続けてナルニア3作目。2から続いてカスピアン王の時代ですね。今回は予告された通り兄妹のうち年少組のエドマンドとルーシィだけがナルニアに呼ばれるわけですが…何と言っても前半の主役は一緒に来るもう一人、いとこのユースチスでしょう!いや〜楽しかった^^。物語を読まない子供が来るには場違いな世界に投げ込まれて、この世界では全く通じないにも関わらず一人孤高の常識人であり続ける彼の日記は面白いです(笑)。この世界に相応しいエドマンドやルーシィにはない視点でただでさえ憎めないところにもってきて、竜の島のエピソードで断トツ愛すべきキャラとして定着してしまった。さみしさを知り、誰かのために何かをする喜びを知り、友情とやさしさを知って、それでも時々は常識が邪魔をして完全には「ナルニアの子」になりきれないところが却って「いい子」過ぎなくていい(笑)
竜になってからのユースチスと彼を慰めるリーピチープとの友情は一番好きなシーンだな〜。自分の中の騎士道を貫くリープを一番理解できたのは、ひょっとしたらユースチスかもしれない。それくらいリープが彼に与えた影響は大きかったんじゃないかって気がする。きっとこれからユースチスが生きる上での規範になると思うなー見えないところでね。
旅の目的はカスピアンの父の友人たちを探し出すことだったけど、それ自体はむしろ手掛かりであって、「東の果てのはじまりの地」まで行くと冒険とは全然違うものですねえ。正直言って、他の世界から繋がってるような扉とか星の生まれ変わるところとか海底の都とかになるとどう考えていいのか分からないわ〜。ルーシィが海の中の少女も意味あり気で元の世界で再び出会うのかもと思うし、何か物語全体にとっての意味がありそうなんだけど…。ただ物語の流れがもう人の手を離れてしまったような印象を受けます。目的を果たすための旅ではなく「何か」の意思に導かれているような。望んで徃く者もあれば望んでも往けない者もあり、人はそれぞれの定めなり務めを全うしないとならないといったものが通底してるような気がする。そしてナルニアという世界にもそういう役割や定めがあるのかも?…わかりませんが。
そう言えば前巻だったか、リーピチープがしっぽを無くした時の自分自身の誇りに対する忠誠と他のネズミの信頼に、アスランが「私を打ち負かした」というところがあって印象深かったんだよね。本来、ひとがそれぞれ背負った役割や定めがちゃんと果たされるか見届ける、導くのがアスランの役目のように思えるんだけど、リープはそれを超える意思の力を見せてくれたわけだ。運命に従容と従うだけでなく、ひとには時としてそれを打ち破る力があると思えるシーンで私も嬉しかったんだけど、アスランも嬉しかったのかもしれません。あるいはだからこそ、今回再び「石のナイフ」の魔法を打ち破るのにリープが選ばれたのかもね。この旅は、最初から彼を東の果てに導くためにあったという気がしてなりません。あ、だからリープの精神を受け継ぐためにユースチスが連れてこられたとかだったらいいなあ〜^^。カスピアンはかわいそうな気もするけど星の乙女を妻にできたわけで…彼にとってはそのためにあった旅だったんでしょう、きっと。

C.S.ルイス(岩波少年文庫)