読書の欠片ネタバレあり
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ダークホルムの闇の君  [Edit]
2005-06-29 Wed
 ファンタジーの世界にもいろんな魔法の国があるけど、このダークホルムはかなり気の毒な…コチラ世界の悪徳事業家に食い物にされちゃっているのです。毎年巡礼ツアーと称して観光客が大挙して押し掛け、魔物と剣で闘ったり略奪したり最後の〆はラスボス・闇の君を倒して元の世界に戻るという筋書き。どの国や領地でも農地は荒らされ城は壊され人は殺されていくのに、40年前の契約のため魔導師も魔物もそれに協力して大掛かりな劇をしなければならない…巡礼団のやりたい放題と言ったらもうホント恥ずかしいほどで;;ううっゲーム好きでごめんなさい(爆)

 しかし考えてみたらDWJのファンタジー世界ってのは割とこういうところあるかも?魔法があってもあとはコチラの世界とそんなに変わらない。人間関係にしろ人生にしろ魔法で何でも解決できるわけじゃないみたいな。結局人間が身体使ってあくせく動かなきゃいけないのよね~。
 
 …というわけでこれも魔法使いがたくさんいる割に大変ドタバタしてました。チェズニー氏の巡礼団を終わりにすべく今年の闇の君に選ばれたダークもその子供たち…1男1女5グリフィン(!)も、一人何役もこなさなきゃいけなくてとにかくぐったり。魔法世界がこんなに体力使うなんてね(笑)。でも彼らにとってはダークホルム全体の問題より、自分の家庭問題や進学問題の方がよほど重要なわけで、身体ボロボロでもがんばってるのはダークホルムを救うなんて壮大な目的のためじゃなく家族の平安のためだったりして、実はこれはホームドラマなんじゃないかと。

 何より思春期のグリフィンたちがすげーかわいいですv。ダークが創ったグリフィンたちは人間のショーナ・ブレイド姉弟も含めて正真正銘の兄弟でフツーに「兄ちゃん」「姉ちゃん」呼びの会話がめちゃめちゃ和む(笑)。性格はそれぞれ個性的で皆只今思春期まっただ中の悩み多きお年頃、それがこのドタバタな状況下でどうしていいか分からないながら協力したりフォローしたりしながらちょっとだけ成長するのがいい。あとウロコが好き~。偉大なドラゴンにかかればグリフィンだって「猫鳥」扱いですから(くすv)

 そんなわけでダークホルムの平和もさることながらダーク一家に平安と笑い声が戻ったのが何だか大団円て感じでしたー。役に立たない空飛ぶ豚とか、羽根のある馬を得るためにダークに忠誠を誓うエルフの王子さまとか、家中占領してるドワーフとかのファンタジーの定番も妙に家庭的サイズなのが面白かった。続編の方はグリフィン主役の学園ものだそうで、より青春ぽくて楽しそうな気がしますv

ダークホルムの闇の君 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(創元推理文庫)
novel | DWJ
CM:0 | TB:0 |
九年目の魔法 上・下  [Edit]
2005-06-29 Wed
 19才のポーリィは、大学の休暇中に帰省した祖母の家で過ごすうち自分の記憶が二重うつしになっていることに気づく。壁に掛かっている写真も今読んでいる懐かしいこの本も、中身は確かに違っていたはず…一体いつから?記憶を遡るうち、10才の頃に出会った、大好きなリンさんのことをすっかり忘れていたことに気づいたポーリィは、奪われた記憶を取り戻そうとする―
 いや記憶じゃないな。取り戻したいのはリンさんへの想い、それからリンさんの未来。自分勝手な大人たち(これがまた容赦なくダメ大人なんだ;)に囲まれて育ったポーリィにとってリンさんへの恋心はたったひとつ自分のものだといえるものだったし、たとえ記憶がなくても早く取り戻さないともう二度とこの手に掴めないと何かが心を急かすから…

 そんなわけでこれは珍しく(かどうかは知らないけど…)恋愛色が高めだと思った。恋人同士の甘さは全然(!)ないし、むしろ恋人とも言えない関係だったりするんだけど、少女の頃から少しずつ育っていく想いは子供故にまっすぐで、自分をごまかしたりしない分強い。中世の物語なら囚われのお姫さまを救うのは騎士なんだろうけど、DWJの場合はやっぱり女の子が救うのね(笑)
 出会ってからそれを全て忘れなければいけなくなった時まで何があったのか…ほとんどがポーリィ視点で語られるので、リンさんの気持ちは最後の方になっても仄めかされる程度しか分からない。なのでパラパラ読み返しながらリンさんの気持ちを補完したりしてたんだけど(いやリンさん視点も自分的にはオツだなと<年の差v)、DWJ的にはリンさん(男の人)の気持ちは関係ないのかも(オイ)。あくまで女の子の意思とそれを貫く勇気の物語なのね。

