読書の欠片ネタバレあり
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さいごの戦い  [Edit]
2006-06-04 Sun
 ナルニア7作目、シリーズ最終巻にして予告されたナルニアの崩壊が描かれております。…うーん。これは正直予想してなかったなあ~…。「こちら」の世界の争いや現代的な乾いた風潮がナルニアに影響を与えるのかなとか、あるいはもし王家からアスランを否定する王が出ればこの世界は存続できないだろうなとは思ってたけど、それは世界の中心ではなく端からやってきたのでした。チリアンという決して愚かでない王がおり、ユースチスとジルもそれぞれ少し成長した姿で現れたというのに、ひとの力ではもはや何ひとつ変わらないというこの無力感;。王の悪政でも他国の侵略でもなく、信仰心が失われていくことで世界が崩壊していくこのお話は、一体何との「戦い」だったんだろうか…

 少なくともカロールメン軍との戦いではないよね。神を信じていない一部のひとびとと、信じたいのにその術を持たない多くのひとびと。言ってみれば後者を繋ぎ止めるためにチリアンやユースチスは戦ったわけだけど、結局のところその戦いは敗北で終わる。信じることを奪われたひとびとがどのようになるかがここには描かれている。小人たちのように目を閉じ耳を塞いで自分の世界に閉じこもるか、いつの間にか逃げさった者たちのように、自分から動くことを恐れて無感情になるか。そうなったナルニア人たちを救うことはもはやできず、アスラン(神)にも見放されてしまうというのが何とも遣りきれない…そしてここで物語はひとの手を離れてしまうのだ…;

 その後に現れる「真の世界」は、キリスト教的世界観では救いであり喜ばしいことなんだと思うけど、それはもう「ひとの物語」じゃないんだよね。選ばれた者だけが行ける悲しみや迷いと無縁の世界。自分の弱さに泣くことも、だからこそ誰かがいてくれて嬉しいと思うこともないのなら、それは私の心を揺さぶらない。ルイスにとっては信仰と人生がそれだけ近いということだと思うし、天国という概念は私にとってもそう遠いものではないんだけど(カトリック系幼稚園だったからね)、あくまで「物語」としての話。子供の頃だったらどうだったか分からないけど、今の私が読みたいのは愚かでうまくいかなくて、それでもいつかは…と思わせてくれる「ひとの物語」だから…

 なので、チリアンやユースチスが「負けた」ことよりも、真の世界で幸福そうな彼らに何だか割り切れなさを感じてしまったのでした。懐かしい彼も出て来たんだけどねえ~。うう、アスランてホントに神さまだったのね…見届け導くだけでなく、最終的な決定権を持っているという点で。

 ただ、ここで失われたものは神への信仰心だけど、神さまに限らず信じられるものをなくすとひとは駄目になるような気はする。自分以外の誰かでも、今美しいと思える何かでもいい…それは確かに支えになるから。そういったものを何も持たないひとは、多分ここで描かれたように弱く救いなくなってしまうのだ多分。そういう意味ではとっても共感したんだけどね。信仰に限らず、そういう何かはなくしたくないなあ。

さいごの戦い C.S.ルイス(岩波少年文庫)

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 …さて。ナルニア読了してますます気になってしまった某シリーズの命運やいかに。正直アレがこういう結末だったら結構救われないわ私…あはは;(まあナルニアがこうだからこそ同じにならないとは思ってますが)。そう言えば「アンバーシリーズ」も「真のアンバー」だっけなラスト…(でもそんな天国的世界でも神様の物語でもなかったと思うが)。「真の常世」はない、とは言い切れないが(オイ)、少なくとも最後まで「ひとの物語」であってくれたらなと。望むのはそれだけです、ホント。
novel | C.S.ルイス
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魔術師のおい  [Edit]
2006-06-02 Fri
 ナルニア6作目、予告どおり「ナルニア誕生」物語。おおーそもそもの発端であるタンスと学者先生の秘密も明かされましたね。おじいちゃん先生にもこんな少年時代があったのか。「世界と世界の間の林」かあ~、そうやってアスランがナルニアを創ったのは分かったけど、何で創ったのかは分からんね…つか聞かぬが花か、神様の意思なんて…。

 滅んだ国と「こちら」と、太陽の様子で「世界」(「星」なのか?)そのものが若いのかそれとも寿命なのか分かるのがやけに科学的だったりしますが、ここでは人の行いが「世界」の寿命を伸ばしたり縮めたりするのだろうな~。いくつもの世界の終わりを見届け、そしてまた創るというのはファンタジーと言うにはすごくシビアだと思うんだけど、アスランもなかなか遣りきれないだろうな…どんな世界を創っても必ず滅びてしまうというのは;。ナルニアも、アスランは「とこしえに」と言ってたのにやはり次で「くずれさる」んだもんね…。そして「こちら」の世界への「いましめ」も、全然ファンタジーじゃないところがね;

