読書の欠片ネタバレあり
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うそうそ  [Edit]
2006-06-29 Thu
 シリーズ5作目は1作目「しゃばけ」以来の長編ですねー。「うそうそ」とは「きょろきょろ・うろうろ」たずねまわる様だそうな。というわけで、うそうそ自分探しをする、自信のない小さな姫神さまのお話。

 江戸を離れて箱根に湯治に行くことになった若旦那。ところが港を出るか出ないかのうちに佐助と仁吉がいなくなるわ(超異常事態)、箱根に着いた途端に攫われるわ天狗に襲われるわ、湯治で丈夫になるどころか湯にさえ一度も浸かれないまま箱根山中をさまようハメに。うーむかなりハードだったが果たして無事に江戸に帰れたんでしょうか。

 今回仕方なかったとはいえ、強引ぐマイウエイな佐助仁吉の超過保護っぷりが影を潜めた分、若旦那はがんばりましたねー。いつもはもっと頭脳担当なんだけど、今回は相当身体張ってたわ。身体は弱いけど、あれでなかなか意地っぱりだし思い切りも勇気もあるとこをしっかり証明しましたね。でも佐助仁吉が側にいるとなかなかそれを発揮させてもらえないから、若旦那にとってはよかったかもしんない。それに何もできないのにここにいていいのかという姫神の悩みは若旦那にとってシンクロするものというよりもう超えてきたものなんだよね。言葉で何を言うでもなかったけど、若旦那の「できないって言ってないで、やってみたいんだ」って気持ちが姫神を動かしたわけで、見えないところで若旦那も成長した…ような。江戸に帰っても以前みたいに「己の手で何もできない」と悩んでばかりいないでどこか吹っ切れるかもしんないね。若旦那にとって「他に何もいらぬほどの思い」って何かなあ~。このシリーズはミステリってよりジュブナイルだと思ってるので、いつかちゃんと見つかるといいなあと。新龍みたいにあっちとこっちの橋渡しでもするか?(そんでもって栄吉にもせめて希望を~~)

 章が変わる毎に今読んだばかりの話が繰り返されたりするんでん??と思ったら、連載だったからか…。通して読むと話が前後したりダブったりするのがちょっと気になった。あと最初の山神さまとの会見は書き下ろしなのか?前日譚なのか後日譚なのかよく分からなかったのだけど…

うそうそ 畠中恵(新潮社)
novel | 畠中恵
CM:0 | TB:0 |
るろうに剣心 全28巻  [Edit]
2006-06-29 Thu
 何で今ごろ「るろ剣」かというと家族が買ったから。歴史ものスキーなんで読みたかったらしい。しかしリアルタイムのコミックスじゃなくて昔のを買うあたり、ヤツのWJ遍歴が私の持ってる漫画からはじまってるのを如実に表してたりするのですが、それをまた私が読むわけだからWJは巡るというか、人はこうしてWJに戻っていくのだね…笑

 明治11年。幕末の京都で修羅のごとく幕府方の武士を斬り、以後は杳として姿を消した維新志士、人斬り抜刀斎と呼ばれた男が東京に現れた。逆刃刀を差して不殺を誓う、流浪人・緋村剣心として…。実は初めて読んだのだけど、剣士ものだと思っていたのでてっきり江戸時代なのかと。まさか廃刀令後の明治が舞台とは思ってなかった。一体この時代に一剣士として生きていけるのか??と思ったのだけど…新時代になって政治や文化が変わったと言っても人はまだ幕末を引き摺っている、まさにこの時代だからこその剣士の姿を描いたものであったのね。維新志士たちの多くが政治家として優遇され、幕末の闇を急いで過去にしようとする反面、捨てきれない思いを抱えてさまよう者たちもいるわけで。剣心のように生きる意味を模索する者もいれば後戻りしようとする者もいるし、立ち止まってくすぶっている者も更なる新時代を強引に作ろうとする者もいる。活劇がメインのように見えるけど、その底にあるのは時代の変わり目に何を残し何を捨てるのか、何を願いどう生きるのかという、いろんな奴らの生き様なんだよねー。

 つかここ数年幕末ものをいろんな視点から読んだりしてたので、「その後」の日本の姿、変化の中で生き方を模索する人々の姿が描かれてるこれを今読んだのも縁かもしれないと思った。時代が変わったからって人って一足飛びに変化するものじゃないよね~。時間と想いは過去から連なっている。幕末を見て来た今だからこそ(ってホントに見たワケじゃないけどさ~)、終わったもの終われなかったもの、願った未来と迎えた新時代の現実が私の中でもピタリと繋がった感じ。なので自分的には少年マンガとしての男たちの闘いそのものよりも、根っこにあるこの時代を生きた人々の思いの方がひしひし伝わってきたりしたのでした。

 というわけで、私的には幕末を思いっきり引きずってたり史実がうま~く絡んでたりする初期シリーズと斉藤一、巴編(過去編)あたりが面白かったすね~。志々雄編も敵キャラには味のあるのが多かったな。人誅編は縁のカオは好みだった(オイ)。途中WJらしく(?)なかなかに人間離れした闘いもあってツッコミ入れてたのが、人間ドラマに史実や過去の裏付けがあって気が付くとぐぐっと読み込んでたり。

 あと佐之、佐之。剣心ほど人間離れしたワザは持ってないけど(十分人間離れしてるとも言えるが)、あくまで剣心を信じ剣心からも絶対の信頼を得てるこのポジションはなくてはならないものだったわ~。ライヴァルはいっぱいいるけど友達って言えるのは佐之だけだよな。必ず横に「喧嘩上等」と書き込みたくなるその姿も好みだけど、一本気なクセに意外と突っ走らない冷静さと一歩下がって任せることができる男気に惚れ。あーあと師匠と佐之のオヤジもカッコよかったーv

 そうそう、人外だったり歴史の闇部分だったりするところは魔人シリーズに通じるものがあって時々デジャヴ。つまりはこういうテイストも好きってことで。…アニメもヤツらが借りてきたら見るかも…笑

るろうに剣心?明治剣客浪漫譚 (巻之1) 和月伸宏
comic | 和月伸宏
CM:0 | TB:0 |
紙魚家崩壊 九つの謎  [Edit]
2006-06-23 Fri
 久しぶりに北村薫のミステリを読んだ。「紙魚家」という名前にめちゃめちゃそそられますなー。それだけで書物・文字・知識…そしてそれらに惹かれてやまない書痴という種族がイメージされて。「本は紙魚に食われるからね」…うっとり(笑)

 それはともかく、最後の「新釈おとぎばなし」以外は10~15年前にあちこちで発表された短編を集めたもの。私が初めて北村薫を読んだのが多分93年くらいだから、ちょうど前後してる頃の作品ばかりなんですが読むのは全部初めて。タイプも違えば書き方もいろいろ違ってて面白かったです。

 「溶けていく」、これはホラー?心を病んで日常がズレていく現代的な話だけど、副題は「九つの謎」…これにもミステリがあるのかな?何故似てるのかとか?後半が妄想か現実かで違うかも。「俺の話」はショートショートっぽい。ブラックユーモアですね。

 「紙魚家崩壊」「死と密室」はシュールな感じの探偵物。設定的には現実的制約をぽーんと軽々飛び越えつつ、ひとの心の真理を突いてくる。「死と密室」のもはや作品を発表しなくなったミステリ作家たちの老人ホームという設定がいいっすね。皮肉でも何でもなく、謎がないと生きられない種族の性を見ましたね、うむ。

