読書の欠片ネタバレあり
07≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫09
スポンサーサイト  [Edit]
-------- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告
|
神の守り人 来訪編/帰還編  [Edit]
2006-08-31 Thu
 薬草の買い付けにロタ王国との国境付近に出かけたバルサとタンダが出会ったのは、奴隷商人に連れられた幼い兄妹だった。放っておけずに助けようとしたバルサだが、妹から発せられたすさまじい力が奴隷商人たちを切り裂き、兄にもバルサにも傷を負わせてしまう。妹・アスラからただよう死のにおいに、バルサが関わることを恐れるタンダだが、自分の過去とアスラを重ね合わせるバルサはアスラを連れて逃げることを選ぶー。しかしアスラの力はロタ王国の根源に関わるものであり、またこれからのロタを大きく変えかねないものだった…

 「虚空の旅人」でロタ王はチャグムと会ってるわけですが、その前後のロタ王国の物語がまず一つ。タルシュ帝国は北の大陸への足がかりとして直接ロタにも手を伸ばしていて、裕福な南部の大領主たちと北部の貧しい氏族たちとの間には大きな溝がある。そしてロタにもヨゴやカンバルと同じように建国の神話があり、影になって王家に仕える者たちと、かつて荒ぶる神を封じて以後決して国の表に出ないことを誓って陰の中で生きるタルの民たちがいる。封印が解かれアスラに荒ぶる神が宿ったことで、ロタの屋根骨を揺るがそうとする勢力が動き出す、と。

 この中心になるのが王家の「猟犬」として影に生きながら、現状に不満を持ちこの国のあり方を変えようとする若い勢力だけど、結局これはひとまず失敗し、火種を残したまま一応の収束という感じでしょうか。うーむ、シハナにもいい国を造りたいという気持ちはあるんでしょうが、チェス盤を眺めるような視点があんまり好きじゃないんだよな~ハートが感じられません。その点ロタ王とその弟イーハンは出番は多くないけど国を思う気持ちや人を思う気持ちがきちんと伝わってすごい立ってたので、この後のロタの話は是非彼らの視点から読みたいものです。国の中も外も嵐だけど、これをどう乗り切っていくのか…。ロタ王の健康がちょい心配ですが、一人で国を背負うのは辛いですから。この国は兄弟タッグで行ってくれるといいなあ。

 というわけでロタ国内のごたごたはとりあえず置いておいて、メインとなるのは「神」とひとつになってしまったアスラと、そしてやっぱり主役はバルサなんだよな。バルサの「生」の捉え方がこの話の心臓だと思う。いろんな立場の人がいて、背負うものも違えば守るべきものも違う。だからどれが正しくどれが間違っているとは言えないのが人の世だけど、その中でバルサは常に「自分として立つこと」を基準としてる。その姿に何より力づけられます。自分のために友を殺しつづけたジグロの痛みを背負い、自分の中の獣のような業と戦い、誰に否定されても自分を否定しないで生きること。バルサの言葉は自分にも他人にも厳しいけど、「生」と向かい合うその姿が言葉よりも雄弁に訴えかけ、ざわざわと震え揺れる心を落ち着かせて、静かに「生」を見つめさせてくれる。

 でもそういうバルサ自身も、それは強さじゃなくてあきらめだという。平和には慣れても人生に対する思いの薄さはなかなかなくならず、生き方を知らない赤ん坊なのかもと。アスラの業も重いけど、やはりこれはバルサの物語なのだ。アスラという存在を通して、バルサがどのように生を捉え、何を守るのか。これまではただがむしゃらに命を繋いできたけれど、これから自分の人生とどう向かい合うのか…バルサの気持ちがやっぱり一番の読みどころなんだよね。

 バルサとタンダ。バルサにとってタンダは大事な人間だし、想いもあるわけだけど、でもタンダが報われるかというと…ううむ、まだ当分難しいのかなあという気が;。秋風が吹けば旅心が出るし、穏やかな生活というものに馴染めないのは性格というよりももっと深く魂に刻まれててバルサに根ざしてるしな。そしてバルサってばナチュラルに攻だし<ラヴ(?)シーン。アスラも「お父さんみたい」だし・笑