 アスランがナルニアを創っていくところはまんま聖書というか創世記だなあ。リンゴを食べようかどうか悩むのはイヴではなくアダムでしたが。「ライオンと魔女」で、アダムの息子が王にならなければならないという予言は、不完全な人間が王になることがこの世界の調和にとって必要だからかと思ったんだけど、単に起こした責任を取るということだったのかしら…。でも「悲しみを知る者」という言葉は印象的でした。それがない世界よりあった方がより完全で美しい気がするのはなんででしょう。

 そうそうこれだけ明かされると気になるのは、「朝びらき丸」で「東の果て」へと行ったリーピチープのこと。あれを読んだ時はよくわからなかった、他の世界から繋がってるような扉とか星の生まれ変わるところってのはまんま「世界と世界の間の林」を表してますが…。彼の使命や世界にとっての意味が、さいごの巻で明らかになったりするのかなあ…?

魔術師のおい C.S.ルイス(岩波少年文庫)
novel | C.S.ルイス
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馬と少年  [Edit]
2006-06-02 Fri
 半年ぶりに再開かよのナルニア5作目、一の王ピーターの…というか個人的にはエドマンド王の時代だけど、ナルニアの話というよりはおとなりの国・アーケンに深く関る話でしたね。次の「魔術師のおい」でナルニアの成り立ちも読んだところなんだけど、アーケン国は友好国というよりは兄弟国なのね。後の世にはどういう国として描かれてたかちょいと忘れましたが。シリーズ通して見たらば番外的な物語かな~でも私的にはかなり好みな物語でした。

 「こちら」から誰かがナルニアに渡るわけでもないし、魔女との戦いがあるわけでもないんだけど、その分ファンタジー色が薄くって、昔読んだ英米児童文学に近い味わい。赤ん坊の頃に行方不明になり虐げられて育った王子がやがて国に戻るってある意味定番だよね!いやーシャスタがかわいくって、彼の冒険がすごく楽しかったのだよ…(本人は落ちたり走ったりかなり大変な旅だったハズですが…笑)

 そんなわけですでにネタばれ気味ですが、南のカロールメンの国で漁師に育てられたシャスタ少年と有力貴族の娘であるアラビス、それから二人のもの言う馬・ブレーとフインが、北のナルニアへと向かう物語。その途中にそれまでの自分の価値観やプライドをリセットすることになる話、かな。小さい世界で得たそれを捨てることができれば、ひとつ大きな世界を手に入れることができるのだ。番外的?とは言ったけど、事の最初から最後までアスランが恣意的に関わってるのよねえ~。「ナルニア」の世界から見てこのことはやはり何か意味があることなのでしょうかね。ナルニアの世界における予言って世界の存続に関わることのような気がするので、コル王子が予言どおりアーケンの王になることが必要だったのかもしれないすね。

 印象的だったのはリューン王の「王とは」という言葉。誰かを思い出す…というか、そんな風な本物の王がいったいどれだけいることか…。それでもこれを読んで育った子供には、大人になっても忘れないで欲しいのだ。あとエドマンドの「裏切り者が」のくだりかな。高貴なひとらしくなっても、よその王子相手に容赦なく平手かましたりするところにやんちゃの名残が見えてやっぱり4人の中では一番好きだわと思ったり。

 ラストのハッピーエンドも楽しく嬉しい読後感で。コルもコーリンもかわいい~。そして実はフイン姫(注・馬です)がお気に入りっした。大人しく控えめなんだけど、後半言うことはきっちり言ってのけるあたりが凛々しくて、もし彼女が人間だったら好みの女子だっただろうな~とね。

馬と少年 C.S.ルイス(岩波少年文庫)
novel | C.S.ルイス
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銀のいす  [Edit]
2005-12-08 Thu
 ようやくナルニア4作目読了。ユースチスの成長を楽しみにしてたんですが、アスランから与えられた王子奪還の旅はこれまでになく厳しく暗くキツかった~。剣や魔法での戦いではなく、精神と心の強さだけで戦わないといけない。飢えと寒さに苦しんでいる時にやるべきことを見失わずにいられるか、光のない世界で目には見えないものをそれがあると信じていられるか、自分の記憶や感覚を手放さずにいられるかという。戦う相手は魔女ではなく自分なのだ。前半なかなか読み進められなくてちょい苦労したんだけど、王子の呪いを解くところから魔女との問答は手に汗握りましたですね。これまでにない心理戦だったけど、現実がどうとか世界がどうとか関係ない、信じたいから信じるんだというにがえもんの意思の力に救われた思い。誰かに押し付けられ、考えることを放棄した世界で平和に暮らすよりも、楽しいものや美しいものの中に真実があると信じることからはじまるのだ。「このさき長く地上の国を求めてさすらおうとも、暗闇の中に出かけてまいりましょう」

