読書の欠片ネタバレあり
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サンキュー、ジーヴス  [Edit]
2007-03-06 Tue
 7冊目ですが時系列的には最初の長編になるんでしょうか。しかしなんとのっけからジーヴスが辞表を提出するというスリリングな展開で幕を開けた「サンキュー、ジーヴス」。ジーヴスとバーティの関係もいろいろ乗り越えてあそこまでになったのねえ。

 バンジョレレという楽器がどういうものかはよく知らないが、バーティ歌はうまいのに楽器はよっぽどだめなのね…。ロンドンのフラットを追い出されジーヴスからもバンジョレレとの同行を拒否され、友人のチャッフィーが所領するチャフネル・レジスへと居を移したバーティを待っていたのはまたも友人の恋愛問題。しかしその相手がかつてアメリカで一瞬だけバーティと婚約していたストーカー嬢で、チャッフィーが彼女に結婚を申し込むのを阻んでいる大きいだけでやっかいものの屋敷と伯母さんを一度に片付ける鍵を握っているのが、バーティの宿敵グロソップ御大ときたら、おもしろくならないはずがない。

 しかしバーティの行動っていつも本人的にはやむを得ない感じで、むしろ周りの人たちの方が突飛で非常識だったりすることも多いのに、結果だけを見るといつもバーティが変に見えるってのが絶妙ですね。今回なんてめちゃめちゃ被害者だと思うのですが・笑。それでもどこかお人よしで友達思いで憎めないバーティ…「あなたには、頭のくるくるしたアヒルちゃんみたいな可愛らしさがある」ってのは言いえて妙だわ~~。わたしも彼のそういうとこがすきだわ・笑。

 いやー決して馬鹿じゃないですよね彼は…そして今回、ジーヴスの薀蓄や話し方が一番輝くのはバーティといる時だということもよーくわかりました。しかしその一番のポイントが「生まれついての独身者」なこととは、へぇ~~って感じです。一体どんな「職業上の感情」があるのか気になるところだけど、そういうことなら確かにバーティはジーヴスにとって理想的な主人なんだわ。バーティの余人の追随を許さないユーモア溢れる言い回しと(「頭のてっぺんから2センチ半飛び出して先っぽがくるんと丸まっていた神経」なんて)ジーヴスのどんな滑稽な状況も難しく言い換えてしまう掛け合いはホント最高です。

 前に解説で触れられてた「バーティとグロソップ御大が親友になる」のって、ひょっとしてこの話がきっかけなのかも。キ印の印象が変わっただろうと思うと私もうれしいわ・笑。だって今回のラスト、ほんとうにバーティって金のハートの持ち主なんだもん~~。ジーヴスの采配でバーティだけが貧乏くじを引くのもいつものこととはいえ、それも愛情ゆえと思える思えるジーヴスの一言にも大満足ですv

サンキュー、ジーヴス P.G.ウッドハウス(国書刊行会)
novel | P.G.ウッドハウス
CM:0 | TB:0 |
でかした、ジーヴス!  [Edit]
2006-09-02 Sat
 飛ぶ鳥落とす勢いで出ますね~5巻目は短編集です。まず最初の序文がおかしい…一人の作家が同じキャラクターのシリーズを長く続けることについての、非常に学術的かつ興味深い論述がされてるのですが、言われるままについふらふらと本屋に出かけて既刊を注文してしまいそうな(笑)、催眠術に近い効果がありますね、ウッドハウスの文章ってば。

 「この人はあんただけの時もこんなふうに話すの、バーティ?」とはダリアおばさんの言ですが、そうかやっぱりこの時代のイギリス上流階級にあってもフツーじゃなかったのね・笑。この主従の難解な(というか古風な?)やりとりが面白いのよねえ。他の人にはジーヴスが何を言ってるのか言い回しが難しすぎてよくわからないことも、バーティが阿吽の呼吸で翻訳してくれるし、バーティの思考が飛躍し過ぎてまたこのおバカさんは何を言い出すのかしらと周りが胡乱な目で見る時も、ジーヴスは完璧に主人の思考・行動を把握してるわけで。日常平和な時もさることながら、事が起こってのっぴきならない時もあくまでこのやりとりを続けてるのがおかしいのだ。状況に合わせてテンポが緩急するのよね。