 「白い朝」「蝶」が一番古いのかな、デビュー直後くらい。どちらも恋愛がテーマですが、「白い朝」は表北村節で「蝶」の方は裏北村節(?)って感じでしょうか。北村さんの恋愛観てロマンティックというか運命的だなあと思う。

 「サイコロ、コロコロ」「おにぎり、ぎりぎり」、千春さんの日常の謎、ほんわ~と思わず和んでしまうかわいさでお気に入りの2編です。特に「おにぎり」の稲村先生がいいですなあ~~。非論理的な女は本格ミステリとは相性悪いかもしれませんね・笑。

 「新釈おとぎばなし」は北村版「アリとキリギリス」と「カチカチ山」。「あれとキリギリス」は名文ですなあ~すばらしい。「あれ」という言葉に潜む不定性故にホラー風味なんですが、北村薫が書くと哲学的だわ…。そして「カチカチ山」はお見事な本格ミステリに仕上がっております。仕掛け自体は「公式」だそうですが、マスターキートンばりのウサギ探偵の持つ憂いがパズル的本格にはない深みを加えている…かもしんない(笑)。北村薫の素が覗ける語りも文学論民族学にまで及んでて贅沢なパロディだな~ボウボウ山の苦しさもいっそナイスだったしね。

紙魚家崩壊 九つの謎 北村薫(講談社)
コメントを読む(2)
染みゆく紙魚家。  by ましろ
banriさん、コンニチハ。
もうタイトルからして惹かれて、わたしもうっとりしちゃいました。
記事を拝見してから、そんなにも書かれた年月がバラバラだったのかぁ…
と、またまた深く深くうっとりしてしまう、わたし。
シュールなのも好きですが、「おにぎり、ぎりぎり」みたいな作品もいいですよね。
やっぱり稲村先生最高ー!いいオチでした。
TBさせてくださいませ。
紙魚紙"魚…  by banri
ましろさん、こんばんは^^
このタイトルは手に取らずにいられませんよね。某漫画の影響で、紙魚は単なるシミではなくて、古い記憶や知識に巣食う原初的な生命を感じるので尚更でした。
本だけでなくそれに惹かれすぎたひともまた紙魚に食われちゃうわけですね…他人事だと思ってはいけませんね・笑
おにぎりの謎いいですよね!こんなに短いけど謎が解けるって気持ちいいなあと思ってしまう良質ミステリですねv。稲村先生かわいい~~シリーズで読みたいくらいです。
novel | 北村薫
CM:2 | TB:1 |
ブレイブ・ストーリー 上・中・下  [Edit]
2006-06-22 Thu
 文庫化で続けて宮部。漫画化されてるのは知ってたけど、アニメ映画になるのは全然知らんかった…もうすぐ公開なんですねー。スニーカー文庫版も出てますがナチュラルに普通版をチョイス。でもスニーカー文庫の挿絵スリットで、男の子二人が背中合わせで立ってる絵を見てごく単純にこの二人の友情が一つのメインなんだろうな~と思いつつ読み始めたんだけど…いやはや全然裏切られましたね~びっくり。

 宮部作品で唯一読んでなかったのがこの「ブレイブ・ストーリー」だったんだよね。文庫化待ちしてたってのもあるけど、待てたのはこれがゲーム的な世界観だという前知識だったから。ゲーム女ミヤべだからこそ、わざわざ宮部さんがゲーム的ファンタジーを書かなくても…というちょっとした抵抗があったのかも。前にどこかで書いたことがあるんだけど、ファンタジーな設定の中のリアルな人物像とリアルな世界の中にちょっとファンタジー(理想とか希望とか)入った人物像だったら、後者の方が好きなのだ私は。そんで宮部さんの持ち味もどっちかというと後者だと思ってるのだ。

 ところが上巻を読んでも読んでも全然異世界に辿り着かない、イヤになるくらい現実が描かれてるんだよねえ。小学5年生のワタルの現実。ごく普通の子供の日常…だった、父親が自分と母親を置いて急に家を出ていくまでは。ワタルには理解できるはずもない、父親と母親が結婚した経緯を知るまでは。父親に「この結婚は間違いだった」「人生は一度しかないから、どんなに困難でも信念を貫いてやり直す」と言われるまでは…。ううう。…なんかもうものっそい現実じゃないっすか。私ももう子供ではないし、宮部さんも子供じゃないから、どっちかだけに立って見ることがもうできない。家族という契約が存外に脆いものだという現実は身近に転がっているし、親という立場を捨てて個人に戻ろうとした父親をヒドいとは思っても、そうなったらヒトの心は戻らないものだということも知ってる。ワタルの目を通してはいるけど、宮部さんもまた父親を身勝手で自分本位なだけの「悪者」として描いていないので(ホントーに身勝手な大人もたくさんいるけどな…)、ワタルの想いはどこにも持って行き場がなくてただ「分からない」のだ。「父さんが家を出た」から始めることもできただろうに、ワタルにとっては不条理な「誰かを責めてもあがいても何も変わらない現実」を実に1/4も使って描き出していくこの小説は、確かに宮部さんらしい「リアルな世界」だったのだ。

 そしてようやく幻界(ビジョン)へ。ワタル以上にハードな現実を幼い心に抱えている故に現実の不条理さを受け入れられない同級生のミツルが、一足先に渡っていったその世界では運命の女神の元に辿り着けば一つだけ旅人の願いを叶えてくれるという。「運命を正す」というミツルの決然とした言葉に、ワタルもまた家族を取り戻すべく飛び込んでいくのだけど…。いや~~定番ゲーム系ファンタジー世界を装ってはいるけどコレ…アニメ化しちゃって大丈夫なの?と心配になるくらい某国に似てる気が…;。モンスターや魔法、アイテムや多種族の暮らす街…そのあたりのライトノベル風味にはそんなに惹かれるところはなかったけど、一皮剥けばそこに暮らす人々にあんまりにも生々しい現実が投影されててホントに厳しい。ひょっとしたら現実の世界では小学生のワタルがまだ気がつくことがなかったかもしれない、ヒトの心の中の偏見や利己心。訳がわからないまま自分に襲い掛かった理不尽が、世界には溢れているということ。それらがたとえ子供でも自分で歩いていかなければならないこの幻界では、否が応でも目を見開いて受け入れ、考えていかなければならないのだ。運命をなかったことにできれば幸せになれるのか…自分が本当に必要としているものは何なのか。

 ライトノベル風味でありながら、その実中身はかなり容赦ない現実です。そういう理不尽に折れない人間、希望を描きたいからこそ現実に手加減してもらうわけにはいかないんだよなと、つくづく宮部さんだわと思ったわけですが。でもラストのワタルの願いのところはかなり直接的に語ってる分、ライトノベルっぽかったかもしんない。いつもは作品に込めた思いをここまで全部は語らないような…そういう意味ではスニーカー文庫で出すのは案外正解かもしんない。中高生にはストレートに伝わるんじゃないでしょか。