 魔女の心理攻撃はなんだか戦争や独裁下の社会を思わせるなあ。一つの価値観を押し付けられた時、自分の心や信じるものを守れるだろうか?というような。時代時代で魔女の手段も違うらしいですが、ナルニアの世界にも現代的な考え方や風潮が流れ込んでいるのかなあ?こちらの世界との対応も気になるのよね~近代化や技術の進化が全ていい方に向かうとは限らないし。例えばこの本の最初に出てきた「新教育」や戦争のように。そういうこちらの世界が反映されてるような気がしてなりませーん。なにしろ前書きで「ナルニアがくずれさる」ことは予告されてるわけなので…物理的にどうと言うより、人間の心の変化みたいなものが大きく関わってるのかなあと。

 「指輪物語」はこれから徐々に失われていくだろう神話時代の終わりと人間の時代の始まりを描いていたと思うのだけど、「ナルニア」は神話の世界とはちょっと違うような気がする。この世界が滅んだ後に現れるものは何なんだろう…?うーむ大人になってから読んでるせいで、純粋に子供たちの「ここではないどこか」の冒険物語としては読めないようです~。

銀のいす ナルニア国ものがたり (4) C.S.ルイス(岩波少年文庫)
novel | C.S.ルイス
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朝びらき丸 東の海へ  [Edit]
2005-10-14 Fri
 続けてナルニア3作目。2から続いてカスピアン王の時代ですね。今回は予告された通り兄妹のうち年少組のエドマンドとルーシィだけがナルニアに呼ばれるわけですが…何と言っても前半の主役は一緒に来るもう一人、いとこのユースチスでしょう!いや~楽しかった^^。物語を読まない子供が来るには場違いな世界に投げ込まれて、この世界では全く通じないにも関わらず一人孤高の常識人であり続ける彼の日記は面白いです(笑)。この世界に相応しいエドマンドやルーシィにはない視点でただでさえ憎めないところにもってきて、竜の島のエピソードで断トツ愛すべきキャラとして定着してしまった。さみしさを知り、誰かのために何かをする喜びを知り、友情とやさしさを知って、それでも時々は常識が邪魔をして完全には「ナルニアの子」になりきれないところが却って「いい子」過ぎなくていい(笑)

 竜になってからのユースチスと彼を慰めるリーピチープとの友情は一番好きなシーンだな~。自分の中の騎士道を貫くリープを一番理解できたのは、ひょっとしたらユースチスかもしれない。それくらいリープが彼に与えた影響は大きかったんじゃないかって気がする。きっとこれからユースチスが生きる上での規範になると思うなー見えないところでね。

 旅の目的はカスピアンの父の友人たちを探し出すことだったけど、それ自体はむしろ手掛かりであって、「東の果てのはじまりの地」まで行くと冒険とは全然違うものですねえ。正直言って、他の世界から繋がってるような扉とか星の生まれ変わるところとか海底の都とかになるとどう考えていいのか分からないわ~。ルーシィが海の中の少女も意味あり気で元の世界で再び出会うのかもと思うし、何か物語全体にとっての意味がありそうなんだけど…。ただ物語の流れがもう人の手を離れてしまったような印象を受けます。目的を果たすための旅ではなく「何か」の意思に導かれているような。望んで徃く者もあれば望んでも往けない者もあり、人はそれぞれの定めなり務めを全うしないとならないといったものが通底してるような気がする。そしてナルニアという世界にもそういう役割や定めがあるのかも?…わかりませんが。

 そう言えば前巻だったか、リーピチープがしっぽを無くした時の自分自身の誇りに対する忠誠と他のネズミの信頼に、アスランが「私を打ち負かした」というところがあって印象深かったんだよね。本来、ひとがそれぞれ背負った役割や定めがちゃんと果たされるか見届ける、導くのがアスランの役目のように思えるんだけど、リープはそれを超える意思の力を見せてくれたわけだ。運命に従容と従うだけでなく、ひとには時としてそれを打ち破る力があると思えるシーンで私も嬉しかったんだけど、アスランも嬉しかったのかもしれません。あるいはだからこそ、今回再び「石のナイフ」の魔法を打ち破るのにリープが選ばれたのかもね。この旅は、最初から彼を東の果てに導くためにあったという気がしてなりません。あ、だからリープの精神を受け継ぐためにユースチスが連れてこられたとかだったらいいなあ~^^。カスピアンはかわいそうな気もするけど星の乙女を妻にできたわけで…彼にとってはそのためにあった旅だったんでしょう、きっと。

朝びらき丸東の海へ ナルニア国ものがたり (3) C.S.ルイス(岩波少年文庫)
novel | C.S.ルイス
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