読書の欠片ネタバレあり
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うそうそ  [Edit]
2006-06-29 Thu
 シリーズ5作目は1作目「しゃばけ」以来の長編ですねー。「うそうそ」とは「きょろきょろ・うろうろ」たずねまわる様だそうな。というわけで、うそうそ自分探しをする、自信のない小さな姫神さまのお話。

 江戸を離れて箱根に湯治に行くことになった若旦那。ところが港を出るか出ないかのうちに佐助と仁吉がいなくなるわ(超異常事態)、箱根に着いた途端に攫われるわ天狗に襲われるわ、湯治で丈夫になるどころか湯にさえ一度も浸かれないまま箱根山中をさまようハメに。うーむかなりハードだったが果たして無事に江戸に帰れたんでしょうか。

 今回仕方なかったとはいえ、強引ぐマイウエイな佐助仁吉の超過保護っぷりが影を潜めた分、若旦那はがんばりましたねー。いつもはもっと頭脳担当なんだけど、今回は相当身体張ってたわ。身体は弱いけど、あれでなかなか意地っぱりだし思い切りも勇気もあるとこをしっかり証明しましたね。でも佐助仁吉が側にいるとなかなかそれを発揮させてもらえないから、若旦那にとってはよかったかもしんない。それに何もできないのにここにいていいのかという姫神の悩みは若旦那にとってシンクロするものというよりもう超えてきたものなんだよね。言葉で何を言うでもなかったけど、若旦那の「できないって言ってないで、やってみたいんだ」って気持ちが姫神を動かしたわけで、見えないところで若旦那も成長した…ような。江戸に帰っても以前みたいに「己の手で何もできない」と悩んでばかりいないでどこか吹っ切れるかもしんないね。若旦那にとって「他に何もいらぬほどの思い」って何かなあ~。このシリーズはミステリってよりジュブナイルだと思ってるので、いつかちゃんと見つかるといいなあと。新龍みたいにあっちとこっちの橋渡しでもするか?(そんでもって栄吉にもせめて希望を~~)

 章が変わる毎に今読んだばかりの話が繰り返されたりするんでん??と思ったら、連載だったからか…。通して読むと話が前後したりダブったりするのがちょっと気になった。あと最初の山神さまとの会見は書き下ろしなのか?前日譚なのか後日譚なのかよく分からなかったのだけど…

うそうそ 畠中恵(新潮社)
novel | 畠中恵
CM:0 | TB:0 |
アコギなのかリッパなのか  [Edit]
2006-05-16 Tue
 ひょっとしなくてもこの作者の現代物を読むのは初めてなのね、私。タイトルがヘンなんで一体何の話なのか?と気になってたんですが、なんと政治家でした…ナルホド。

 しかしまさか政治家の世界でこんなに楽しい日常の謎ミステリに仕上がるとは~。うん、これはまさしく漫画、や、いい意味で(笑)。私的にはキャラがマンガっぽいからに一票ですが(>私信)、でも読んでてくるくるよく動くキャラたちにはするっと入り込めて、偏見なしにライトに「政治家の日常」を楽しむ余裕がありました。
 「政治家の」日常と言っても、実際政治家らしいところは選挙活動してるとこか時折垣間見える心構えくらいで、あとは他愛もないケンカをしたり、聖の作ってくれる料理に喜んだり、お菓子食べて和んだりの家族的ほのぼのワールドが展開されてるんだけどね。だからといって「実際の政治家事務所も案外こんなものかもね~」…とは思えないところがマンガちっくなわけですが・笑。

 主人公の聖は21才、大学に通いつつ引退した元大物国会議員で今も強い影響力を持つ「オヤジ」こと大堂剛の私設ベテラン事務員として腕を振るってる(ついでに料理の腕もケンカの腕も振るったり)。最初こそ政治や仕事を語るには若すぎるか?と思ったものの、オヤジの面倒見の良さと擬似親子っぽい関係で門前の小僧としての資格はばっちりありそうです。そして持ち込まれるトラブルも政治的駆引取引とは無縁なので(裏では後継者問題とかいろいろあるけど、表向きは一応…)、聖が知力腕力をふるって解決にあたるのも全然ムリがないのだよね。日常の謎もなかなか変化に富んでて面白かったす。