 何百年に一度訪れるというナユグの春は、この後のシリーズでも重要ファクターのような気がするけどどんな影響を与えるんでしょうかね?タルシュなどの南の大陸では、北の大陸のような「この世と平行して存在する別の世界」は全然失われてるようだし…。北の大陸に迫ってる嵐とともに、この世界観がどうなっていくのかが気になるところです。そして、順番的にはこの次の巻で流浪の人になったチャグムですが、方角的にはロタに向かってるんだっけ?次の三部作ではストーリー的にもしっかり交わってきそうでだな。早くバルサと会えますように。

神の守り人<来訪編> 神の守り人<帰還編> 上橋菜穂子(偕成社)
novel | 上橋菜穂子
CM:0 | TB:1 |
夏休み宿題追い込み中  [Edit]
2006-08-29 Tue
 私もね…<宿題。えーと、memo書くのも随分久しぶり。いろいろ反応したかったこととかせめて近況くらい書いとけとは何度も思ったんだけど、喉まで出かかった言葉がしゅーっと消えちゃうのでどうにもなりません。まあ私が時々感想モードに入れなくなるのは、知ってる人は知ってるだろうと思ったんで言い訳なしで半ネット落ちしてました…ははは。うーむ書きかけとかタイトルだけのエントリが10くらいあるわ…あ、今日15になった(<増やすな)。まあおいおいアップしていこうかなーと思ってますが、しかし言葉ってホント使わないと腐るわー。ロクな言葉がでてこないもん。せいぜいリハビリしてせめて生きた言葉が出てくるようにしたいと…死んだ言葉じゃ書く意味ないよなあ。

 以下いろいろ。

・GHコミックスにアニメ化の帯掛かってた。ナルと麻衣のキャラ絵…いなださん絵をベースに少々簡略化って感じ?取りあえず何クールかなあ…てかドコ系だっけ。見れるのか??

・のだめドラマ化&アニメ化。イメージが~~とかはもう全然思わないのでフツーに楽しみ。月9なのでラヴ☆コメになっちゃわないかだけちょい心配か?音楽でのつながりがメインだといいなー。一番楽しみなのはもちろんのだめオーケストラね。おなじみのオケ関係者全面協力だそうなので音も期待していいかな?アニメはハチクロ枠なんでDVDで見まっす。主題歌もけっこ楽しみ。

・師匠んとこで見てえ、まさか?と思った剣風帖アニメ化。ある意味一番驚いた…何で今?慌ててあちこち覗いてみたんだけどまだ画像は見れてませーん。でも断片的な情報だけでも結構…汗。可及的速やかに忘れ去るのが吉ですか?でも…やっぱり気になるよ~~キャラ絵は?声は?性格は?京一~~(そして何より心配なのは龍麻のキャラ設定…)

・マイボス。何回か抜けてますが割と見てます、面白い。長瀬のお肌が正直で泣ける。黒井さんかっこいー。和弥いじらしー。南先生むくわれねー(がんばれ)。ミッキーは黒そうだけど、実は兄ちゃん大好き希望。宙船もいいね。中島みゆきと聞いて納得!と思ったが、長瀬の声でいい感じに青春してます。

・ん?アニメ・ドラマネタばっかりじゃん。本は児童書しか読めてません~。次何読もうかなあ。読みたい、と思うのが先だ。
memo
CM:0 | TB:0 |
黒い兄弟 上・下  [Edit]
2006-08-29 Tue
 私は見てないけど、世界名作劇場「ロミオの青い空」の原作です。なんでロミオ…そしてストーリーも大分違ってそうですが。でも私の感覚でも、逃げ出すよりは年季明けの方がハッピーエンドっぽいかなあ。

 1800年代スイスの山岳地帯では、貧しい農夫が子供をミラノの煙突掃除夫に売ることがあった。その仕事は過酷で奉公先では人間らしい扱いもされず、半年の年季明けを待たずに死んでしまう子供たちも多かったという。13才のジョルジュの家もまた貧しく、山岳の農村地帯の暮らしは決して楽ではなかったけれど、家族で力を合わせて働き、小さな初恋やいろんな生き物を育てる喜びもあるささやかに幸せな生活を送っていたが、村に奴隷商人が現れて以来不幸や天災が続き、とうとう自ら決心してミラノに向かうー