 しかし大人的には直球勝負のワタルの物語の影で進行したミツルの物語の方が気になる…イラストから受ける雰囲気と全然違う上にラストまでそのスタンスを崩さなかったのにはかなり驚きました。ワタルの旅の仲間や出会う人々のことはそんなに語ることがないし(カッツと隊長のすれ違い愛はなかなか含蓄あったが…)、ワタルのことも感情移入したり同化したりっていうより見守るみたいな感じで、でもちゃんと正解ルートを歩いてきてたのであんまり心配はしなかったんだけど、ミツルのことはこんなラストを迎えた後も悔いが残る。ワタルとは全く別のルートを通って運命の塔に辿り着いた彼。10才かそこらで全て失ったまま何ひとつ取り戻せなかったことが可哀相で可哀相で;取り戻して欲しかったのは失ったものじゃなくてそこから先に待ってただろう未来のことなんだけどね。ワタルと対比されて「間違っていた」と読者の少年少女たちの反面教師にされてしまうとしたら悲しい…できればミツルも救ってやって欲しかった。ワタルと違いその旅の様子も何を思っていたのかも語られてないけど分、ミツルの孤独を感じないくらいの孤独やあったはずの可能性を考えずにはいられないのです。

ブレイブ・ストーリー (上) ブレイブ・ストーリー (中) ブレイブ・ストーリー (下) 宮部みゆき(角川文庫)
novel | 宮部みゆき
CM:0 | TB:1 |
ドリームバスター3  [Edit]
2006-06-15 Thu
 3年ぶりのシリーズ新刊、やっぱり1年1冊は無謀だよね・笑。一話目「赤いドレスの女」は過去にシェンたちに出会った二人の女性D・Pがオフ会する話(ちょっと違)なので、1巻と2巻を読み返さないといけなかったわ。ごく短い話だけどただの番外的な話じゃないハズ…赤いドレスの女はローズ母さんなのか…?髪の色と長さがシェンの記憶とは違うみたいだけど、エネルギー体だから外見は変えられそうだもんね。理恵子はあの時一緒にいた誰かの記憶の中の女だと納得したけど、この中の誰かの中にローズ母さんがいるということでしょうか…。その時こそマエストロが理恵子につけた「錨(アンカー)」の出番はくるのかもしれないすね。

 「モズミの決算」、前巻でお預けになっていた、虐待されていたタカシとそれを守るために一体化してしまっていた逃亡犯のモズミのケースの解決編かと思いきや、こちらの方は手をこまねいているうちにモズミが一人でケリをつけてしまったという。D・Bとしてフォローもできなかったし…というわけで、この話のメインはD・Bミッションじゃないのだね(というか今回ミッションの話ってないじゃん)。物語はかなりテーラの方へと重心を移したみたいです。これまで少しずつ語られてきたテーラで現在進行中の「何か」はまだ表立って浮上してきてないけど、いろいろ気になることがちらほら…。一番は「器」ですね…リップのことがあるからさ;

 そして新キャラ、カーリン。あのパーカーの姪っこにして最強の犬ブリーダー(違)。シェンにとっては数少ない気を許せる人間になりそうだし、こっちの方がさらに今後の展開に大きく関わってきそうだな。ご飯を待ってるシェンとか微笑ましくてかわいいじゃん。ただ、恋の相手になるのか姉貴分で終わるのかはまだまだ未知数です・笑。

 今回一番衝撃的だった「時間鉱山」…ドレクスラー博士が27才って…!!?!(そこか)あああホントだ、12年前の事故の時に弱冠15才って書いてあった;…だってまさかあの1巻の挿絵でそんな設定が定着するハズもなく・爆。ははは脳内イメージ書き換えよ。…まあそれはともかく、敵にならないといいなあ~と思ってましたが、まさか一足飛びにオトモダチになるとは思ってなかったわ。でもおかげで大分心強くなったしよかった…かな?シェンの頭痛さえこの際目をつむれば・笑。

 で、時間鉱山。時間の源泉やら時間素やらの概念はシェンと同じく「そういうもの」と言うことにしておこう…<思考停止。えらく人為的な匂いがして、でもここがルーラとどう関わってくるのか今はまだ見当もつきませーん。最初に出て来た「二人のレイモン」は、てっきり「器」だと思ったのに時間素の副作用だっていうからリップとは違うケースみたいだしなあ。今までの話とどう繋がってくるんでしょう。「重要な転換点」ってことは次あたりメインの展開が始まりそうかな?…って次また3年後だったりして…

ドリームバスター〈3〉 宮部みゆき(徳間書店)
コメントを読む(2)
こんにちは♪  by かずは
うわあ、3年ぶりでしたか。
ってことは全7巻だとあと10年以上?Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーン
絶対内容を忘れてそうです。
う~ん、やはり、せめて1年に1冊でお願いしたいですねえ。
>かずはさん  by banri
はじめまして、コメントTBありがとうございます。
10年は長いですね~(^_^;7巻も予定は未…(ごふっ
3巻は方向性がはっきりしてきた感じなので、できれば続けて読みたいところですね。
novel | 宮部みゆき
CM:2 | TB:2 |
クラバート  [Edit]
2006-06-15 Thu
 中世ドイツの一地方…ポーランドや作者の故郷ボヘミヤ(チェコ)に近いスラヴ系のヴェンド人の民話である「クラバート伝説」をベースにした物語。実は私昔からこのあたりの雰囲気に弱くて、物語に出てくると何故か惹かれて引っ張られる。華々しく明るい表舞台と対照的に歴史的風土的な暗さとか重さみたいなもの…子供の頃は怖いと感じていた部分なのに、大人に近くなってからは心のどこかが揺さぶられるのです。

 …と言ってもこのあたりに詳しいわけでは全然なく、クラバート伝説ももちろん知らなかったので軽く検索してみたんだけど、元伝説にはヒットしませんで。でもこの地方では水車小屋が独特の位置付けにあったり、水車にまつわるちょっとダークな民話は多かったみたいですね~。12人いないと動きを止めるとか、回転する輪が順番に死んでいく恐怖の象徴だったり。魔法とも深い関係にあるようです。この独特の雰囲気を色濃く残すこの物語にはぐいぐい引き込まれてしまった。「ファンタジー」とは違う、土着で生活に根付いてる感じがすごくいいんだなあ。

 孤児で浮浪生活を送っていた少年クラバートは、ある日夢でコーゼル湿地の水車場へ来るようにと告げられる。そこで12番目の職人見習いになるのだけど、実はそこは「魔法の学校」でもあったのだ。昼は粉曳き職人として働き、金曜の夜はカラスに姿を変えて魔法を学ぶ…とは言ってもホグワースみたいな学校とは雰囲気が全然違う。魔法を覚えることで作業を楽にしたり他人を支配したりもできるし、ここにいれば放浪することも食べ物や眠る場所に困ることもない。だけど職人たちにはどこか諦めの混じった重い雰囲気が漂っているのだ。最初の1年は魔法のおもしろさに熱心に学んだクラバートだったけど、その大晦日の夜に自分たちの運命を知る。彼らは一年に一人、親方の代わりに死ななければならない。弟子たちは魔法によって親方に縛られ生死を握られているのだ…

 でも全編ダークなわけじゃなく。少年クラバートの微笑ましい恋(相手から姿見えなくても窓の外からしか眺められなかったり)が青年になるにつれて想いが深まっていったり、夢でも会えたら風景や緑まで輝いて見えたり、職人たちの普段の気安いやり取りとか明るい要素もちゃんとあって、彼らの日々の生活は決して絶望だけの真っ暗なものではないんだけど、だからこそ常につきまとう死の影…十字架もない塚の列とそこを自分で掘り返す姿、落とされた花、夢で語りかける背中…それが却って際立って残るのよね。