 そしてこのシリーズの要である「オヤジ」がいい味なんだな~。「風神雷神会」というどこのヤクザだよ?と思わず突っ込みたくなるような名前の若手政治家の勉強会を主宰して、女好きで実業家。聖や聖の扶養家族である弟の拓にせっせとお小遣いを与えつつ(アブナイ言い方<殴)、常に人を試してるような曲者っぽさもあり。才気と実力がないと近くにはいられないけど、オヤジに認められるってことは政治家として有能ってだけでなく、人間として真っ当ってことなのだ。「その人に本当に必要なのは何か」そういう答えを聖が出せた時のオヤジの満足気な様子が見えるようだー。

 あとは料理オンチでズボラな美人秘書・真木と、第一秘書→政治家デビューした小原さんなどお気に入りキャラも多いんだけど、お気に入りといえばなんと言っても加納議員でしょう!この人のありえない「王子」っぷりにはころっとやられたよ…フツー自分でヤキ入れに行かないから!笑。とっても有能なのにどこか常識のないこの人を、聖がケンカしながらナイスフォローしてくれるといいなあ~。ていうか、もっと出番希望っす。

 …というわけでシリーズ化にも期待。早くこんなアコギな(?)世界からは足を洗って真っ当なサラリーマンになると誓う聖だけど、あちこちから見込まれてるし、自分でも案外この世界が嫌いじゃないしで、さてどうなることやら?政治家になって欲しいとは思わないけど、秘書としては欲しい人材だよなあ~v。というか、秘書というポジションがおいしいと思うので(殴)、オヤジの元で守られつつ成長し、そしていずれは加納議員のところにお嫁にもらい受けられたらいいなあと。今は加納議員の方が一枚二枚上手だし大人だけど、聖が成長したら対等のナイスコンビになるかもしれませんv(?)

アコギなのかリッパなのか 畠中恵(実業之日本社)
novel | 畠中恵
CM:0 | TB:0 |
おまけのこ  [Edit]
2005-10-26 Wed
 相も変わらず寝込んでばかりの若旦那の日常を、家主よりも偉い二人(?)の手代、そして妖たちが賑やかしてくれるシリーズの4作目。今回は謎解き要素もあるけどどっちかっていうとミステリメインじゃなく、むしろ人情ものっていうか、いろんな人の思いが丁寧に描かれててよかったなー。

 「こわい」、狐者異は何に出てきた妖だっけ…京極?それとも宮部さんだったかな?名前だけだったかな…ともあれこの話では「妄念と執着を呼び込む妖」で不幸の連鎖を呼ぶらしいです。これだけ今までの話とも他の妖の扱いとも随分違った感じですねえ。まあ私は「なんで優しくしてくれないんだ」っていう言い分はあんまり好きじゃないですが(仁吉だって佐助だってつらい過去を乗り越えてきてるんだもんー)、その大妖さえ哀れに思うくらいだからその生まれにどうにもならない気の毒な事情があるのかもしれないすね。妖の世界の成立に関わるような謎が…(本当かよ)。栄吉の「男伊達」っぷりが嬉しい話だったけど、それにしたってあんまりな腕前…「もの凄く甘くて、舌が痺れるようにからい」饅頭て一体(涙)。決意は買うし栄吉の成長を楽しみにしてる私だけど、せめてもうちょっと未来に期待が持てるような設定にして欲しかった…っ;

 「畳紙」、屏風のぞきの男前な優しさに惚れたー///(笑)。厚化粧で自分を隠さずにいられないお雛の不安と、それを今更どうやってやめたらいいのかがわからない気持ちはなかなか人間心理を突いてるし、それに屏風のぞきが一肌脱ぐのが面白かったんだけど、その原因が幼い頃からの祖父母との気持ちの行き違いってのがちょっと分かりにくかった、か?…ていうか祖父母の心配の仕方が随分的外れなような…どちらも不器用だったんだろうねえ。

 「動く影」は5才の若旦那の冒険。栄吉と若旦那がホントに友達になったきっかけの話でもあるし、幼く病弱ながら妖の助けを借りずにがんばってて偉かった…ってか今はホント甘やかされてこんな冒険させてもらえないのね~(^_^;;

 吉原の禿を足抜けさせる「ありんすこく」は、楼主も旦那もやさしいしいい話なんだけど、反面もう一人の禿が遊女の悲しみを一身に背負ってるとこにただほのぼのじゃない味わいがありましたねー。ちなみに女形になるのはてっきり屏風のぞきかと思ってたんですが…似合いそー(笑)