 ジーヴスのつけるオチでバーティの世間的評判が下がるのはいつものことなんだけど、バーティ好きな私でさえそれもまたよしと思えるようになってきました…。そもそもバーティも今さら自分の評判が下がってもそんなに気にしないわけだし。それよりはガチガチな上流階級のしがらみやアガサ伯母さんから逃げて静かで平和な「人が人たりうる」ぼんくら生活が何より一番なわけで、ジーヴスは名を捨てて実を取り主人を幸福にしてくれてるのよね。だからバーティはいつも愛するファションやプライドを差し出してジーブスの灰色の脳細胞に報い、ジーヴスもまた満足すると。うーんパーフェクト!

 今回は頭脳作戦だけでなく力ワザも冴えてジーヴスの新たな一面も見れ、意外とバカンス好きというか鼻がぴくぴくしたり船乗りめいた眼差しになったりと(バーティ談)ジーヴスってかわいい…と思ってしまった・笑。おなじみの面々も健在で、その出来事が悲劇であればあるほどおかしいというのを今回もたっぷり味わえて満足です。

 ところで訳者あとがきで、世の執事ブームについて触れられてますが、例の執事カフェとかつくらはちょっと違うんじゃ…笑。斎藤教授の「執事力」はちょっと気になります。愛娘のエッセイと妻に宛てた書簡も作家ウッドハウスの為人がなんだかすごくよくわかって微笑ましかったわ~。

でかした、ジーヴス!?ウッドハウス・コレクション P.G.ウッドハウス(国書刊行会)
novel | P.G.ウッドハウス
CM:0 | TB:0 |
ウースター家の掟  [Edit]
2006-08-04 Fri
 「よしきた」の続編にあたる長編で、今度の舞台も古きよき田舎の大邸宅、トトレイ・タワーズ。ここはかの、バーティをして蛇に睨まれたカエルのごとくプロポーズを受け入れさせてしまう恐るべきマデラインの家であり、その父親はかつてバーティを警官のヘルメットを盗んだ咎で5ポンドの罰金を奪ったバセット御大なのだ。…うーん、ちょっと言い回しがウッドハウス調になってしまうな(そうか?)

 まあとにかく今回も二組のカップル、警察官に独裁者、それにダリア叔母さんまで入り乱れてのドタバタが展開されるわけで、今回もバーティは理不尽な女性たちと間が抜けた友人たちに振り回され、何故か自分のところに回ってくる災難をひいこら打ち返すハメになるのだ。いやー今回バーティがとってもマトモな人間に思えたわ…笑。そして相変わらずどんな切羽詰まった状況も、文学的で格調高く難しい言い回しで評すのがおかしくって笑えるのです。1ページにいくつくすぐりがあることやら。ジーヴスとバーティ万歳です。

 お気に入りのダリア叔母さんの狩猟系ギャロップも健在だし、ピング嬢も強烈だったけど、今回の見所はピング家の犬に追われて箪笥の上に飛び乗る主従コンビでしょうか。すごい光景だ…

 そしてそうそう、訳者あとがきにある通り、珍しくバーティにとって満足の行くオチだったのが何よりでしたー。いつもいつもバーティだけが割りを食うのがジーヴス流かと思ってましたが、今回はホントの大団円。ウースター家の掟を貫くバーティは男らしく、ダリア叔母さんとの親戚タッグは心あたたまり、見事バーティに世界一周クルーズを受諾させたジーヴスの嬉しそうな様子がまたいい感じじゃないの。例のヒバリとカタツムリの詩がこの大団円を完璧なものにしてくれるしね。…これが今回だけじゃないといいんだけど・笑。世界一周クルーズの話もあるのかなあー。この主従がいれば船旅に退屈してるヒマはないと思うわ。