 これは完訳なのかな~煙突掃除夫の過酷さ部分は意外と少なかったけど。割と児童書の定番要素が盛り込まれてて、ここがメインて読みどころがちょっと弱いような気はしましたが、児童書らしいといえばらしいかな。同じ身となったアルフレドとの友情(しかし誓うほどの友情にはもちょっと濃いいエピソードが欲しいが…)、奉公先での意地悪なおばさんと息子、身体の弱い娘とのささやかな交流、街の少年グループとの確執と和解、そして逃亡と新しい人生との出会い。多分、タイトルや上下二巻という厚みから、もっと心理描写の深い重っ苦しい物語を想像してたんでしょう自分。とんずらこいたのが意外な方向だったのと、そしてカセラ先生に外から与えられた平和があまりに理想的だったもので、あれ?とちょっと拍子抜けしたのは事実だけど、子供の時だったら素直によかったーと思ったかもね。

 アルフレドの死とそれをきっかけにした狼団との友情はよかったすね。あと、ラストの帰郷の酒場のシーンは好きでした。アニタvsビアンカ…微笑ましい・笑。ジョルジュたちが逃げたあと、親方やアンジェレッタはどうなったんでしょう。煙突掃除夫の仕事のことにしろ、アルフレドや「黒い兄弟」、狼団たちとの関わりにしろ、乗り越え方や生き方にしろ、もうちょっと各人物の内奥に突っ込んだ話を読みたかったなというのが原作読んだ感想だったんですが、多分アニメの制作側も同じようなこと思ったんじゃないかなあ~。アニメのストーリーは知らないけど、ざざっとあらすじ読んだ限りじゃ大分違うみたいですね。年季明けまで働くみたいだし。原作じゃ悪い人じゃないけどどっちつかずだった親方との間にも師弟愛が芽生えたみたいだし。原作のちょっと物足りなかったり唐突だったりする部分をうまく膨らませてて、何だかアニメの方が濃いい感じがする…。こっちの方が納得できるしテーマがはっきりしてると思うのは邪道かしら…?

黒い兄弟〈上〉 黒い兄弟〈下〉 リザ・テツナー(あすなろ書房)
コメントを読む(2)
思わず  by まき
バンリさんこんばんは、おひさしぶりです。なんだかここはコメントしておかねば!と勝手な使命感が・・・(笑)
アニメは、ロミオとアルフレドの友情物語に主眼をおいたことで、一貫性が出たように思います。アニメの後で原作をよみましたが、一番違う点が、アルフレドの設定でした。原作ではお金持ちの息子、というだけだったように思いますが、アニメでは実はイタリア貴族の出身ということになっています。叔母夫婦に両親を殺され、国王からいただいた勲章を騙し取られたため、それをとりもどすとともに、国王の前で貴族の称号を受けるんですよね。黒い兄弟、仲直りした狼団みんなで力を合わせて。名誉挽回したところで、死が待ち受けています。この死というのが、教会で、ロミオの腕の中で死んでいくのですが・・・今でもはっきり思い出せます。
あのシンプルな絵柄で、どうしてここまで・・・というくらい、表情があって泣かされました。声優さんの演技の賜物だと思います。
そうそう、アンジェレッタも地元の名士のお嬢様を預かっていた、という設定で、おばあさまとともに病気を治すためフランスに旅立っていきました。原作ではあっさり死んだという記述だけあったような?
「ロミオ」という名前になったのは、ジョルジョより馴染みのあるイタリアンネームだったかららしいです。
まあとにかく、私のオタク人生を変えた作品で(笑)いつか必ずDVDを集めたいと思っているくらい好きです。語りきれない。
長い作品なので、気軽には見られないと思うのですが、是非見てほしいなあ。
長々と失礼しました。
語ってくれてありがとうですv  by banri
まきさん、こんばんはv
おお、まさかこれで語ってくれる方がいるとは~。
私はアニメ版は全く見たことないんですけど、そうですか、そこまでオタク心を…笑
それはともかく、結構詳しく毎回のあらすじを載せてらしたサイトさんでラストの方だけ読んだのですが、原作と違いミラノでの彼らの生活と友情をふくらませてあって濃いいなあとは思ってたのです。
でもアルフレドの設定がそこまで変わってたとはびっくりす。
設定はすごいドラマチックな気もしますが、ミラノでのエピソードがちょっと物足りなかった自分としては多分アニメの方がしっくりきそうな気がする…友情ものに弱いし…名演なら尚更見てみたいですね~。