 ラストは鳴家の冒険「おまけのこ」。若旦那の「うちの子」発言にはついほろっとしてしまったではないの。若旦那にとっては家族なんだよなあ。袖の中で安心してぬくぬくしてるのが何ともかわいいです。

 今回若旦那メインなのは過去バナだけだったんで、ジュブナイルっぽさはあんまりなかったけど、その分今までより市井の人々が生き生きしてて、話もバラエティに富んでてどれもおもしろかったです^^

おまけのこ 畠中恵(新潮社)
novel | 畠中恵
CM:0 | TB:0 |
ぬしさまへ&ねこのばば  [Edit]
2005-06-18 Sat
 二作目からは連作短編集になったのね。そして妖たちが集めてきた情報(この報告順番争いがかわいいのですが・笑)を若旦那がほとんど聞いただけで謎を解決する、ジュブナイル時代劇(?)だった「しゃばけ」に比べると普通にミステリっぽいかな。日常の謎が似合いそうな若旦那や妖たちだけど、どっちかっていうと事件そのものは結構最近ぽいていうか…どうして殺しちゃいけないんだ?とかね;一作目のように妖に乗っ取られてってわけでもなく、人の規範が弛んでる感じ。江戸物でも人の欲とか現代風な動機でも構わないけど、ちょっと扱いが軽いかな?感覚が現代に近いんでもうちょっと江戸っぽくてもいいなと(笑)せっかく妖もいることだし~。

 そんな中では一太郎の兄・松之助の、これまであんまりいい目を見てこなくて諦めというか多くは望まないで生きてきたのが少しだけ広いとこへ出た話と、仁吉・左助の過去バナはよかったなあ~。やっぱりこのシリーズの自分的読みどころはミステリではないらしい。まだ若かった妖たちの恋や居場所探しも青春ぽくてねえ。シリーズ的には単なる謎解きじゃなくやっぱ一作毎にちょっとずつでも若旦那が成長していく方が良いと思いマス。あと栄吉(の菓子作りの腕)もね^^

ぬしさまへ ねこのばば 畠中恵(新潮社)
novel | 畠中恵
CM:0 | TB:0 |
しゃばけ  [Edit]
2005-03-04 Fri
 表紙のイラストが味があっていいv。中身もほのぼのと読みやすかったですー連作短編なのかと思ってたら長編だったのね。

 大店の廻船問屋・長崎屋の若旦那、一太郎は小さい頃から身体が弱く、死んだ祖父が連れてきた妖に守られてどうにか17才まで生きてきた。今は何度も生きるか死ぬかを繰り返してる一人息子のためにはじめた薬種問屋を(一応)任されてる一太郎だけど、御稲荷さんの化身である白沢と犬神は手代として守り神として、一に主人で二以下がないという尽しっぷり(箸より重いものはめったに持たせてもらえないし。怪我したと聞けば姫抱きだし・笑)。他にも屏風のぞきや屋鳴りと言ったつくも神がお菓子をもらいにわらわら出てきたりとなかなか賑やかなんだけど、喋る割には漫画っぽくなく妖の雰囲気が出てるのがいい感じです。

 話的には薬種問屋が次々殺される事件が起こる時代ミステリっていうか、事件の影にホンモノの妖っていう妖怪ミステリなので、一太郎は妖を使って事件を解く探偵役なんだろうと読む前は思ってたわけなんだけど…違った(笑)。むしろミステリというよりもジュブナイルなのね~。ここで語られてるのは事件やその裏にある一太郎の出生の秘密そのものじゃなく、何かを為したいと思ってる青年の思いっつか、なんだか上手く行かなくて、他人の境遇を羨ましく思うこともあって、でも自分なりに生きる道を模索していかなくちゃいけないって葛藤だったりするわけですよ。一太郎にしろ幼なじみの栄吉にしろ。う~ん江戸物ジュブナイルって割と新鮮かも~^^

 これシリーズがあと二冊あるのね、今のところ。多分やっぱり妖怪ミステリなんだと思うけど、それより白沢・犬神の過保護妖怪をかいくぐって一太郎が晴れて一人前の男になれるかってのが自分的読みドコロだな。栄吉の修業の成果もね(笑)

しゃばけ 畠中恵(新潮社)
novel | 畠中恵
CM:0 | TB:0 |
| 日々是好日 |
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