 最初の1年が3年に相当するので、少年から青年へと変わっていくクラバートもいいけど、他の職人たちも印象的。運命に絡め取られてしまうトンダとミヒャル、大事な役目を担ってるまぬけのユーロー、仲の良かったいとこの死で変わってしまうメルテン、一抹の清涼剤ローボシュ。特に静かでやさしいトンダの悲しみとか絶望には胸掴まれます…。ミヒャルとメルテンのコンビも決して明るくない水車場の生活になくてはならないものだったのに…。でも少年から青年くらいの職人たちの姿が立っていて、死を受け入れて生きていかざるを得ない恐怖や諦めがしっかりと描かれているからこそ、魔法に支配された伝説の水車場がこれだけ重い現実感をもって感じられ、魔法を失ってもこの輪を断ち切ろうとする決意に繋がっていくのだ。

 魔法に対する考え方も西洋ファンタジーとは大分違うなー。テーマでもあると思うけど、何でも与えてくれるけど生きていくのに必要がないもの、むしろ人をダメにするものとして描かれてるような。最後魔法を捨てるところは、描かれてないけどそれをありがたく思わなかった者もいたんじゃないかなーと思った。仇である親方にも背負った過去があって一概に善と悪とは分けられなかったり、ハッピーエンドの中にもそういう複雑な人間心理が重層的に織り込まれてるのが物語を深めておりました。

 ところで宮崎監督の「千と千尋」はこの物語が元になったとかインスパイアされて作られたとかいう話だそうですねー。言われてみれば話の骨格に面影があるような…雰囲気は全然違うけど。そして映画ハウルが黒い鳥になる意味がいまだに理解できてなかった私ですが、この影響かもって言われると納得!意味っていうより魔法に支配されてたりその苦悩をイメージしてるのかもしんないですね(?)

クラバート オトフリート・プロイスラー(偕成社)
コメントを読む(4)
こんにちは  by くろにゃんこ
私も、「クラバート」大好きで、大人になってからもう一度読み、あらためて感動をおぼえました。
いい作品は、何度読んでも、感動するものですよね。
「千と千尋」を観たとき、「クラバート」を思い出したんですが、インスパイアされたものだったんですね。
>くろにゃんこさん  by banri
はじめまして、コメントありがとうございます。
私ははじめて読んだのですが、重みがあってずしりと残る雰囲気がとってもよかったです~。
塚を探そうとするところとか夢とか湿地とか、しばらく脳裏から離れないくらい印象的で。
「千と千尋」への影響は監督がどこかに書かれたということでしたけど、クライマックス部分は昔話には普遍的なエピソードだと思うんで、縛られてるハクとかもっと底の方に通じるものがあるような…と思いましたです。

くろにゃんこさんのblogも気になるところあちこち読ませていただきました~。
梨木さんの本質に迫るレビュー群、とっても読み応えがありました。そして私も遅ればせながら現在ウッドハウス症候群の一人です…笑
でしたら…  by 兎に角うさぎ
こんばんは。
クラバートの原型については、似たような話があちこちにあるようですが、プロイスラーが自分の集めた昔話を再編集した「プロイスラーの昔話」全3巻にクラバートに盛り込まれたエピソードが入っています。
『地獄の使いを呼ぶ呪文』にデカ帽、トルコ軍との戦いの2つの話が収録されていて、原型が少し見られます。こちらも面白いですよ。こちらは最寄りの図書館にあります(笑)
クラバートの物語の絵本版もあるんですが、日本語版が出ていません。ドイツ語版なら所有しておりますが、読んでみます?
じゃあ予約お願いします…笑  by banri
ふむふむ。そのエピソードは「クラバート」が出てくる話なのかしら。それとも水車場にまつわる民話を盛り込んだのかな~。私的にはこの水車場という存在がものすっごく強烈だったんですけど…雰囲気に呑まれるというか。
その「昔話」全3巻にはやっぱりこの地方とか水車場系の民話がいろいろ採られてるのかしら…「地獄の~」はその第二巻?気になります。取りあえず最寄りの図書館へ行ってみます・笑

ドイツ語版の絵本…それは読むというより見るでは…。
でもよかったら見せてくださいですv
novel | プロイスラー
CM:4 | TB:0 |
裏庭  [Edit]
2006-06-14 Wed
 中学生の照美は友達のおじいちゃんから近所のバーンズ屋敷の秘密を聞いて育った。その「裏庭」はバーンズ家に代々現れる「庭師」によって丹精される、死に近い世界だという。第二次大戦前にそこに住んでいた姉妹や友人たちや子供たちを深く見守っていた先生の思い出を語ってくれたおじいちゃんは、双子の弟を亡くし共働きの両親が忙しかった照美にとって唯一自分を正面から見てくれる大切な存在だったから、そのおじいちゃんが倒れ屋敷も取り壊されることを聞いた照美の足は、幼い頃にくぐった屋敷への抜け穴へと向かう。そして照美の前で裏庭は再び開いたのだったー

 これは「物語」というより「お話」と言った方が近いような雰囲気だなあ~。「本」よりも「語り」に近い原初的な感じ…古事記とか民話とかに感じるような。「裏庭」に入り込んだ時から照美はテルミィになり、時間も距離もぎゅっと凝縮されたような空間で不思議な人々と出会っていくのだけれど、その存在は「個」というよりも何かの「意味」を体現してるかのよう。最初の方はアリスのイメージと重なるとこもあったりね。

 スナッフや音読みの婆たちに導かれて庭の崩壊を止めようとするテルミィの前に現れる現象や試練は、現実を見つめ受け入れて生きていくためのテルミィの心の旅でもあるけど、照美の物語というよりはもっと大きな世界の物語という気がしたな。裏庭は照美のインナーワールドでも異世界でもない。人間の意識はどっかで繋がってるみたいな説があるけど、そういう共有の精神世界をイメージして読んでました。根の国との端境のような、誰もがいつかそこを訪れ抱えていた想いが漂白されるまで留まる場所。吸収されてやがてまた芽吹いていく。そこに木を植え花を育てて丹精する庭師は、生死の循環が穏やかであるための癒し手なのかなあと。

 テルミィの傷へと降りていくのと同時に世界が変容していく。降りて降りて辿り着くのが「人は徹底して独りぼっちだ」という真実だったりそう簡単に変わらない両親との関係だったりするのが梨木香歩らしいと思うんだけど、それは自覚する前の孤独とは違うものなんだよね。自分だけじゃない、誰もが孤独さを抱えていることを知っているから逆に世界に自分ひとりじゃないことを知る。物事は対になっていて、それは循環している。個から全へ、死から生へ。そんな風に大きな流れの中にあるお話でした。

 それにしても梨木さんの世界では何故か親の影が薄いですね~。人間的にまだまだ不完全な存在というか。その代わりおじいちゃんおばあちゃんが大事な役割をしてくれますが…。「大人」になるのはそんな簡単なことじゃあないのだ。だけど無理に大人になることもない、きっと。どこか少年少女の部分が残ってるのが照美やママの場合は少し痛々しく、レイチェルやおじいちゃんの場合は魅力になるんだから時間って偉大だわ。

裏庭 梨木香歩(理論社)
novel | 梨木香歩
CM:0 | TB:0 |
のだめカンタービレ 15巻限定版  [Edit]
2006-06-12 Mon
 そう言えば限定版予約してたっけ…マングース付き15巻です。姿は下手くそな感じがかなり忠実だけど、「ぎゃぼ」はもっとカワイイ声でもいいのにな~。「ぎゃぼー!」(嬉)「ぎゃぼ…」(哀)使い分けるとか…笑。今のとこPC横マングースの癒し度はそんなに高くないけど、本編には今回も癒されました…v

