読書の欠片ネタバレあり
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ビタミンF  [Edit]
2006-06-11 Sun
 初・重松清。前から読もうとは思ってたんだけどなかなか機会が、というよりベクトルが合わなかったのよね、なのでやっとです。作品数も多いのでどれから読もうか迷うところだけど、あえて中身もパラ見せずタイトルだけで選んでみる。へーこれ直木賞だったのね。

 7編から成る短編集、読み終わってからあとがきに書いてあったいろんな「F」をああこれがFamilyだなとかこっちが多分Fortuneねとかあてはめて頷いていたけど、でも結局のところ中心にあるのはFatherのような気がする。40才前後の家庭持ちの男の姿がどの物語からもリアルに見えてくるんだなあ。同じ年代の男であっても独身の男とも夫属性だけの男とも違う、「父親」というモノを背負ってないと出てこない人間像なんだよね~家庭での立場の微妙さといい、子供との関係といい。父親の家庭でのポジションて意外と曖昧で不安定なもので、「なんとなく」収まってるつもりだけど実はズレてたりとか微妙に距離があったりする。でも多くの男たちはそんな心許ない自分を見ないフリ考えないフリで父親って役を演じようとしてるような気がするのだ。

 だけど家族に何かがあった時、あるいは人生に納得してない自分に気がついてしまった時。距離感やズレを露呈してしまったオヤジたちの姿は、ちょっと哀しい。自分が作り上げて来たと信じていた家族の姿と現実とのギャップは、全然カッコよくない、心許ないひとりの男の姿を浮き彫りにしてしまって、見ないフリしてあげたいような、そんな感じ。だけど作者が信じている、信じたいと思っている「お話」の力は、イコール「父親」「家族」の力なんだと思う。たとえぎこちなくても多少いびつでも、ちょっとずつ積み上げてきた、その家族にしかないカタチが、家族の中の父親のポジションがカチッとはまった時に、きっと土台になる。家族で共有できるカタチになる。家族の再生のお話でもあり、ようやく演技が本物になったFatherのお話だったなあ~と。

 しかし…40前後にしてオヤジたちのこの枯れっぷりってば。いやーこの前に読んだのが恩田陸と川上弘美でしょ、同年代の男なのにその精神的ギャップときたら20は差がある・笑。女性陣の描く男たちが10は若々しいのに対して、重松氏の方は人生思いっきり下り坂な感じで10は老けてるぞ。周りの同年代の男たちを見るに、ちょい疲れ過ぎてるか?という気もするが、これはやはり重松氏の方が男の大変さを身をもって知ってるからなんだろうなあ~。男の方が少年時代青年時代を経て大人になった今の自分と、夫である自分父親である自分がうまく繋がらないような気がするしね。ここが今の自分のポジションなんだ、と納得できる何かがないまま歳だけどんどんとって行くのがむなしく感じるのは男も女も一緒だろうけど、男の人の方がそんなものだと諦めて真面目に役をこなそうとするのかもしんない。そりゃ枯れるわ…。

 重松清といえばオヤジものと少年ものっていうイメージなんですが、今度は少年が主人公のものを読んでみようかなー。

ビタミンF 重松清(新潮社)
novel | 重松清
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| 日々是好日 |
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