友情物語といい、子供たちが力を合わせて逃げずに周りを変えてしまう展開といい、アニメの方が「物語」としては自分好みなんですが、たまたまamazonのレビュー読んでなんで作者が「逃げる」物語を書いたのかがすとんと落ちました。私だって戦争や理不尽な現実からは逃げて生き延びろって思うもんなあ~。
ミラノでの辛い現実には簡単に救いを与えない変わりに新天地に希望を求めたわけですね。
原作は原作で、作者の書きたかったことがはっきりして納得です。
原作はリアルで、むしろアニメの方が児童文学らしいかもですね。
novel | リザ・テツナー
CM:2 | TB:0 |
コーンウォールの聖杯  [Edit]
2006-08-29 Tue
 もう15年くらい前になるか、当時ファンタジーってほとんど読んでなかった私が、書評か何かを見て面白そうかもとわざわざ注文して取り寄せたスーザン・クーパーの「闇の戦い」シリーズ。…どこにいったんだろう本(オイ)。そしてなんで内容全然覚えてないんだろう…;

 …というわけで、今なら自分の中にもファンタジー土壌が大分育ってきたのでもう一回読んでみるかなと、その前にこのシリーズのはじまりの物語とも言える本書から借りてきてみました。イギリス、アーサー王伝説に繋がる「聖杯」を巡って遠い過去から繰り広げられてきた光と闇の戦いの、その一端に触れる物語です。

 夏休みにコーンウォール地方へ家族旅行に訪れた三人兄弟が、古い屋敷で見つけたのはアーサー王の実在を示す古文書だった。三人は親戚同様に付き合っているのにその実謎の多いメリィおじさんのヒントに導かれながら、その地に隠された聖杯へと辿り着き、一方で闇の勢力に属する人間たちがそれを奪おうとする…。古い屋敷の屋根裏部屋、地図と謎解き、洞窟の探検と宝物とくれば何とも懐かしい児童文学の雰囲気ですね~。聖杯に秘められた謎や実際に行われてきた光と闇の戦いについてはバックボーンで語られるだけなので、この話にはファンタジー要素はあんまりないんだけど、どうやらいつの時代にもメリィおじさんのようにアーサー王が遺したもの…聖杯ではなく人が光の方へ進もうとする力みたいなものか…を取り戻したいと思っている人(?)々と、楽に大きな力を手に入れたいと思う人間たちを取り込んで世界を闇に染めようとしている勢力がある、と。

 でもメリィおじさんのスタンスを見るに光と闇というのは選ばれた者たちの戦いじゃなくて、ごくフツーの人間たちの心の戦いなんだろうなーという気がするな。おじさん自身はサポートに回って必要以上に兄弟に影響を与えようとはしてないから。だから一見子供たちのささやかな冒険にすぎないこれもまた人間が自分たちの意思の力で乗り越えないといけない一つの戦いなのだ。「どちらの側も完全に相手をほろぼしてしまったことはない」「どんな人間にもどうやら善と悪の両面があるからな」…つまり、この後の「闇の戦い」シリーズも善と悪の陣営に分かれて天下分け目の戦いが…って話ではないのかもね。人の心の中の善と悪の戦いだったら面白そうだなあと思うんだけどどうでしょう?(だからなんで全く覚えてないんだか…)

 アーサー王ってのは「過去にいた王であり、未来の王でもある」そうだし、この流れだと現代にそういうほとんど超人的な力を持った存在が復活しそうな気もするけど、人の身にはそんな強大な力は重いしね。自分の中の善と悪に苦しむんじゃーないでしょか。そういう自分と戦って打ち勝つってのが人間的で、そして希望があって好きかもー。ああ、ナルニアならエドマンドだし、指輪ならボロミアだしね<自分。

コーンウォールの聖杯 スーザン・クーパー(学習研究社)
novel | スーザン・クーパー
CM:0 | TB:0 |
小朝・茂山・昇太の京極噺  [Edit]
2006-08-04 Fri
 もう10日以上経っちゃったけど、ちょっとだけ感想を。やー思ってたよりあっさりだったもんで…(言い訳)