 のだめリサイタル編(バカンス付)。いいなあ何度も読み返したくなります。のだめの曲を聴いてる人の顔がいいんだなあ、すごい吸引力を感じるもんね。コスプレよりもインパクトのあるのだめの世界…モツアルトオタクの城主を目覚めさせる禅fff(笑)、プランクトン多めのラヴェル、まんまるの音のツブ…それを表現する絵がすごい素敵でホントに聴いてる気になる。だってゲストとおんなじ顔になってるもん、自分・笑。は~~満足v

 仮装パーティがまたおいしい。千秋のアンドレイ姿…じゃなく久々のヴァイオリン姿に萌え、黒木くんの堂々としたコスプレ姿に惚れ。黒木くん強くなったねえ~笑。ターニャもあの個性好きよ。今までピアノではイマイチ目が出てなかったけど、黒木くんの正反対の世界で変わってくるかもしんないね。峰と清良にしろ、のだめの世界の恋愛はどれも音楽がその中心にあるのよね。そこが大好きなんだ~~。立ち止まって動けなくなりかけた時でも音楽に向かうその姿が力をくれる。ありがとうー。

 「オレはたぶん、いろいろなことを覚悟しておいた方がいい」…今までずっと千秋がのだめを引っ張ってきてたけど、そろそろのだめが一気にジャンプアップしそうかな。今度は千秋が焦ったりすることもあるかもしんない。でもまあ…「俺が見失わなければ」千秋に不安は見えないしむしろ惚れ直したっていうか?だって繋ぎとめておくんじゃなくて、それぞれの道を歩いていくことが一緒にいることだって知ってるからね。

 「正座かよ…!!」って千秋一瞬オヤジドリーム入ってるよ?笑。千秋は生き地獄だったかも知れないけど、私的には子犬千秋よりキスより幸せ度高かったす。のだめいいなあ~千秋の声聴きながら眠れるなんてさ。

 マルレオケ・オーディション編。千秋もいよいよ本格始動っすね~。コンマスとも気が合ってきたし、黒木くんはもちろん、ポールまで「来ちゃったv」って・笑。問題は現団員との温度差だけど、そこは散々失敗した経験積んできたことだし。師匠の魔法を今度は千秋が使えるか?新生マルレが千秋の指揮で「鳴る」日が楽しみだ♪ターニャの根性には拍手…根性っつか、健気じゃん(ほろり)。しかし黒木くんはニヴそうだよ…この二人の明るい明日はどんな風にやってくるのか…?注目デスv

 おまけのナイスログ。「針と糸をくれ…」(主婦千秋バンザイ)、「なにかしら?コレ」(コック雇ってください奥様)

のだめカンタービレ(15) 限定版 二ノ宮知子(Kiss)
コメントを読む(2)
ぎゃぼー!  by june
banriさん、こんばんわ。
「ぎゃぼ」の使い分けあったらよかったですよねー。
よりいっそう遊べそうです。

のだめと千秋の関係は、恋というよりも
愛になってきましたよね。
Ruiの登場や、千秋のコンクールで
陰にかくれぎみだったのだめのピアノが
また輝いてきて、うれしかったです。

「正座かよ」って親父ドリームだったんですね。
今きづきました^^;
ぎゃぼん…  by banri
juneさんこんばんはー^^
ぎゃぼ☆声、やっぱちょっとイメージ違ったですよね?いっそラプソディ・イン・ブルー弾いてくれてもそれはそれですごかったような…でも表情とか本物(笑)に近くってかわいいですね。

密かに主役は千秋では?と囁かれるところですけど、今回はのだめでしたね~^^。私ものだめのピアノが聴けて嬉しかったです(でも千秋ラヴv)

オヤジドリーム…や、のだめシグナルレッド?!と心配したのかもとも思いましたが、一瞬期待したっぽかったので・笑
comic | 二ノ宮知子
CM:2 | TB:1 |
ビタミンF  [Edit]
2006-06-11 Sun
 初・重松清。前から読もうとは思ってたんだけどなかなか機会が、というよりベクトルが合わなかったのよね、なのでやっとです。作品数も多いのでどれから読もうか迷うところだけど、あえて中身もパラ見せずタイトルだけで選んでみる。へーこれ直木賞だったのね。

 7編から成る短編集、読み終わってからあとがきに書いてあったいろんな「F」をああこれがFamilyだなとかこっちが多分Fortuneねとかあてはめて頷いていたけど、でも結局のところ中心にあるのはFatherのような気がする。40才前後の家庭持ちの男の姿がどの物語からもリアルに見えてくるんだなあ。同じ年代の男であっても独身の男とも夫属性だけの男とも違う、「父親」というモノを背負ってないと出てこない人間像なんだよね~家庭での立場の微妙さといい、子供との関係といい。父親の家庭でのポジションて意外と曖昧で不安定なもので、「なんとなく」収まってるつもりだけど実はズレてたりとか微妙に距離があったりする。でも多くの男たちはそんな心許ない自分を見ないフリ考えないフリで父親って役を演じようとしてるような気がするのだ。

 だけど家族に何かがあった時、あるいは人生に納得してない自分に気がついてしまった時。距離感やズレを露呈してしまったオヤジたちの姿は、ちょっと哀しい。自分が作り上げて来たと信じていた家族の姿と現実とのギャップは、全然カッコよくない、心許ないひとりの男の姿を浮き彫りにしてしまって、見ないフリしてあげたいような、そんな感じ。だけど作者が信じている、信じたいと思っている「お話」の力は、イコール「父親」「家族」の力なんだと思う。たとえぎこちなくても多少いびつでも、ちょっとずつ積み上げてきた、その家族にしかないカタチが、家族の中の父親のポジションがカチッとはまった時に、きっと土台になる。家族で共有できるカタチになる。家族の再生のお話でもあり、ようやく演技が本物になったFatherのお話だったなあ~と。

 しかし…40前後にしてオヤジたちのこの枯れっぷりってば。いやーこの前に読んだのが恩田陸と川上弘美でしょ、同年代の男なのにその精神的ギャップときたら20は差がある・笑。女性陣の描く男たちが10は若々しいのに対して、重松氏の方は人生思いっきり下り坂な感じで10は老けてるぞ。周りの同年代の男たちを見るに、ちょい疲れ過ぎてるか?という気もするが、これはやはり重松氏の方が男の大変さを身をもって知ってるからなんだろうなあ~。男の方が少年時代青年時代を経て大人になった今の自分と、夫である自分父親である自分がうまく繋がらないような気がするしね。ここが今の自分のポジションなんだ、と納得できる何かがないまま歳だけどんどんとって行くのがむなしく感じるのは男も女も一緒だろうけど、男の人の方がそんなものだと諦めて真面目に役をこなそうとするのかもしんない。そりゃ枯れるわ…。

 重松清といえばオヤジものと少年ものっていうイメージなんですが、今度は少年が主人公のものを読んでみようかなー。

ビタミンF 重松清(新潮社)
novel | 重松清
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古道具 中野商店  [Edit]
2006-06-08 Thu
 普段あんまり女流作家(「流」っつうと文学で恋愛なんだよななんとなく)には触手が伸びないもので、川上弘美も実は初だ。でもこれは読もうと思ってたのよねー古道具とか古本とかそれだけでふらふらっと手に取りたくなりません?ちょっと薄暗くて狭くて玉石混合で、でも落ち着く感じ…好きだ~。