 9年に一度ハロウィンの頃に必ず葬式が出る屋敷、一緒に見た二つの「NOWHERE(回すとNOW・HEREともNO・WHEREとも読める)」の花瓶、5年に渡って少女と青年との間で交わされた「英雄タン・クールとその助手ヒーローの物語」、奇妙にそれが本当になったかのような現実…過去はどことなく秘密めいて幻のようにつかみどころがないのだけど、あちこちに散りばめられたバラッド(創作なのかと思ってたけど古典なのだそうで)やアイテムが収束してからの展開はスピーディで面白いー。「こんなモダンな時代に」(byおばあちゃん)違和感なく立ち現れる別の世界。しかもこれが古典の物語なら恋人を取り戻してめでたしになるハズがDWJの場合はそこから更にヒネリを効かせて一回転て感じか。ラスト二人がどうなっていくのかはハッキリとは言えないけど…「どこでもないところ」はこの世界の「どこにでもあるところ」なのかな?一つの言葉の別の側面のように見ようによっては探し出せるところなんじゃないかと思ったり。

 そんで記憶を取り戻してからも女の子のたくましさが光ってますねえ~^^。ルームメイトとのもう子供じゃないんだからね的な会話とおばあちゃんとの作戦会議が好きv(「つかまって離さないのね!」<そしてホントにつかまってるし・笑)。ラストもずっと一緒にいるためなら一生好きだと言わないくらいできるのよね女はと。あとセブは意外とかわいいヤツでお気に入りっした(不憫…爆)

九年目の魔法 上 ダイアナ・ウィン・ジョンズ(東京創元社)
novel | DWJ
CM:0 | TB:0 |
アブダラと空飛ぶ絨毯  [Edit]
2005-03-08 Tue
 ここでもやはり男の子は穏やかで流れに逆らわず、女の子はやたら決断が早い攻め属性なのね~^^。舞台はインガリーより南方の国、ラシュプート。父の死後絨毯商人として地道に、しかしそれなりに商才を発揮して日々の糧を得ていたアブダラの元にある日アヤシすぎる空飛ぶ絨毯売りが(笑)。夢の中で飛んだ先には生まれてから父親以外の男性と会ったことがないという「夜咲花」姫、アブダラが姫に一目惚れするのはともかく姫が速攻でアブダラとの結婚を決めるのは少々早すぎだろうけど、終わってみれば姫が洞察と直感に優れた賢い娘さんだったことが証明されましたねー。物語のほとんどは目の前でジンに攫われた夜咲花を追いかけていくことなんだけど、その間にアブダラが大人しいけど決して優柔不断じゃなく、夢想家ではあるけどその夢に逃げ込まない真っ当さと他人に対して優しさを持った男の子なことが分かってくるのでv。成長してそうなっていくってよりはもともと持ってる性格みたいだけどね。

 小道具として魔法の絨毯があるにも関わらず、地道に歩いて探しに行くのがいいんだよねえ~。砂漠を越え、警備隊に追われ、猫の世話をしつつ(コレ重要・笑)夕焼けを見ながら野宿とか。ファンタジーなのにリアルというか結局頼りになるのはスネ魔法(笑)よりも智恵とか自分とか友達とかっていう、前作に引き続きいい感じにジュブナイルなんだよね^^

 前作に引き続き…と言えば隠しキャラたち。ハウルはバレバレでしたが(爆)、まさかモーガンがあの姿で生まれたんだとは思わなかったので楽しかったですねえ~。そして相変わらずケンカの原因がラヴくって嬉しかったわ、くすv<あなたが残るならわたしも残る

 しかし実はこの中で一番のお気に入りは兵士かもしれませんー。なんかこういうサバイヴァル系で面倒見のいいタイプにはかなり弱いです。それでもってその正体はそう来るか~と(笑)。いや、よかったね、前作じゃちょっと気の毒だったし幸せになってv。っていうか、別人格になってたおかげで枠を越えたというか、元の身分にはなかった属性が加わっていい男になったというか。兵士とビアトリス王女のところは、アブダラと夜咲花が仲直り(?)した場面よりもツボにはまってニマニマしてしまったわ~~v