 あとがきで紹介されてたウッドハウスの書簡もおもしろかった…。作家が頭の中で同じ場面を何度も何度もこねてる感じが伝わってさ。そして私のバーティ好きはこの訳者のバーティ像によるところが大きいのかしら~バーティ・ウースターは愛されていたのだ、に思わずうんうん頷いてしまったじゃないの…。

ウースター家の掟 P.G.ウッドハウス(国書刊行会)
novel | P.G.ウッドハウス
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それゆけ、ジーヴス  [Edit]
2006-05-31 Wed
 シリーズ3作目は全部時間も舞台も独立の短編集。「比類なき~」は連載というか、連作中編みたいな感じだったので短編集は初めてなんだけど、これがハッキリ言って面白い!!3作の中で一番ジーヴスの面目躍如なんじゃないかしら?どうやら発表された順番的にも初期のものだったり前2作の合間に書かれたものだったりするらしく、キャラ関係の説明とか関係とかも親切で、テンポもいいし、何より毎回繰り広げられる「お約束」(衣装バトルとか毎回ジーヴスの見事な手腕が堪能できるとかバーティがジーヴスに与える報酬とか)がこれだけ読めると楽しくって仕方ありまセン。

 そもそもジーヴスが初めてウースター家にやってきた(というかバーティ付きになった)登場編から始まることだし、むしろこれが1作目の方が「ジーヴスシリーズ」ってどんなの?とかその美味しさの秘訣ってのがよく分かるような気がするが、後から読んでああ~これはあの時ちらっと言ってたあの話か!とかあの人が!とかいう楽しみも捨てがたいかなあ?ネタバレになっちゃう話もあるしね…と、まるで編者のように悩む私でしたが、まあ面白いんだからどっちでもいいや・笑。とにかく「それゆけ」はお楽しみネタも満載でオススメの逸品となっております。

 「ジーヴス登場」編。この後しばしば言及されるジーヴスの持ち技その1・瞬間移動術(笑)。特製ドリンクも衣装バトル(主人のプライドバトル、でもこの後ジーヴスの働きに報いるためにバーティは何度も自らそれを差し出すのだ・笑)もジーヴスの親戚交遊関係の一端も、全部そろってますなー。ジーヴスがバーティの「脳みそ」担当となった、双方にとって喜ばしい出会いだった…ってことがラストで分かる・笑。

 「比類なき~」でもニューヨーク亡命時の話があったけど、同じ時期にこれだけいろいろあったとは。こっちの方が波瀾万丈で面白いー。バーティの暢気な生活が侵されるのがジーヴスにとっても「きわめて不快」で知略をしぼって難問に挑むのがいい関係じゃないの。

 再度登場のサー・グロソップがホントにバーティと親友になる日がくるのか?!信じられんが楽しみだ。バーティの歌の報酬も楽しい。ジーヴス的にも「たいへん結構」なのね?そしてジーヴスは子供が苦手という意外な弱点も。

 おおービンゴも登場だ、何と、無事に甘い(嘘)新婚生活が送れてるじゃないの~~。そしてダリア叔母さんも待ってました。あの名コック・アナトールがこんな次第でトラヴァース家にやってきたとは、なんておいしい話なんでしょう。こんがらがった使用人の恋愛模様もおかしい。前作の「踊る使用人」も楽しかったなーロンドンって感じです(?)

 ラストを飾る「ジーヴスの独白~実録・私はいかにこの心地よい職場を守ったか」はサイコー。初めてで今のとこ唯一のジーヴスの語りあーんど以前に話だけは出た「バーティ女子校で講演する」の真実が・笑。まさにジーヴス流「機略」の真骨頂ですね。そしてこれまであんまり明かされなかったジーヴスの私的な思いもたっぷり読めて大満足。ジーヴスにとってバーティとの「独身世帯」は心地良いもので、バーティの愛すべきおバカさも必要不可欠なものなのね、とこれまでも感じては来たけど、直接ジーヴスの口から聞けて嬉しかったわ。この理想の職場を維持するためならここまでやるか…笑。すごいぞジーヴス。

