読書の欠片ネタバレあり
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いつかパラソルの下で  [Edit]
2005-07-03 Sun
 傍迷惑なほどの頑迷さと潔癖さで家族を縛っていた父の死後、唐突に浮かび上がった浮気疑惑。楽しいものキレイなものを押さえつけられて育った反動で成人と同時に家を出た長男長女は20才台半ばの今もフラフラと落ち着きの無い生活を続け、父の敷いた道を黙って歩いてきた次女は楽しいものを持ったことすらなかった自分に空しさを感じている。父の考え方や生き方が今の自分に影を落としていると思っていた兄妹にも、自分の人生を苦く振り返って無気力になった母にも父の生前の秘密は波風を起こし、その真実とルーツを探すことになったのだった…

 …と書いてもまあ間違いではないけど、何か、ちょっと違うような(笑)。絶倫、だし千人斬りのヤス、だし真剣になるにはどこか滑稽なシチュエーションでどちらかと言えばあんまりやる気は感じられない(爆)。成り行きと別のところで吹いた風の影響で仕方なくといった感じのルーツ探しの旅で、そこで見つかるものもやっぱり想像していたのとは微妙に違う気が抜けるものだったりして、照れるのかそれとも生来のギャグ体質が疼くのか、この深刻になりすぎないようハズす感じが作者らしいなあ~と。凪さんもフミさんも強者だし、桃源郷を探しにチベットって何それ(爆笑)

 なので驚くべき父の過去、とか許しと和解、とかそういう劇的な展開はないんだけど、でもそれまでお互いバラバラだった兄妹が父についてはじめて語り合ったり、一緒に佐渡へ旅をして自分を見せたり、ちょっとだけ生き方を見直したりするのが、確かにささやかな変化として感じられるんだよね。父のルーツ探しは結局のところ失敗だったかもしれないけど、でももしもっと時間があればいつかそんな話もできたかもしれない。生きてるということはそれだけの可能性があるのだし、結局どう言い訳しても自分の人生は自分ものでしかないのだし。明るい夏の空の下で、イカイカ祭とビール(ゴクリ)、死んだ人の思い出話より生きてる人の未来…そこには何だかスカっと抜けた爽やかさがあるのだ。ラストの宴会一周忌も幸せそうじゃないですか。父には何だか気の毒なような気もしますが(笑)、でもそれが生きてる者の特権だし。こんな風に新しい家族が出発し、お互いとも死者とも向かい合えるのは悪くない^^

いつかパラソルの下で 森絵都(角川文庫)
コメントを読む(2)
  by ふわ
ご無沙汰してます。
大分模様替えをなさったようで、でも相変わらずハイセンスなのには脱帽。
ところで、「いつかパラソルの下で」は、私にとって茂似香さんが何よりのキイパーソンでした。
春日を叱咤したセリフもさることながら、スキヤキパーティーで「春日っち、それはお母さんゾーンのお肉だから取っちゃダメ」っていうのがツボにはまってしまって・・。
「お母さんゾーン」っていうの、次のスキヤキの時には絶対に使おう!と心に決めてしまいました。
つい歌ってしまう…  by banri
>茂似香(オイ)
それはともかく、ふわさんお久しぶりです。おニューな我が家へようこそーって本当はもっとあちこち手を入れてさらに白くしたかったんですが力尽きて中途半端です(笑)
茂似香さんはいい味出してくれてましたよねー^^。お母さんゾーン、こう、逆らえませんな感じがいい(笑)
あと私のツボだったのは桃源郷の他は二日酔いの兄妹三人でマイナス三乗の鬱陶しさでしょうか。うーんリアル(爆)
novel | 森絵都
CM:2 | TB:0 |
カラフル  [Edit]
2005-05-09 Mon
 死んだ魂が別の人間になってやりなおせるとしたら?というのを作者らしく軽やかに(語り口にコミカルさが隠せないのね・笑)。オチはお約束ではあるけど、そこへ行くまでの中学生の目線で見た自分、家族、友達…別の見方と別の関わり方を覚えていく過程が爽やかね。落ち込んでばかりいられない、しおれても下から新芽が準備されているといったこの年代が秘めてる力が自然に感じられて。いやその力は大人にもあるんだけど。「ずぶとく生きろ」ってのは多分そういうこと。

