読書の欠片ネタバレあり
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今ここにいるぼくらは  [Edit]
2006-07-20 Thu
 「夏のロケット」から気になってていつか読んでみようと思ってた川端裕人。たくさん並んでた中からタイトルと装丁で割と最近出た(去年か)これを手にとってみた。んだけど…あれ?うーむ、多分好きそうと思ったのだがイマイチ気持ちが重ならなかったような…

 作者と同年代と思われる博士の小学生時代の思い出を描いた連作短編集。昆虫が好きでハカセと呼ばれるのがイヤだった1年生時代、5年生のガキ大将たちと川の始まりを探しに行ったこと。ホラ吹きと呼ばれてクラスでいつも一人なのに全然気にしないサンペイ君と学校の池のヌシを釣り上げた5年生の時のこと。オオカミ山でクワガタを育ててるオニババと出会った4年生の頃。コイケさんとUFOと宇宙の秘密に近付こうとした6年生の夏休み。太陽の高さが違う新しい土地で自分の居場所を見失った3年生、王子様に出会ったこと。転校生と天体観測と初恋の6年生の二学期の出来事。そして卒業間近の王子様の帰還と、今自分がここにいるということ。

 年代的に近いので分かる部分もあるんだけど(コイケさんでラーメンときたらアナタ…)、いかんせん博士の資質というか視線というかがかなり理科的科学的に傾いてるため、自分の子供の頃の興味関心と重なるところが少なすぎたのが敗因か;。それはそれで「少年の物語」ではあるんだけど、そこから大人へと向かう道筋にもうひとつこう共感できなくて、その出来事が大人になった博士にとってどんな意味を持っていたのかがよく分からなかったのだ…残念。

 途中、大人になった博士の独白が挟まれるところがあるんだけど、あれは誰に向かって話してるんだろう?それまでバラバラだったそれぞれの話が、今の自分に繋がる出会いと出来事だったのねという予感にはドキドキさせられたんだけど、最後ご帰還した王子様像の失墜の意味が分からず戸惑ったまま置き去りにされたみたいな…。川の始まりを探しに行った幼い日、ガキ大将のムルチが言った「ナカヘンデ。ナイタラアカン」とか、「ぼくたちは一人ぼっちだ。それも悪くない」と言えるようになった彼の、別々な誰かと同じ流れの中にいるという実感とか、所々ぐっときそうなところもあったんだけど、全体的には響きどころがちょっとズレてたかもしれません、スミマセン(誰に)。

 まあでも、大人になった博士は想像つくような気がする。天文学者になってたりしたら面白いのにな(いや中心にあるのは「川」だけど)。そういう「現在」の物語を混ぜてくれてもよかったなーと。宇宙の時間と人間の時間。大きな流れの中で寄る辺のないさみしさを知っていても、それは今そこにいる誰かとも未来にいる誰かとも繋がってるということ。それを知って大人になった博士と小学生の博士、現在と過去がカチリと合った時、この物語は私にも響いたんじゃないかと思うのだ。

 うーむもう一回、今度は「夏のロケット」行ってみよう…

今ここにいるぼくらは 川端裕人(集英社)
novel | 川端裕人
CM:0 | TB:1 |
| 日々是好日 |
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