 そんなわけで読む前は古道具(骨董にあらず)をキーワードにしたちょっとした日常の話かな?と思ってたんだけど、読み終わってみればいくつかの恋物語という印象。や、店主の中野さんが40代半ばくらいにしてどこか腰の落ち着かない根無し草っぽいせいか、なんとなく大人になりきらなくても居心地良くいられるような、この「中野商店」って場所がある意味主役だったような気もするんだけど、自分的に残ったのは3人の女性たち。バイトのヒトミ、中野さんの姉のマサヨさんと愛人のサキ子さん。最初は無口で生きにくいタイプのタケオ目線で読んだり、中野さんのキャラにも興味あったりしたけど、読んでるうちに段々「男」の影が薄くなっていくのよねこれが。男たちの想いはほとんど語られないし、そもそもどうでもいいみたいだ。分からないもの、別の生き物、それでいい。「恋愛」そのものじゃなく、何て言うか「女の子」の物語だったなーと。

 連作短編を通して一応20代のヒトミとタケオの、はじまりも終わりも曖昧な恋を追ってはいるんだけど、印象的だったのはむしろ30代(多分…)のサキ子さんと50代半ばのマサヨさん。二人の恋愛模様はほとんど語られないけど、所々で見せる表情や短い言葉でどんな恋をしてるのか、どんな気持ちでいるのか分かっちゃう。自分の気持ちも相手の気持ちもよく分からなくてもてあまして泣くしかないヒトミより、傷つきながらも最後は自分で決めて笑える二人は大人で、かわいい。まあ恋愛や女のドロドロしたとこを敢えて見せてないからだとは思うけどさ・笑。二人にはまた恋をして欲しいな。いくつになってもこんな風に「女」なのは悪くないと思う。

 タケオが何も言わないから、はじめようにもはじまらず、自分の気持ちを終わらせることもできないヒトミの恋。どうしたらこの気持ちを無しにできるのか…教えてほしいサキ子さん。サキ子さんみたいにできたらカッコいいのにな。なのに苦しいとかさみしいとか思わないくらい誰もいないのに慣れちゃって、気が付いたら3年くらいあっという間に経っちゃって、もう全然他人なのに会っちゃったらまたばかみたいに簡単に好きになるのって、すげありそうな気がする自分がイヤだ…笑。

古道具 中野商店 川上弘美(新潮社)
コメントを読む(4)
ご無沙汰してます  by ざれこ
TBさせてもらいました。この本、男の影薄かったですね。そうですよねー。年齢関係なく女の子のお話、って感じでしたね。タンメン食べながらどろどろした会話を飄々としてる彼女たち、ステキでした。
こんにちわ  by june
ふわふわとした雰囲気なのに、ちょっとした動作や会話が妙に生々しかったりで(↑ざれこさんが書いてるように、タンメン食べながらだったり)、不思議な感じでした。
男の人は薄かったですよね。特にタケオくんなんて、最後まで謎でした、
いくつになっても。  by ましろ
コンバンハ。この作品、ほんと確かに女の子の物語ですよね。
わたしもいくつになっても恋をして、女でありたいと思います。
サキ子さん、格好いいー!わたしもご指導をばー!とか(笑)
でも、500円のぺらぺらしたワンピースが似合っちゃうヒトミも素敵だと思うのデシタ。
>女の子たちへ(自分含・笑  by banri
みなさまこんばんは。コメントTBありがとうございます~
私にしてはめずらしく女の子モードな感想だったのですが、お仲間がいてくださって嬉しいです・笑。

>ざれこさん
タンメン、いつも食べてましたねー。私マサヨさんが「50代は女の子じゃない?」っていうところがすごく好きで。タンメン食べながら泣いてなぐさめてほしいし、マサヨさんが落ち込んでる時は甘えさせてあげたいし、お友達になりたいです・笑。

>juneさん
エロ小説書いてもちんちろりんで命拾いしたわねでもさらりとしてるのが不思議で、でも好きでした。
サキ子さんが「やっとやめられそうと思ったから」というまでって描かれてないけどいろいろ辛かっただろうな~と思えるような「さらり」なので尚更。憧れます。

>ましろさん
さらに社割で300円でしたね…ぺらぺら、確かに・笑。はじまりこそ曖昧だったけどヒトミの恋しいって気持ちは素直に伝わってきてかわいかったです。何も言ってもらえなかったらそりゃやせるわ…そのどうにもならない気持ちとぺらぺらのワンピースがやけにマッチして切なかったんですよねー
novel | 川上弘美
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黒と茶の幻想 上・下  [Edit]
2006-06-07 Wed
 単行本の時からタイトルからして好みそうだとわくわくしてたのだけど、文庫化でようやく読了。おお~これぞまさしく恩田節!おまけに文庫化までの年月を経て計ったように同年代な考え方や感じ方に同化して、くらくらと眩暈を感じつつ一気読みしてしまいました。

 久しぶりに会った学生時代の友人たち。大学卒業から十数年、それぞれに家庭も持ち普段は近くにいるわけではなくても、会えば変わらないポジションで付き合いが続いていた4人の男女の、ふとしたきっかけで実現したY島への旅行…それは美しい謎と過去への思索の旅だった…

 とにかく4人の男女が順番に語り手になってただ話をしながら歩くだけなんだけど、恩田陸が書くとなんでこんなに魅力的なんでしょう。屋久島を思わせる森は語り手にもよっていろんな表情を見せ、日常と非日常を行ったり来たりする。4人の人間関係も過去に付き合っていた利枝子と蒔生を軸に、彰彦(好きだv)と節子がそれに時に近く時に適度な距離を置いて関って、それぞれの視線が複雑に交差し合う。この人間関係がも一つの大きなポイントだなあ~。例えば「木曜組曲」は信頼関係の薄い4人の女性、「ネバーランド」は自分たちのポジションを手探りで構築していく4人の男子高校生、「夜ピク」は義兄姉を中心としてそれぞれの友人同士の4人がメインだし…あれっ考えてみると「小夜子」もメインは4人だし、恩田陸って4人とか4章とか多いかも?

 …っとそれはともかく、この人間関係によって「会話劇」の持つ雰囲気もがらりと変わるのよね。30代も後半に差し掛かった気の置けない友人で、これまでの人生の中で「自分」を出して深く関れる特別なポジションにいる人間同士。もちろんその中には複雑な思いも含まれているけれど、根っこのところで信頼と理解があってお互いを好きなのだ。そんな4人で構成されるこの「会話劇」には、日々いろんなものと戦ってる大人がガードを外して付き合える気安さとか自分が築いてきたポジションを楽しむ心地よさがあり、そして学生時代には見えなかったものが今だからこそ見えてきたり話せるようになったりする発見と、それをまたそれぞれの中に納めて現実へと戻っていく安定感がある。おしゃべりと妄想は恩田陸の得意ワザだけど、ベースになる人間関係でこれだけ味わいの違う作品が生まれるってすごいよなあ~。

