ナルニア2作目、時代は「ライオンと魔女」から随分下り、ナルニアから人ならざる者たちが追い払われて人間の国となっていた頃。ある者たちは力を失い、ある者たちは隠れ住み、ある者たちは人間たちの血と混じり合って、アスランも元のナルニアも信じることを禁じられ伝説としてすら遠くなっていた時代に、征服者の末裔でありながら元のナルニアに憧れるカスピアン王子が叔父の手から正当な王位を奪還するお話。
これは面白かったですね〜。駅のホームにいた4人の兄妹が再び呼ばれるところから冒険の連続だし、子供たち自身で行き先を決めて進んで行くので物語が意思的でぐいぐい引っ張られるし。子供たちはそれぞれ個性がはっきりしてきて、特にエドマンドが随分成長して一本芯の通った男の子になってるのが頼もしくも嬉しかったな。
カスピアン王子の旅の方もなかなかに山あり谷ありで、元のナルニアを見い出し仲間を集めるも、長い時を経てこちらも古き良き時代のままではないのが面白かったけど、4人兄妹の旅は更に興味深かったわ。元の王や女王だった彼らでさえ、再びアスランを見い出すにはもう一度子供の純粋さや恐れのない心を取り戻さないといけないというのが。
大人になること成長することとは必ずしも何でも出来るようになるってことじゃないんだよねえ。それは出来ることと出来ないことがあるのを知ることで、何かを失うことでもある。でもそういう不完全な人間でなければ王になれない「ナルニア」という世界がますます意味あり気に思えてきます。印象的だったのは人間というものに対するアスランの言葉、「恥を知るもの」。不完全さすら悪いことじゃあない、むしろ人間にとって必要なんだという気がする。だからこそ年をとりすぎているからもうナルニアには戻れないと言われたピーターが、穏やかにそれを受け入れられたんじゃないかなあ。

C.S.ルイス(岩波少年文庫)