読書の欠片ネタバレあり
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グリーン・マイル 全6巻  [Edit]
2006-05-16 Tue
 キング=ホラーって認識だったくせに、この本が出た時ものすごく気になったのです。薄い装丁の文庫が月一回、6ヶ月間毎月刊行というのもちょっと変わってたけど(文庫の分冊形式=シリーズものなら日本じゃ普通だけど、最初から月一回全6冊と予告して、そしてその通りになるのは少ないと思うぞ・笑)、タイトル、装丁、そして本自体から「ちょっと違うぞー読め~」というオーラを発してたのよね…って読みたい本リストにいれてからもう何年も経ってしまいましたが(爆)。いいんです、今がちょうど巡り合わせってことで。

 物語はこの前に読んだ「リタ」と同じく回想形式で語られる。コールド・マウンテン刑務所の死刑囚棟の看守主任であるエッジコム、彼が最後に受け持ったコーフィという男について、そしてその年の刑務所内外で起こった出来事について、そうしてまた小さなネズミについて…一件直接関係なさそうないくつかのささやかな出来事が積み重なって、静かな予感が広がっていく。

 そう、静かなんだよね~キングの文体って(全部がそうかは知らないが…)。双子の少女が殺される凄惨な事件があることも、パーシーのように、あるいは後に彼を彷彿とさせるブラッドのように、弱い者を踏み付けようとする人間がいることも、それは理不尽だけど現実に存在する暗闇で、それを殊更に誇張したり恐怖を煽ったりしてるわけじゃない。そういう闇に出会った時人間は何もできないかもしれないけど、それでも心は揺さぶられ平静ではいられなくなるのだ。闇に飲み込まれることもあれば(ホラー)いろいろなものを失いながらもかすかな光を見ることもある(非ホラー)…そのどちらへの眼差しも淡々としてて静かで、でも突き放したような(突き落とすというか)冷たさはないんだよなあ…

 コーフィの持つ力だけを取り上げれば超常ものでもあるけど、でもやっぱりメインはそれじゃないね。人間観察っていうか…自分ではどうしようもないことなのに心に引っかかって取れないトゲとか、思わずとってしまう行動とか。限られた狭い世界の中での(刑務所であるということを除けば)ホントにささやかな「日常」こそがドラマで、一人一人の人間像が積み上げられ血肉を持ってくる。だからこそグリーンマイルまでの道のりとそれぞれがそれに向かい合う気持ちから目を逸らせないのだ…。「俺はもう行ってしまいたいんだよ」そう言いながら暗闇を恐れるコーフィからも、真実を知りながらそれを見届けなければならない看守たちからも。

 うん読む前に感じた予感どおり、よかった~。最後の最後でそうだったのか~と驚く仕掛けもあったりして、この回想の本当の姿が明らかになるんだけど、そこにもそれまで積み上げてきた感情が生きてるんだよな。孤独感と懐かしさ、恐怖と救い…それらがごた混ぜになった「グリーンマイルは遠すぎる」には背負ってきたものの重みが込められてて、それがそのまま人間の重みのような気がするのでした。

グリーン・マイル〈1〉ふたりの少女の死 S.キング(新潮文庫)
novel | S.キング
CM:0 | TB:0 |
ゴールデンボーイ  [Edit]
2006-04-10 Mon
 …読んだのもう二ヶ月以上前ですがリハビリ感想(つかいつまで借りてんだよ…スミマセン<殴)

 多分初キング…かな。映画も「スタンド・バイ・ミー」(これは好きv)くらいしか観たことなくって、キング=ホラーという強固な認識だったんですが。でも「グリーン・マイル」はずっと読みたいリストに入ってて…と言ったら教えてもらったのがこの本に収録の「刑務所のリタ・ヘイワース」。映画「ショーシャンクの空に」の原題であります。