 一応メインの謎はあるけれど、それ以外に次からつぎへと皿に載って現れる「美しい謎」がどれも美味しくって。そしてそこから連鎖するように浮かび上がる過去の思いと現在の自分とが混然となるまさに思索の旅。そこで交わされるそれぞれの人生観や恋愛観、人間観察が思わず頷いてしまうほど鋭いのよねえ~。「こんな感じ」という曖昧なことをなんてうまく言葉にするんだろう。それからこの精神の若さ。まさに自分と同年代の彼らの自負や揺らぎや普段は見せない部分で抱えてる青さが~~ほっとするくらい近くて、うん自分もまだまだと思ったり・笑。あああと、恩田陸がこれまで書いたりこれから書いたりするような物語のある風景がところどころにフラッシュバックするのも贅沢だったわ~。

黒と茶の幻想 (上) 黒と茶の幻想 (下) 恩田陸(講談社文庫)

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 そうそう、続けて読んだ「きいろいゾウ」とこの「黒と茶」。共通項は色…ではなく500円玉貯金…。私も始めようかな…笑
novel | 恩田陸
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火宵の月 14巻  [Edit]
2006-06-07 Wed
 完結。ラストはちょっと駆け足だったけど、これまでの物語がちゃんと閉じて終わったんじゃないでしょうか~。

 まずは全巻から引き続いて神官×文観(逆に非ず)。そうか~文観てドMだったんだ納得(爆)。そりゃドSの有匡サマにそもそも敵う訳ないわ・笑。つかもはや問題は有匡サマvs.文観のラストバトルではなく、このずっと独りぼっちで愛することも愛されることも知らなかった故に自分の感情に不器用な二人の恋愛に釘付けです。呪(本名)で縛り繋ぎ止めようとすることも、二人ともがそうならそれは解放なのだ。…どんな性格の悪い子供が生まれるのかと思うと楽しい…いつか番外編で読めるかもね。

 あとは10巻で一旦棚上げ状態になってた火月の性分化問題にも最終決着。7年後鎌倉滅亡に呼応するように第三の瞳の結界が綻び始め火月の中の雷獣紅牙が復活しようとする。いや~さすが平井さん、一気に終わりに雪崩れ込んだけど、有匡サマの術シーンのリアリティは並じゃないっす。陰と陽の循環と浄化…「この身を天秤の軸として」とか紅い月の魔力とかね。陰陽師モノとして上辺でない雰囲気を最後まで堪能させてもらったわ。ラストのチビ有匡と紅玉火月が懐かしく。そうだ始まりはこれだったよな~。

 死にかけなのに相変わらず強気で、浄化のついでにちゃっかり次元通路も開いて時を超えた有匡サマ…しかしこの場合タイムパラドックスはどうなってしまうのだ??もっかいこの9年をやり直すのか?再び元の時代の琥龍や禍蛇、そして妹ファミリーに会えるのか…気になります。こういうラストだと当然のごとく1巻に戻ってしまったんだけど、ああ~かわいかったな~火月。そして誰にも心を開かなかったのに段々火月が大事になっていく有匡サマも。女のコver.もかわいいけど、やっぱり火月はあの姿が一番すv

火宵の月 14 (14) 平井摩利(花とゆめ)
comic | 平井摩利
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きいろいゾウ  [Edit]
2006-06-05 Mon
 前作「さくら」も読んでないのに、なんとなく借りてきた初・西加奈子。関係ないけど最近は前もって次読む本を決めないでその場の思いつきで選ぼうとしてるかも。好き作家の新刊も待機してるし、普段は割とルートに沿ってチョイスする方なんだけど、そーいう自分を一旦リセットして逸脱してみたい…ささやかですが。

 さて安全帽のような黄色に児童書のような体裁の本。ナルニアとこれを借りてきたことを思えば多分選んだ時あんまりいろいろ考えるのに疲れてたんでしょう…笑。でも中身は別に児童書っぽくないですが。そして装丁(まっ黄色)で何となく感じた通り、ちょっと不安定さというか危ういバランスも秘めたお話でした。

 東京を出て田舎で暮らす駆け出し作家のムコさん(本名)とツマ(旧姓)の夫婦。それぞれの視点から描かれる毎日の生活は、一見微笑ましく暖かで幸せなのだけど、そこに書かずそして伝えなかったいくつかの感情が、ほんの少しのすれ違いを生んでいく。月が満ちると言いたいことが溢れそうになり、でも出口が見付からなくて不安になるツマはムコさんの一言「欠けていってるから、月。大丈夫ですよ」…に救われ、地上に居場所を見つけたように安心して過ごすことができていたのだけど、ムコさんはムコさんで、大事な人に置いていかれた過去から、いつかツマがふっと遠くへ行ってしまう不安を隠し持ってる。

 どちらかの思いが揺らぐわけではないんだけどね。だけど一旦不安が亀裂を入れた関係を修復するためには、ひとりになって自分と相手を見つめ直すことは必要かもしんない。ムコさんの過去の恋人と、ツマの方の幽霊の恋はどちらもその不安と繋がってるような、でもあんまり繋がってないような気もするけど(…)、そして修復後の二人の関係は前とそんなに変わってない気もするけど、あときいろいゾウも私の何かを揺さぶったりはしなかったけど、でも以前よりしっかりと地に足がついたようなツマと迷いのなくなったムコさんは前より安心できる感じです。

 私的によかったのは、犬のカンユさんとかチャボのコソクとの会話(?)とか、あと庭のソテツ「ヨル」のひんやりした幹の感じ。学級委員長と、「洋子、それじゃだめだ」(笑)。大地は9才であのラブレターはちょいできすぎだろう…せめて12くらいなら(そういう問題では)。まあ大地みたいな子が大人なのに子供みたいで、そうかと思えばやっぱりまだ手の届かない大人だと思い知らされるツマみたいなタイプに惚れるのはわかる。いいコだね、見所あるぞ。大地の手紙はよかったな<「分かる?分かんないよね」。押し付けがましくなくて、でもちゃんと切ない。

 動物や庭の草木の言葉が聞こえるツマはちょっと不思議ちゃんで、読んだ感じ栗田有起 の描く女の子と似た匂いがすると思った。でも栗田有起は最後彼女らを一人で立たせちゃう方だと思うけど(2作しか読んでないけど…)、西加奈子はナチュラルに足りないとこを補ってくれるひとと二人で立ってるあたり、こちらは浮世離れ度はそんなに高くないかな~。設定の割に日常に足のついた物語でした。

きいろいゾウ 西加奈子(小学館)
novel | 西加奈子
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さいごの戦い  [Edit]
2006-06-04 Sun
 ナルニア7作目、シリーズ最終巻にして予告されたナルニアの崩壊が描かれております。…うーん。これは正直予想してなかったなあ~…。「こちら」の世界の争いや現代的な乾いた風潮がナルニアに影響を与えるのかなとか、あるいはもし王家からアスランを否定する王が出ればこの世界は存続できないだろうなとは思ってたけど、それは世界の中心ではなく端からやってきたのでした。チリアンという決して愚かでない王がおり、ユースチスとジルもそれぞれ少し成長した姿で現れたというのに、ひとの力ではもはや何ひとつ変わらないというこの無力感;。王の悪政でも他国の侵略でもなく、信仰心が失われていくことで世界が崩壊していくこのお話は、一体何との「戦い」だったんだろうか…

