読書の欠片ネタバレあり
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天使のナイフ  [Edit]
2006-02-06 Mon
 去年の乱歩賞受賞作。少年犯罪という昨今は(嫌なことに)日常になりつつあるテーマを選びつつ、少年法が抱える更生と被害者の救済の問題、そして贖罪とは何かに踏み込んでなかなか読み応えがありました~。

 わずか13歳の少年たちによって妻を殺された桧山は、少年法に守られた加害者に怒りと苦しみを伝えることもできず、心のどこかは時が止まったまま、それでも遺された生まれたばかりの娘を守ることでなんとかゼンマイを巻いて生きてきた。しかし4年後、その加害者の少年たちが襲われ死亡する事件が起きて今度は加害者の疑いをかけられることになる。それをきっかけにして、事件後の少年たちが本当に更生しようとしていたのか、そして妻を殺された時には決して明かされることのなかった少年たちの動機が何だったのか知りたいという気持ちに突き動かされるのだったー

 …とまあ、途中までは被害者の心の救済がおざなりにされた制度や、「可塑性」を信じて更生に力を注ぐ人間がいても必ずしもそれが本当の更生に繋がっていない現実に、桧山がやろうとしていることが空回りに思えてなんとなくくすぶってたんですが、後半死んだ妻の過去が見えてきたあたりからようやく桧山の気持ちとこっちの気持ちがカチリと噛み合った気がしましたね。そして作者の気持ちとも。

 被害者の存在を無視して真の更生などありえないー保護と矯正だけでなく贖罪を…いろんな立場の人間がそれぞれの主張をしてもどうしても晴れることのなかった気持ちに、ようやく一筋の道が見えたような。気持ちのこもった主張に頷きつつ、でもこの話はそこから更に加害者被害者の気持ちが絡み合って綺麗事では終わらないとこに深みがある。

 立ち現れた現実に、揺れて苦しみながらも相手を知ることで人の気持ちは変わっていかざるを得ない。でもそれは、ひたすら憎み続けるよりも多分いいことなのだ…そうでなければ本当に自分の人生を生きることなどできないんだから。…もちろん全部が全部そんな風にいい方には転がっていかなかったけど;願いみたいなものは伝わったかなーと。

 贅沢を言えば文章的には割とフツーだったかな~。もちっと重さというか、心臓に訴えかけるような静かな強さみたいなものがあると好みなんですが(笑)。あと人物にもこうハッとするような魅力があると…って審査員じゃないんだから<殴。ええ…とにかく読後感読み応えともなかなか…かな。乱歩賞作家は割と先々好みに合うことが多いんで期待してまっす^^

天使のナイフ 薬丸岳(講談社)
novel | 薬丸岳
CM:0 | TB:0 |
| 日々是好日 |
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