 まずは昇太の「新釈・妖怪噺」。や、見た目がどう見ても若手なので呼び捨てにしてましてスミマセン…志の輔と同期だそうなんですが、実年齢差で絶対そうみてもらえないで自分ばっかり損をするとまくらでたっぷり笑わせてもらったので、これからは昇太師匠と呼ばせていただきます・笑。まくらはとっても楽しかった~地元には不似合いな程立派なホールの1ベルの音には私も驚いたし、笑点デビューネタもおもしろかったす師匠。でも噺っぷりは若いような気がしたよ。演技がというか。

 さていつも怖がらせられてばかりなので、今年の夏は怖がらせる方にまわりたいと怪談話の練習をする男の話が続いたところで、京極の本で怖い話を勉強しろと言う。京極=おどろおどろしい小説は全然違うな気がするが、文庫本の厚さネタでくすぐり、そして一冊の本を買って帰ったと。んでその本を開いてみたところが。「地響きがする…と思って戴きたい」

 ぎゃーっ(別に怖がってるわけではない)「どすこい」できたか~~;;いやー…正直「やべっ」と思いましたよ(殴)。だって私「どすこい」であんまり笑えないし…;雪の中を行進する四十七(力)士…これはむずかし~~。うーむかなり原作どおりに演ってくれちゃったんですが、意外と思いっきりリメイクした方が面白くなるかも…よ(無責任)。と、とにかく、これはちょっとアレでした、ええ・汗。ごめんなさい昇太師匠…。でも演りようによってはもっと面白くなるかもと、次の小朝聴いてちょっと思ったす。


 次が小朝師匠、出し物は当日のお楽しみになってたんですがあっさりバラしてくれました「豆腐小僧」です。最初からそのつもりだったのか、それとも前がすべった(あっ)空気をふまえて変更したものか、まくらなし。「豆腐小僧」はごく短い話なのでその前にもう一つ…と言ってオリジナルなのかな?鶴の恩返しならぬこうもりの恩返し、しかもこうもりはこうもりでもルーマニア生まれのあおいちゃん(自分が血を吸うとみんな青くなるから)のお噺から入ってくれました。小朝って女の子役上手いなあ~かわいいですあおいちゃん・笑。

 冷えてた空気がほどよくあったまってきたところで「豆腐小僧」へ。内心ドキドキだったんですが(一般のお客さんに受けるかと思って…<余計なお世話)上手かったです。さすが小朝!と思ったわ~。京極の原作そのまんまじゃなく、小朝らしく結構大胆にアレンジしてあったのがいい。別の芸人のつぶやきネタをメインに持ってきたのは本人もちょっと苦しかったんじゃないかと思うんだけど、多分妖怪という一般にはなじみの薄いキャラに感情移入させるための苦肉の策だったんだろうな~と。おかげで会場の空気も冷えることなく、一つ目小僧の兄さんの漢気もキラリと光り、狂言verと違って人情噺に仕上がってましたねー。うん、このくらい変えちゃっても全然問題ないと思うわ。自分がちゃんと納得できるキャラに仕上げることで嘘くさくなくなるというか、自分のネタになるんだなあーと思ったす。もっと聴きたかったな~。


 中入りを挟んで最後が狂言「新・死に神」。私的には人情ものっぽい落語ver.の方がお話としては好きだけど、何と言っても初・生狂言だったのでこれはいろいろと面白かったです~。動きとか節とか約束事とか。死に神役の方がさすがの存在感を放っておりました。これが千五郎さん?衣装もイカしてました…前には黒猫頭には鼻緒の切れた下駄、背中の「滅」は一字かと思ったら後半動きが激しくなって分かった「仏滅」だったのね。本を読んだ時と、あと古典(?)を聴いた時は主役は不幸男の方だと思ってたんだけど、間違いなく死に神の方っした<主役。オチは六儀集と同じくちょっと毒の効いたやつだったけど、後味は悪くなかったな~。それもやっぱり「死に神」の味かと。


 こんな感じでちょっとあっさり目の二時間でしたー。前夜に相方が行って来た志の輔主宰の「越中座」が「めちゃめちゃおもしろかった!」そうなんで、正直負けた…と思いましたが(殴)、めったにない機会で楽しかったですー。落語はホントまた機会見つけて聴きに行きたいなあ~。
media mix | 落語 | 京極夏彦
CM:0 | TB:0 |
ウースター家の掟  [Edit]
2006-08-04 Fri
 「よしきた」の続編にあたる長編で、今度の舞台も古きよき田舎の大邸宅、トトレイ・タワーズ。ここはかの、バーティをして蛇に睨まれたカエルのごとくプロポーズを受け入れさせてしまう恐るべきマデラインの家であり、その父親はかつてバーティを警官のヘルメットを盗んだ咎で5ポンドの罰金を奪ったバセット御大なのだ。…うーん、ちょっと言い回しがウッドハウス調になってしまうな(そうか?)