 一応非ホラーだとは聞いてたけど、そこはホラー苦手な自分なのでおそるおそる(笑)ページをめくってたんだけど、最初の数ページで、うわやられた…と思った。刑務所内で40年近くもよろず調達屋をつとめてる「顔役」が語る、アンディ・デュフレーンという男。妻殺しの罪で服役してきたその元銀行マンの、他の囚人たちにはない匂いというか、淡々とそれでいて潔さと意思の強さを感じさせるその姿と、回想だからこそつらいことや悲しいことが浄化されて懐かしさが残るその語り口に。「うれしいことがあっても、ぽつりぽつりとしか話さない。つらいことは、胸の奥へしまいこんでしまう」…うが。めちゃめちゃ弱いんですが私、そーいう人に~~。

 そうして30年近くもの長い間、アンディという男が刑務所の中でどう生きていったのか…そしてその間も変わることなく自分であり続けたのか…できるだけ客観的な事実だけをと積み重ねられていくアンディ像と、そこに惹かれていく語り手の気持ちがクロスして、読んでるだけでぎゅうーっとなるのだ胸が。見えるとこで特別な何かが起こっているわけでもないし、爽やかな友情物語が展開されてるわけでもない。だけど後になって分かるのだ、彼を支えていたのが希望っていうもので、本来刑務所の中にはあり得ないものだからこそレッドが彼に惹かれたってことが。あの状況で希望を持ち続けることがどんなに困難な道で途方もない強さを必要とするかが痛いほどに分かるだけに、それが人生の下り坂で「世界」に放り出されて不安に竦む足を動かし、ここからでもまだ生きていけるという力になるラストにはもーホント…参りました。間違いなく「おれの物語」でもあり…人間、なんだよなあ。

 それにしても一見何気ない描写やタイトルが深い意味を持ってたり、開けっぴろげに見えてその実抑えた語り口といい、何よりその人物造形がすげーいいですキング(平伏)。穏やかで静かで、内に闘志と意思を秘めたひと。弱さも狡さも生きていくためにうまく折り合いつけて生きているひとたちも。憧れと現実と希望と諦めがない交ぜになったその姿が紛れもなく人間だと思う。文章も好みだなあ…アメリカ的持って回った言い回しって苦手なんですが、かなりストレートででも押し付けがましさがなくて。淡々としてるけどどこかに引っ掛かって残るんだよね。そっかーホラーでも弱さとか恐怖とか、そーいうのを通して人間を描いてるんだろうってのが何だかよく分かったよ…ホラーも読んでみよう(笑)

 ……って表題の「ゴールデンボーイ」は早速ホラーなわけですが(爆)。心理ホラーはまだ大丈夫、ホッ(違)。ナチの虐殺写真に心を捕われてしまった少年が、亡命したナチ戦犯の老人を見かけて近づいたことで、お互いに少しずつ心の歯車を狂わせていく話。恐怖に押しつぶされないためには自分が恐怖になるしかない…ってのは戦争中の兵士の心理にも通じるかもしれない…。そして恐怖の元でありながら、それを共有する人間がある種の救いになるというのもまた人間心理だよなあ~。

 こちらはリタとは正反対で、人間の心の弱さや脆さを描いた話だけど、その描写にはううむと唸らされるとこがいくつもあった…ような(すでにうろ覚え・爆)。いや、いろいろ書こうと思ってはいたけどリタで大分書いたので割愛<オイ。なんてのか、恐怖と平安を行ったり来たりするその過程と心理には思わず納得してしまうというか…嫌悪と理解とそしてある種の親しさが紙一重なのがすごいと思ったす。どちらにでも揺れ、どれもみな含んでいる存在…それは多分、誰もがそうなんだろう。何も彼らが特別なわけじゃあないのだ…だから怖いんだよな;

 物理ホラー(痛そうなヤツね;)はやっぱちょっと躊躇するけど、あと超常現象ものとかもあるよね確か。「ファイアスターター」とか実は読んでみたい。あと何だっけ…「ペットセメタリー」だっけ?怖いだけじゃないってのはうん納得…なんで大方大丈夫だと思うよ(笑)

ゴールデンボーイ?恐怖の四季 春夏編 S.キング(新潮文庫)
novel | S.キング
CM:0 | TB:0 |
| 日々是好日 |
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