 あとはジン兄が何だかんだ言って弟を放っておけなかったとことか。善悪を越えた、そういうちょっとした感情がリアルだと物語が引き締まります。インガリー周辺から遠い国々のことも語られて現実のこの世界のような地図も思い浮かび、実際戦もあったんだけど…今回のことがキッカケになって友好関係が築かれ当分の間は世界が平和に暮らせそうなのも大団円にそっと花を添えてよかったv気分を演出してくれたしね。

アブダラと空飛ぶ絨毯 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(徳間書店)
novel | DWJ
CM:0 | TB:0 |
魔女集会通り26番地  [Edit]
2005-02-07 Mon
 まだファンタジーブームが来る前、この人の作品で日本で翻訳されたのはこれがはじめてだそうで。長らくこれ一作しか出てなかった…のかな?(今はそりゃもう花盛りですが)で、ずーっと以前、小野さん関係のサイトかニフのFTフォーラムかどこかそのそのあたりで、この本の評判聞いてたことをごく最近思いだしましたー。以下ネタバレです;

 古いイギリスをベースに魔法使いや妖術師、ありとあらゆる「魔法的なもの」を職業とする人が普通の人々の間に混じって生活している世界、それでもその地位や才能はピンからキリで、世の中の普通の人達からはどちらにせよちょっと浮いている。強い魔女の才能を持つグウェンダリンと欠片も魔法が使えないキャットの姉弟は、両親を亡くした後大魔法使いクレストマンシーの城で暮らすことになるのですが…。このグウェンダリンがなかなかに驚いた性格で、てっきり彼女がヒロインで段々変わってくんだろうと思ってたら途中からアレアレアレ?てな感じに(笑)。幼い頃から魔女の才能を発揮しいずれ世界を支配できると易者から予言されたグウェンダリンは、自分のその望みを最後まで決して諦めないし変わることもないという…児童書にしてはかなりハードな読み応えで驚いた。

 私はファンタジーの持つ「都合のいい部分」がどっちかというと苦手で、結局主人公は無敵で傷つかなかったり何でもアリな部分が透けて見えたりすると食傷気味になってしまうんだけど、この展開は何ていうか人間的にすげえリアルじゃないですか?力で世界征服はともかく、自分の欲望に忠実でそのためなら何でもできる人間がいるというのが…それが中途半端に改心したりメデタシにならないところが。これは魔法とか世界の秘密とかそれを守る組織とか、そういうファンタジーやパラレルSF的なところで読む話じゃなくもっと身近で普遍的な人間の物語だと思ったなあー。とにかくファンタジーという言葉が持つふわふわした感じや子供向けの嘘が全然ないのが面白い…いや自分がファンタジーや児童書あんまり読まないから知らないだけで、そんなふわふわしたのやコドモ向けの作品ばっかりじゃないんだと思うけど。とにかく、お?何か違う?と思わせて気になる作風だわー。あとミニドラゴンがかわいかったv

 ちなみにクレストマンシーシリーズは他のも翻訳された時にこの話も新訳で出てますね(「魔女と暮らせば」)。こっちのが好きだと教えてもらって私も最初の版で読んで、で図書館で新訳の方もパラ見してきたんだけど、私もいくつか絶対こっちの方がいいなと思った。ネコの名前、フィドルよりバヨリンのが絶対かわいい~~~~!(笑)そして何より最後の一文から受ける印象が全然違うんだ…訳の正確さという点ではひょっとしたら新訳のが正しいのかもしれないけど、後半キャットで読んでた自分としては絶対「なんとか笑顔を見せた」なんだよね。「やっと声をあげ、笑いだした」はいかにも爽やかそうだけど、キャットの気持ちはそうじゃないと思うから。決して甘くはない現実と向かい合わなきゃいけなくて、気持ちの整理はつかないながらやっぱり憎み切ることもできなくて、自分がしたことの結果も目の前にあって。それでも何とかこれから生きていこうとするキャットがすごくいじらしいくって残るのですよ。

 魔女集会通り26番地ディアナ・ウィン・ジョーンズ(偕成社)
novel | DWJ
CM:0 | TB:0 |
魔法使いハウルと火の悪魔  [Edit]
2005-01-24 Mon
 ハウル原作、聞いてた通り映画とは全然別物でしたー。そして予想通りこっちのハウルのが断然好きっしたv。ハウル×ソフィも、え、もう?!な突飛なとこがなくて自然だったし、話もすごいスッキリしてたよ?もっと青春ぽいというか(笑)なので私的にはこっちの二人のが萌えーv

