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読書の欠片ネタバレあり
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クライマーズ・ハイ  [Edit]
2005-08-31 Wed
 うーむ面白かったしグイグイ読ませましたね~一気読みでした。昭和六十年八月十二日、新聞記者の悠木は翌日に挑むはずだった「魔の山」と呼ばれる谷川岳衝立山への出立直前、その第一報を受け取った。部下を不用意な言葉で失って以来デスク昇格を拒み、40才の今も「独り遊軍」として一記者に甘んじていた悠木に与えられたのは「日航全権デスク」…そうやってこの大事故に挑んだ日々が、仕事も家庭も行き詰まっていた悠木にとって次に踏み出す一歩を決めることになったのだーー

 作者自身が当時この未曾有の事故に地元新聞記者として立ち会ったということで、大部分を占める新聞社内の動向がとってもリアル。きっとこれはほとんどが本当にあったことなんじゃないかなあ~。あるいはもしこの事故で亡くなった方の関係者がこれを読んだなら、当事者との温度差に複雑な気持ちになるかもしれない…そのくらいマスコミというものの本質が描かれてると思う。いい面も悪い面も。

 凄惨な現場を見てどこかが壊れてしまった新米記者が、何度も何度もその現場へ足を運び越えていく。そんな姿を描く一方で、記者の決死の原稿や全権を預かるはずの悠木の意見が社内の政治的論理やかつての「遺産」にしがみつく上司の手でいとも簡単につぶされていく現実も。同じ社内でも決して重ならない思惑や人間関係…地元紙の意地も伝えたいという記者の思いもあんまり報われないあたり、これが完全なフィクションであれば燃え上がりかけては水を掛けられたみたいなもので読んでてどうにもくすぶってしまうと思うけど、今の場合は現実をねじ曲げて「いい話」にしちゃうわけにはいかないんだろうなあ。むしろうまくいかないところにところに個人の力の限界と、それでも「続けていく」人の姿が見える。組織がどうあろうと、その人の生き様を決めるのは個人だと思うしね。何度もつぶされながらめげず後輩の面倒見もいい佐山ががんばってんなあ~。こーいう人が組織も変えてくれたらいいよなあ、うん。山に登り続けた神沢の成長と生き様もいい。

 しかしてこれは事故当時の地元新聞社の動向をリアルに描いたというだけでなく、仕事でも親子関係でも次に進むべき道を見失い立ちすくんでいた悠木がどういう生き様を選んだのかという、むしろ個人的な物語でもあり。記者の立場に立ったり罹災者の立場に立ったり迷いの連続で揺れまくり、総括デスクとして満足のいく仕事ができたとは言えず、自分の子供にもどう接していいか分からない気の弱さを露呈し(こうして見るといいとこないな…爆)、でもささやかだけど納得できる生き方を選ぶまでの。

 しかしものすごくいろんなテーマが詰め込まれてたわ…一つ一つが突き詰めると大きなテーマでそこが読み応えあったのは確かだけどもうちょっと絞ってもよかったかなー。特にラストの「大きい死小さい死」はちょっと唐突で中途半端だったような…公私混同というか。親子関係か山に登る理由に絞ったら更にどっしり骨太だったかも?クライマーの話は自分のツボの一つだし、息子の打ち込んだハーケンにはやられたしな~(あの一ノ倉沢が本格的な岩登り初めての57才とか、現役のクライマーじゃないらしい息子に越えられるのかどうかはちょっと疑問だけど~)その辺空白の17年間をもっとじっくり読んでみたかったかな。

クライマーズ・ハイ 横山秀夫(文藝春秋)



novel | 横山秀夫
CM:0 | TB:1 |
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2005-08-31 Wed 23:34 まろ茶らいふる
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