 まあとにかく今回も二組のカップル、警察官に独裁者、それにダリア叔母さんまで入り乱れてのドタバタが展開されるわけで、今回もバーティは理不尽な女性たちと間が抜けた友人たちに振り回され、何故か自分のところに回ってくる災難をひいこら打ち返すハメになるのだ。いやー今回バーティがとってもマトモな人間に思えたわ…笑。そして相変わらずどんな切羽詰まった状況も、文学的で格調高く難しい言い回しで評すのがおかしくって笑えるのです。1ページにいくつくすぐりがあることやら。ジーヴスとバーティ万歳です。

 お気に入りのダリア叔母さんの狩猟系ギャロップも健在だし、ピング嬢も強烈だったけど、今回の見所はピング家の犬に追われて箪笥の上に飛び乗る主従コンビでしょうか。すごい光景だ…

 そしてそうそう、訳者あとがきにある通り、珍しくバーティにとって満足の行くオチだったのが何よりでしたー。いつもいつもバーティだけが割りを食うのがジーヴス流かと思ってましたが、今回はホントの大団円。ウースター家の掟を貫くバーティは男らしく、ダリア叔母さんとの親戚タッグは心あたたまり、見事バーティに世界一周クルーズを受諾させたジーヴスの嬉しそうな様子がまたいい感じじゃないの。例のヒバリとカタツムリの詩がこの大団円を完璧なものにしてくれるしね。…これが今回だけじゃないといいんだけど・笑。世界一周クルーズの話もあるのかなあー。この主従がいれば船旅に退屈してるヒマはないと思うわ。

 あとがきで紹介されてたウッドハウスの書簡もおもしろかった…。作家が頭の中で同じ場面を何度も何度もこねてる感じが伝わってさ。そして私のバーティ好きはこの訳者のバーティ像によるところが大きいのかしら~バーティ・ウースターは愛されていたのだ、に思わずうんうん頷いてしまったじゃないの…。

ウースター家の掟 P.G.ウッドハウス(国書刊行会)
novel | P.G.ウッドハウス
CM:0 | TB:0 |
蒼路の旅人  [Edit]
2006-08-03 Thu
 この前にバルサの「守り人」シリーズが一つあるんだけど飛ばして、続けてチャグムの「旅人」シリーズを。今のところは去年刊行されたこれが最新刊なんだけど、近々続きも読めそうです。秋から「天と地の守り人」三部作が順次刊行予定とのことで、「守り人」シリーズだけどバルサとチャグムの話が交わりラストに向かっていく、一応シリーズ最終巻になる…のかな、多分?

 15才になり才気と人を惹き付ける若々しい改革の息吹を感じさせる若者に成長したチャグムだけど、反面親子関係や王宮での派閥争いは悪化。「虚空」でタルシュ帝国に攻められたサンガル王国も落ち、これまで他国との戦いと無縁だった北の大陸の国々にも嵐がやってくる。そしてチャグム自身も捕虜としてはるか南の大陸・タルシュ帝国の大きすぎる力を目の当たりにし、国と民を背負わざるを得ない嵐の中に飲み込まれていく…

 しょっぱなからシュガとも離ればなれになり、数少ない味方だった祖父をもなくしてしまうチャグムは、たった独りで嵐の中に立たされるのだ。捕虜となった最初にはかつて暗殺者として自分の命を狙ったジンが、航海の間はタルシュに征服されたヨゴ国の出身でありながら密偵として生きながらえているヒュウゴや元サンガルの海賊船の「船の魂」セナが少しは支えになってくれるけど、それでもチャグムの肩に乗っているものを誰も肩代わりしてはあげられない。最後の時がきたら、もう何に縛られることなく懐かしい異世界・ナユグへ行ってしまえると憧れ、でも逃げるなと言われればこれから嵐に呑まれるだろう祖国や民のことを考えないわけにはいかないチャグムがホントに孤独でかわいそうっした;