 少なくともカロールメン軍との戦いではないよね。神を信じていない一部のひとびとと、信じたいのにその術を持たない多くのひとびと。言ってみれば後者を繋ぎ止めるためにチリアンやユースチスは戦ったわけだけど、結局のところその戦いは敗北で終わる。信じることを奪われたひとびとがどのようになるかがここには描かれている。小人たちのように目を閉じ耳を塞いで自分の世界に閉じこもるか、いつの間にか逃げさった者たちのように、自分から動くことを恐れて無感情になるか。そうなったナルニア人たちを救うことはもはやできず、アスラン(神)にも見放されてしまうというのが何とも遣りきれない…そしてここで物語はひとの手を離れてしまうのだ…;

 その後に現れる「真の世界」は、キリスト教的世界観では救いであり喜ばしいことなんだと思うけど、それはもう「ひとの物語」じゃないんだよね。選ばれた者だけが行ける悲しみや迷いと無縁の世界。自分の弱さに泣くことも、だからこそ誰かがいてくれて嬉しいと思うこともないのなら、それは私の心を揺さぶらない。ルイスにとっては信仰と人生がそれだけ近いということだと思うし、天国という概念は私にとってもそう遠いものではないんだけど(カトリック系幼稚園だったからね)、あくまで「物語」としての話。子供の頃だったらどうだったか分からないけど、今の私が読みたいのは愚かでうまくいかなくて、それでもいつかは…と思わせてくれる「ひとの物語」だから…

 なので、チリアンやユースチスが「負けた」ことよりも、真の世界で幸福そうな彼らに何だか割り切れなさを感じてしまったのでした。懐かしい彼も出て来たんだけどねえ~。うう、アスランてホントに神さまだったのね…見届け導くだけでなく、最終的な決定権を持っているという点で。

 ただ、ここで失われたものは神への信仰心だけど、神さまに限らず信じられるものをなくすとひとは駄目になるような気はする。自分以外の誰かでも、今美しいと思える何かでもいい…それは確かに支えになるから。そういったものを何も持たないひとは、多分ここで描かれたように弱く救いなくなってしまうのだ多分。そういう意味ではとっても共感したんだけどね。信仰に限らず、そういう何かはなくしたくないなあ。

さいごの戦い C.S.ルイス(岩波少年文庫)

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 …さて。ナルニア読了してますます気になってしまった某シリーズの命運やいかに。正直アレがこういう結末だったら結構救われないわ私…あはは;(まあナルニアがこうだからこそ同じにならないとは思ってますが)。そう言えば「アンバーシリーズ」も「真のアンバー」だっけなラスト…(でもそんな天国的世界でも神様の物語でもなかったと思うが)。「真の常世」はない、とは言い切れないが(オイ)、少なくとも最後まで「ひとの物語」であってくれたらなと。望むのはそれだけです、ホント。
novel | C.S.ルイス
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魔術師のおい  [Edit]
2006-06-02 Fri
 ナルニア6作目、予告どおり「ナルニア誕生」物語。おおーそもそもの発端であるタンスと学者先生の秘密も明かされましたね。おじいちゃん先生にもこんな少年時代があったのか。「世界と世界の間の林」かあ~、そうやってアスランがナルニアを創ったのは分かったけど、何で創ったのかは分からんね…つか聞かぬが花か、神様の意思なんて…。

 滅んだ国と「こちら」と、太陽の様子で「世界」(「星」なのか?)そのものが若いのかそれとも寿命なのか分かるのがやけに科学的だったりしますが、ここでは人の行いが「世界」の寿命を伸ばしたり縮めたりするのだろうな~。いくつもの世界の終わりを見届け、そしてまた創るというのはファンタジーと言うにはすごくシビアだと思うんだけど、アスランもなかなか遣りきれないだろうな…どんな世界を創っても必ず滅びてしまうというのは;。ナルニアも、アスランは「とこしえに」と言ってたのにやはり次で「くずれさる」んだもんね…。そして「こちら」の世界への「いましめ」も、全然ファンタジーじゃないところがね;

 アスランがナルニアを創っていくところはまんま聖書というか創世記だなあ。リンゴを食べようかどうか悩むのはイヴではなくアダムでしたが。「ライオンと魔女」で、アダムの息子が王にならなければならないという予言は、不完全な人間が王になることがこの世界の調和にとって必要だからかと思ったんだけど、単に起こした責任を取るということだったのかしら…。でも「悲しみを知る者」という言葉は印象的でした。それがない世界よりあった方がより完全で美しい気がするのはなんででしょう。

 そうそうこれだけ明かされると気になるのは、「朝びらき丸」で「東の果て」へと行ったリーピチープのこと。あれを読んだ時はよくわからなかった、他の世界から繋がってるような扉とか星の生まれ変わるところってのはまんま「世界と世界の間の林」を表してますが…。彼の使命や世界にとっての意味が、さいごの巻で明らかになったりするのかなあ…?

魔術師のおい C.S.ルイス(岩波少年文庫)
novel | C.S.ルイス
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馬と少年  [Edit]
2006-06-02 Fri
 半年ぶりに再開かよのナルニア5作目、一の王ピーターの…というか個人的にはエドマンド王の時代だけど、ナルニアの話というよりはおとなりの国・アーケンに深く関る話でしたね。次の「魔術師のおい」でナルニアの成り立ちも読んだところなんだけど、アーケン国は友好国というよりは兄弟国なのね。後の世にはどういう国として描かれてたかちょいと忘れましたが。シリーズ通して見たらば番外的な物語かな~でも私的にはかなり好みな物語でした。

 「こちら」から誰かがナルニアに渡るわけでもないし、魔女との戦いがあるわけでもないんだけど、その分ファンタジー色が薄くって、昔読んだ英米児童文学に近い味わい。赤ん坊の頃に行方不明になり虐げられて育った王子がやがて国に戻るってある意味定番だよね!いやーシャスタがかわいくって、彼の冒険がすごく楽しかったのだよ…(本人は落ちたり走ったりかなり大変な旅だったハズですが…笑)

 そんなわけですでにネタばれ気味ですが、南のカロールメンの国で漁師に育てられたシャスタ少年と有力貴族の娘であるアラビス、それから二人のもの言う馬・ブレーとフインが、北のナルニアへと向かう物語。その途中にそれまでの自分の価値観やプライドをリセットすることになる話、かな。小さい世界で得たそれを捨てることができれば、ひとつ大きな世界を手に入れることができるのだ。番外的?とは言ったけど、事の最初から最後までアスランが恣意的に関わってるのよねえ~。「ナルニア」の世界から見てこのことはやはり何か意味があることなのでしょうかね。ナルニアの世界における予言って世界の存続に関わることのような気がするので、コル王子が予言どおりアーケンの王になることが必要だったのかもしれないすね。

 印象的だったのはリューン王の「王とは」という言葉。誰かを思い出す…というか、そんな風な本物の王がいったいどれだけいることか…。それでもこれを読んで育った子供には、大人になっても忘れないで欲しいのだ。あとエドマンドの「裏切り者が」のくだりかな。高貴なひとらしくなっても、よその王子相手に容赦なく平手かましたりするところにやんちゃの名残が見えてやっぱり4人の中では一番好きだわと思ったり。

 ラストのハッピーエンドも楽しく嬉しい読後感で。コルもコーリンもかわいい~。そして実はフイン姫(注・馬です)がお気に入りっした。大人しく控えめなんだけど、後半言うことはきっちり言ってのけるあたりが凛々しくて、もし彼女が人間だったら好みの女子だっただろうな~とね。

馬と少年 C.S.ルイス(岩波少年文庫)
novel | C.S.ルイス
CM:0 | TB:0 |
| 日々是好日 |
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