 すっかりこの二人のキャラに慣れてしまったが、あとがきによれば文春版「ジーヴズ」の方はまた違ったキャラ造形らしい?やっぱり訳者の持ってるイメージがそのまま出るよね~。そちらの二人はどうですか?>私信

それゆけ、ジーヴス P.G.ウッドハウス(国書刊行会)
novel | P.G.ウッドハウス
CM:0 | TB:0 |
よしきた、ジーヴス  [Edit]
2006-05-17 Wed
 シリーズ第二弾は長編で。叔母さんの屋敷(いやもちろん主は叔父さんなんだが…影が薄いので・爆)があるブリンクレイ・コートを舞台に、バーティが大活躍する…ハズだったお話・笑。今回も早々に愛するカンヌ仕様ド・ハデ・ジャケットのせいでジーヴスと仲たがいしてしまったバーティは、自ら二人の友人の恋愛相談とダリア叔母さんがカンヌですった500ポンドを叔父さんから引き出すのに乗り出すのだけど、それがまた周りにも自分にも悪い目が出る連鎖反応を引き起こし、のどかなブリンクレイ・コートを傷ついたハートでいっぱいにしてしまうのだ。

 いやーでも客観的に見てバーティのやり方がそうひどいとも思えないんだけどね~~何もそこまで…なヒドイ言われようが涙を誘うわ。や、なかなか理性的常識的な作戦と言っていいと思うのだけど(まあ多少は…おかしいが・爆)、これがあちこちイレギュラーに跳ね返ってこんがらがるのがお約束。最後は結局ジーヴスの神のごとき頭脳的作戦で一挙五得くらいの見事な幕となりました。割を食うのは今回もバーティのみの大団円…ジーヴス的にはいいのかそれは?!…はっきり言ってバーティよりよほど非常識かつ悪魔的な作戦だと思うんだが、最後はキッチリ全部総取りしてくとこが最強っす。「タマゴを割らずして、オムレツは作れません、ご主人様」(笑)

 でもバーティにとっては総負けのラストなのに、なんとなく愉快で幸福な気がするから不思議だー。それはバーティがとっても打たれ強くて、すべて世はこともなしと人生を楽しむ秘訣を知ってるからかもね?と思ったり。そしてこういう主従関係ではあるけど、この二人の掛け合いが好きなんだな~。上流的上品さを崩さないジーヴスの表情や言葉をバーティが増幅して伝えてくれるのが楽しい♪「想像力が恐れをなしている」とかね。バーティの言語感覚って好きだわ~笑。

 そうそう、今回幼なじみのビンゴは出なかったけど、ダリア叔母さんが最高!叔母さんが出てきてしゃべるとこは全部面白かったー。アガサ伯母さんに比べると断然親しみやすくてそして狩猟系…笑。あーあと今回電報関係も笑わせてもらった~~短い言葉ってドスッドスッと効くんだわ。

よしきた、ジーヴス P.G.ウッドハウス(国書刊行会)
コメントを読む(2)
TBさせていただきました(やっと)  by 兎に角うさぎ
 ジーブス面白いですよね~!バーティもおバカなようだけど、友だちとしては世話もやいてくれるし、前向きだし、この二人のバランスが絶妙です。次の感想もお待ちしております~vv
ありがとですv  by banri
そうそう、二人のコンビというか掛け合いがいいですよね。これがジーヴスにすべてお任せのちゃんとした(え)主人ならこうはいかないわけで、取りあえず反骨精神の旺盛なバーティのおかげでますますジーヴスの勝ちが溜まってくってわけで。
ジーヴス欲しいですか?笑。確かにジーヴスがいれば怖いものはないわ!居心地のいい空間と二日酔いに効く特製ドリンクもあるし・笑。でも私のワードロープは空っぽになりそう…や、私なら喜んでお任せにするけどね~やっぱ(ある意味)バーティってすごいかも…
novel | P.G.ウッドハウス
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