読書の欠片ネタバレあり
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きいろいゾウ  [Edit]
2006-06-05 Mon
 前作「さくら」も読んでないのに、なんとなく借りてきた初・西加奈子。関係ないけど最近は前もって次読む本を決めないでその場の思いつきで選ぼうとしてるかも。好き作家の新刊も待機してるし、普段は割とルートに沿ってチョイスする方なんだけど、そーいう自分を一旦リセットして逸脱してみたい…ささやかですが。

 さて安全帽のような黄色に児童書のような体裁の本。ナルニアとこれを借りてきたことを思えば多分選んだ時あんまりいろいろ考えるのに疲れてたんでしょう…笑。でも中身は別に児童書っぽくないですが。そして装丁(まっ黄色)で何となく感じた通り、ちょっと不安定さというか危ういバランスも秘めたお話でした。

 東京を出て田舎で暮らす駆け出し作家のムコさん(本名)とツマ(旧姓)の夫婦。それぞれの視点から描かれる毎日の生活は、一見微笑ましく暖かで幸せなのだけど、そこに書かずそして伝えなかったいくつかの感情が、ほんの少しのすれ違いを生んでいく。月が満ちると言いたいことが溢れそうになり、でも出口が見付からなくて不安になるツマはムコさんの一言「欠けていってるから、月。大丈夫ですよ」…に救われ、地上に居場所を見つけたように安心して過ごすことができていたのだけど、ムコさんはムコさんで、大事な人に置いていかれた過去から、いつかツマがふっと遠くへ行ってしまう不安を隠し持ってる。

 どちらかの思いが揺らぐわけではないんだけどね。だけど一旦不安が亀裂を入れた関係を修復するためには、ひとりになって自分と相手を見つめ直すことは必要かもしんない。ムコさんの過去の恋人と、ツマの方の幽霊の恋はどちらもその不安と繋がってるような、でもあんまり繋がってないような気もするけど(…)、そして修復後の二人の関係は前とそんなに変わってない気もするけど、あときいろいゾウも私の何かを揺さぶったりはしなかったけど、でも以前よりしっかりと地に足がついたようなツマと迷いのなくなったムコさんは前より安心できる感じです。

 私的によかったのは、犬のカンユさんとかチャボのコソクとの会話(?)とか、あと庭のソテツ「ヨル」のひんやりした幹の感じ。学級委員長と、「洋子、それじゃだめだ」(笑)。大地は9才であのラブレターはちょいできすぎだろう…せめて12くらいなら(そういう問題では)。まあ大地みたいな子が大人なのに子供みたいで、そうかと思えばやっぱりまだ手の届かない大人だと思い知らされるツマみたいなタイプに惚れるのはわかる。いいコだね、見所あるぞ。大地の手紙はよかったな<「分かる?分かんないよね」。押し付けがましくなくて、でもちゃんと切ない。

 動物や庭の草木の言葉が聞こえるツマはちょっと不思議ちゃんで、読んだ感じ栗田有起 の描く女の子と似た匂いがすると思った。でも栗田有起は最後彼女らを一人で立たせちゃう方だと思うけど(2作しか読んでないけど…)、西加奈子はナチュラルに足りないとこを補ってくれるひとと二人で立ってるあたり、こちらは浮世離れ度はそんなに高くないかな~。設定の割に日常に足のついた物語でした。

きいろいゾウ 西加奈子(小学館)
novel | 西加奈子
CM:0 | TB:0 |
| 日々是好日 |
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