 まずはソフィ、映画だと冒頭の内気で引っ込み思案な感じとおばーさんになってからのフッ切れ方にギャップがあって、どーしても自分を誤魔化してる感が拭えなかったんだけど、これは時間が限られててしかも映像で印象が固定されちゃうからしょうがなかったのかな。原作だと最初から「どうせ長女は失敗する運命なのよ」などと諦めを口にしつつ、何かこう怒りのパワーがあるというか、つい世話やいてしまう長女気質というか待ちが苦手な攻め属性というか(笑)。なのでおばあさんになってからのソフィとに違和感がなかったです。そしてハウルに対するアクションも映画とは正反対!なんだね(笑)。放っておけば闇に落ちてしまいそうなへたれハウルを救ってあげなきゃと思うことで段々素でいられるようになっていく映画と、意識すればするほど「好きになんか絶対なるもんか!」とハウルの魔法さえ強力ブロックしてしまう意地っ張りさがカワイイ原作と。そこここで心臓が跳ね上がったりもやもや言葉では言えない気持ちになったりしてるのに必死で抵抗してんのがかわいいです、くすv

 カワイイ、と言えばハウル~<「ねえソフィ」連発(笑)風邪ひいてるんだけどね攻撃とか(それをパタパタ世話するマイケルがまたかわいいんだ・笑)、機嫌のすこぶる悪いソフィの顔見るなり「どうかお慈悲を!」とか。全然王子っぽくないんだけどなんかほのぼのしてて楽しそう。うん、段々ハウルが楽しそうになってくるんだよなーソフィといるようになってv。契約のせいで誰も愛せなくなってると思い込んでるハウルには恋愛はたいくつしのぎのゲームだったのに、ソフィといると予想はことごとくハズされるわ、呪いはどんどん成就するわで退屈してるヒマがない(笑)。ハウルにとって「人生が退屈じゃない」って教えてくれる存在ってのは何より大きいんじゃないかなあー。それは他人と関わらないと得られないもので、だからこそこれまでハウルの手には入らなかったものなんだよね。故郷でもどこか浮いてたハウルは素のままの自分を見せることが苦手だっただろうし…愛してるのにうまく伝わらない分かりあえないって経験は自然他人と距離を置かせてしまうから。縛られるのが嫌いなんだとマイケルは言ったけど、多分縛ることの方がもっと嫌なんじゃないかなあー…嫌というか、それを口にすることが出来ないんじゃないかと。だからこっそり窓を故郷に繋いで、マイケルもなし崩しに弟子にして、縛らず近くに置いておくことがハウルなりの愛情なんだよね…でもそれはやっぱりどこか孤独だし淋しい…

 そういうハウルが段々変わっていくのが嬉しいし、だから自分には原作ハウルの方が身近で愛しいんだろうなー。自分の心の闇と戦うっていうの、正直あんまり分からなかったので;。縛るのが苦手だったハウルが遠回しにソフィが出ていかないように手を打ってんのも微笑ましいし~壮大じゃなくても、確かに変わって行ってるってのが感じられて。映画のように「家族」ってのも嫌いじゃないけど(でもマルクルがそれだけに使われたのがちょっと寂しかったケドー)、他人を寄せ付けなかったハウルの周りがいつの間にか賑やかになり、いつの間にか素で走り回ってるハウルをそのまんま受け入れてるのが、なんかジュブナイルぽくていいなあとv

 ああそうそう、そういう孤独さを抱えてるハウルだけど、でもそれにどっぷり浸かって落ち込んではいないんだよね。孤独も自分の一部だとちゃんと知ってる。一方通行でも守りたいものもある。別にへたれ…てないよなあ?ただ正直じゃないだけで(笑)本当はいろいろ動いてるのに、でも表面上はあくまで女たらしのフリしつつ、のらくら躱しつつ、本当のことは言おうとしない曲者なとこが好きー。十分大人だと思うんだけど、そういう自分のペースが通用しないソフィ相手だと段々ガキなとこも見えてきたりねv

 原作マイケルもいい感じの男の子だったわ~♪気を許してくれてからはかわいいし、マーサともお似合いカプだしv。ハウルと一緒に実はソフィを心配してたりするとこや、段々ハウルとも心が通じるようになって師弟っぽくなるとこも。レティーは最終的にはサリマンなのよね?王子じゃなく。これ、原作は三姉妹ってのがいいなあと。ソフィの性格は「長女」ってことを抜きにして語れないくらい長女気質だし、三人それぞれに(母親とも誤解が解けて)初々しいカプ誕生なのが何ともまあるくて幸せ気分に。こういう気持ちでパタンと本を閉じれるのがやっぱり好きなんだよねえ~。

魔法使いハウルと火の悪魔 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(徳間書店)
novel | DWJ
CM:0 | TB:0 |
| 日々是好日 |
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