カラフル 森絵都(理論社)
novel | 森絵都
CM:0 | TB:0 |
DIVE!! 全4巻  [Edit]
2005-01-17 Mon
 高さ10メートルの飛び込み台から、わずか1.4秒の空中演技―オリンピックでも競泳の影に隠れがちな高飛び込みに青春をかける、作者曰く「スポ根もの」…と言っても血を吐いたり無駄にアツイ友情などはなく、ライヴァル兼弟分の素晴らしい演技に「ベストを尽くして飛び、その上で失敗して欲しい。どうかすがすがしく散ってくれ!」と祈る正直さがとっても生のスポーツマンらしいというか(笑)、ほどよくミックスされた現代中高生男子のフツーっぽさがいい感じでしたー。

 元オリンピック代表を両親に持つ高校トップの実力者、要一。ごくフツーの中学生…だったハズが持って生まれた資質を見込まれてめきめき頭角を顕していく知季。幻の天才ダイバーを祖父に持ち日本海の海でしか飛ばなかった高校生の飛沫…マイナー競技故に大手スポーツメーカーのお荷物と化してるMDC(ミズキダイビングクラブ)にコーチとしてやってきた夏陽子は、彼らへオリンピックへの道を指し示す。それはMDCを守り才能を育てたいという夏陽子の夢であると同時に、彼ら三人にとっても囲まれた枠を破り自分だけの何かを掴みたいという夢と重なっていく…。

 この三人が物語の中心になっていく2巻あたりからかなり面白くなっていきますねー。それまで単に3つ歳の離れた先輩後輩だったり、海とプールのように似てるけど全く違った存在だったりした三人の間に共通の思いみたいなものが生まれてからでしょうか。兄弟とも友達とも共有できない、あの高みから飛んで、魅せて、その一瞬に自分を表現する快感のようなもの。それがあるからそれまでバラバラだった三人が、対等で友情でライヴァルな関係になっていくんだよね^^。オリンピックを目指すという思いは共通でも、ダイブはあくまで個人競技。それぞれ自分でしか抱えられない思いも越えなきゃいけないものもあって、集まって話したりしてればどこにでもいるアタリマエの少年ぽいのに、自分の問題にはしっかり自分で向き合って馴れ合わない頼らない、相手を認め、闘争心を燃やしていく…そういうとこがすごく男のコだv

 知季は中学生なので射程距離外カノジョを弟に取られたと落ち込んだり、それもまたバネにしていくようなある意味無邪気さや単純さが癒し系だったですが(笑)、要一と飛沫はそれぞれ全くタイプの違う男の子で、大人とガキっぽさがいい感じに合わさってたな。津軽に年上の恋人を持つ飛沫の話も面白かったけど、何と言っても要一が好みっしたv(「すがすがしく散ってくれ!」ももちろんこの人・笑)。アニキ風吹かしたがりで誰より一番目立たないと気がすまなくて、才能があってずっとダイブ一筋で…ビジュアルもいいけど実はむっつり系でカノジョいない歴17年(笑)。そして3人の中で一番飛び込みにかける思いがアツイのもこの人…知季のように天然で無自覚でない分、自分で自分を動かしてる強さに惹かれる。高熱の中でのファイナルステージは、誰よりも美しく飛ぶ姿が見えるようでゾクゾクしたわ。それでいてお笑い担当でもあるんだからな(愛)。5年後、夏陽子の恋のウエーブに乗れるか(捕まるか?)どうかもこっそり楽しみです(笑)

 図書館のコのオススメは「カラフル」だそうなので、これもいってみよかな、と思ってますー。

DIVE!!〈1〉 森絵都(講談社)
novel | 森絵都
CM:0 | TB:0 |
| 日々是好日 |
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