 そして最後に選んだ道もまた孤独…。旅人というよりももはや流浪の民だよ。でも与えられた国で王になることも、父や弟を殺すことも、民を戦に駆り出すこともチャグムが望む未来じゃないから。たとえ無謀でも今まで決して自分で自分の道を選べなかったチャグムが初めて自分で選んだ道なのだ、これは。皇子であることを捨てながら、国と民を守ること。美しく生命に満ちた水が呼ぶ声に背を向けて、血と炎の匂いに満ちたみにくい人の世を、はるかに旅していくこと…。

 王への道を捨てたチャグムだけど、この道の先には回り道して再び帝になる未来が待ってるのか?それとも辿り着くのはナユグの世界なのか?そして今は別々の道を歩いているバルサの道と交わる時がくるのか…きてほしいですねえ。それから今回出て来たヒュウゴも気になる人物です。少年時代の番外編の予定があるみたいだけど、この後どんな道を辿るのかも知りたい。この後もチャグムと関わることがあるかしら?次の三部作が待ち遠しいですー。

蒼路の旅人 上橋菜穂子(偕成社)
novel | 上橋菜穂子
CM:0 | TB:0 |
虚空の旅人  [Edit]
2006-08-03 Thu
 「守り人」シリーズ外伝…だけど、この後チャグムの物語は「旅人」シリーズとしてバルサの物語とは全く別の物語が紡がれていくことになるのですねー。

 チャグムの生まれ育った新ヨゴ皇国やバルサの故郷カンバル王国を含む北の大陸、その南端には海賊を祖に持ち、男たちの力と女たちの知恵で周辺の島々を統治する島守りを束ねる広大な海の国サンガル王国があり、海を越えてさらに南には強大な国力と武力を持った諸国が争いを続けている南の大陸が広がっているという。14才になったチャグムはサンガル王国の王位継承式に皇太子として出席するためにはじめてその「世界」に触れることになるのだけど、そこでは南の大陸の大国・タルシュ帝国が北の大陸を攻める足がかりとしてサンガルを攻めようと動いていた…

 サンガルにも「守り人」シリーズと同じようにこの世界と重なって存在する別の世界があり、そこに魂を引かれた少女と、彼女を通してかつてその身に宿した異世界との間で再び揺れるチャグムが一つの物語ではあったんだけど、むしろチャグムのシリーズの「世界」とは国々で構成されるこちら側の世界に大きく傾いていくみたい。バルサのシリーズは、目に見える世界と見えない異界との繋がりと、その中に居場所を定めて自分という人間を実現しようとする個人の物語だったけど、チャグムは個人としては生きられないんだもんね。皇太子としてやらなければいけないことと、そのために切り捨てなければいけないものとの間で葛藤する、国と民を背負った少年の物語になっていくのかな。

 「旅人」ってむしろバルサに相応しいような気がしてたけど、読んで納得。確かにチャグムはこれから世界に旅立っていくんだわ。はじめて触れた外国の為政者の姿、外から見るあまりにも小さな自国の姿は、まだ14才で父帝に疎まれ、王家の中の後継者争いから暗殺の危険も常に身に負っているチャグム自身の寄る辺なさと相まって、とてもとても堂々たる船出とはいかないけれど、国のために民が駒のように死なないで済むような王になりたいという思いがチャグムの中に確かに芽生えた旅立ちなのだ。自分で言うようにそれはとても幼くあやうい資質だけれど…そんなチャグムだからこそできる何かがあるんだと思う。

 バルサたちは王宮でのチャグムになにもしてあげられないし、味方といえるのはシュガくらい。だから今回サンガルの王子・タルサンとの友情はホッとするものだったんだけどね~。バルサと関わりの深い「王の槍」たちとも誼を結べそうだったし、北の小国の皇子にすぎなかったチャグムの世界が広がって、王や国の論理を超えた為政者へと成長していくのかなと思える予感になんともわくわくしたんですが。…えええっまさかこうなっていくとは<シリーズ次巻。タルサンとも再び会えることはあるんだろうか…無事でいろよー。

虚空の旅人 上橋菜穂子(偕成社)
novel | 上橋菜穂子
CM:0 | TB:1 |
| 日々是好日 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。