眠る
龍は眠る 感想なし

3位:ぼんくら
ぼんくら〈上〉 ぼんくら〈下〉 →感想


 1位はね~、これが最も宮部みゆきらしいかと言えばそんなこともなく、むしろ珍しい部類かもしれないんだけど、とにかく好きなんです、それだけ(笑)。この系統だと「今夜は眠れない」「夢にも思わない」もいいですが、「ステップ~」は自分的にはダントツなので迷うことなく決定^^

 2位はかなり初期に読んだ長編群の中から。どれも読んでる最中にズシリとした重さがあってそれでいて止まらない疾走感があって印象深い。久々に夜更かししながらむさぼり読んだ記憶があるな~。「魔術はささやく」「レベル7」も甲乙つけ難いですが、宮部さんの超能力モノの中で最も背負った荷物の重さと希望を感じさせてくれるこれを。

 3位は時代ものから。お初シリーズや今だに稲荷寿司屋の正体が気になる「初ものがたり」も茂七親分もいいんですが、井筒平四郎さまの懐の大きさが好きですねえ。
コメントを読む(2)
ご投票ありがとうございます。  by トラキチ
banriさん、はじめまして♪
マイベスを主催させていただいております、トラキチです。
投票ありがとうございました。
『ステップファザー・ステップ』がベスト5入りしました。

作品数がかなり多いのでかなり選びにくいですね。

それではこれからもよろしくお願いします。
>トラキチさん  by banri
こんばんは^^
こういう参加型企画ってblogっぽくて楽しそうだなーと拝見しておりました。
また投票できそうな作家さんがエントリーされたら参加してみたいと思ってますので、こちらこそよろしくお願いしますー。
novel | 宮部みゆき
CM:2 | TB:2 |
日暮らし 上・下  [Edit]
2005-08-16 Tue
 「ぼんくら」の続編であります。今回も井筒さまの昼行灯っぷりが素敵っす。ひぐらし…「その日暮らし」。それはかつかつにどうにか、っていう意味じゃなくいかにもその日その日を精一杯暮らしている町人の日常で、それを語るのに井筒節が何とも相応しいというか生活感の重みとあったかみがあっていいんだなー。弓之助は相変わらず聡くって賢すぎるけど、アイデンティティである「測ること」はその対象を目に見えるものから見えないものへと変え、こりゃもう旦那がどう言おうと将来は同心一直線かしら。今は子供であるという武器を使って大人を転がしまくってるけど、いい年頃になったらどうなるのか心配だよおねいさんは(笑)。おでこも小僧から成長して、自分の人生を考え始めた「おまんま」も良かったな~。

 さてまだ足下の定まってない時代の佐吉と少女時代のお恵のかわいらしい恋バナかと思いながら読んでた「嫌いの虫」の半分くらいまできてようやく、ああこれはただのシリーズじゃなく話的にも「ぼんくら」のその後なのねと気づいた私ですが(ニヴい)、そういや「ぼんくら」では湊屋のやりように最後もやもやが残ってスッキリしなかったんだよねー。決して八方丸く収まったわけではなく、あっちも嘘こっちも嘘で固めて他人の人生も勝手に決めちゃうような湊屋なんかクソ食らえ、地道に自分の人生生きてけよみたいな。それはそれで市井の民の人生らしいと思ってたんだけど、最後に添えられた「毒」がどうにもトゲになって残ってて。

 そしたら次に「ぼんくら」ではとうとう語られることのなかった葵の側からの話「子盗り鬼」が来て、「ぼんくら」のラストで自分が葵に抱いたイヤ~な気持ちが思いっきりひっくりかえされまして。むしろ粋で気っ風も面倒見もいい女なものだから俄然面白くなってきた。佐吉に対しても情がないなんてことはない、それでもこれが一番いいと思ったからこそ今この状況なんだろうと思わせる覚悟があって、こんな女がただ自分のために湊屋に囲われてるだけなんてあり得ない、何があったのか、そしてこれからどうするのか、これはいよいよ湊屋の方も白黒ハッキリつけてくれるのか?!と。

 なのでまさか「日暮らし」でその葵が殺されてしまうなんて思ってもみなかった。そんな、佐吉にも会わず何一つ本当の気持ちを伝えないまま逝ってしまうなんて~~;;。それでも井筒さまが差配違いにも関わらず御輿を上げ、きっと埋もれて来た真実を明らかにしてくれるんだろうと…佐吉にとってもここまで来たらホントの葵を知らなければ前に進めないだろうしね。実際お徳の商売が広がったりそれが井筒さまの探索に一役買ったりするのがこう新しい風が吹いてくるようで面白く、失踪した久兵衛に湊屋の息子たちも登場して湊屋の過去と内情も少しずつ明らかになってくるんで消化不良も解消され読み応えたっぷり~vと一気に読み進めて…行った…ら…アレ?…「通りモノ」ってそんな~~(爆)

 こ、ここまで来てオアズケとは…くくっ;。うーこれはまだシリーズ続くと思っていいのよね?!おふじはあのまんまだし、湊屋は相変わらずだんまりで本心は謎のまま、葵の死さえもどう思ってるんだかハッキリしないし、これじゃーおふじや佐吉や宗一郎へのやりようも到底ナットクできーん><。あるいは数少ない湊屋の言動からそういう本心を決して出さないよう生きてきた男なんだろうと想像することもできなくはないけど、やっぱり想像にはこちらのそうであって欲しいという希望が含まれるわけで…真実じゃーないんだよな~。葵だって幻は幻、本人じゃあ決してないのだ。湊屋はまだ生きてるし、宗一郎は悩んでるし、生前の葵の本心を知っていそうな謎の一座も出て来たことだし、次は湊屋の鉄仮面を剥がして真実を語らせて欲しいなあー。そして今度こそ本当の葵を佐吉に伝えて欲しいっす。親になろうとしている今だからこそ。

日暮らし 上 日暮らし 下 宮部みゆき(講談社)
novel | 宮部みゆき
CM:0 | TB:0 |
| 日々是好日 |
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