読書の欠片ネタバレあり
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銀のいす  [Edit]
2005-12-08 Thu
 ようやくナルニア4作目読了。ユースチスの成長を楽しみにしてたんですが、アスランから与えられた王子奪還の旅はこれまでになく厳しく暗くキツかった〜。剣や魔法での戦いではなく、精神と心の強さだけで戦わないといけない。飢えと寒さに苦しんでいる時にやるべきことを見失わずにいられるか、光のない世界で目には見えないものをそれがあると信じていられるか、自分の記憶や感覚を手放さずにいられるかという。戦う相手は魔女ではなく自分なのだ。前半なかなか読み進められなくてちょい苦労したんだけど、王子の呪いを解くところから魔女との問答は手に汗握りましたですね。これまでにない心理戦だったけど、現実がどうとか世界がどうとか関係ない、信じたいから信じるんだというにがえもんの意思の力に救われた思い。誰かに押し付けられ、考えることを放棄した世界で平和に暮らすよりも、楽しいものや美しいものの中に真実があると信じることからはじまるのだ。「このさき長く地上の国を求めてさすらおうとも、暗闇の中に出かけてまいりましょう」

 魔女の心理攻撃はなんだか戦争や独裁下の社会を思わせるなあ。一つの価値観を押し付けられた時、自分の心や信じるものを守れるだろうか?というような。時代時代で魔女の手段も違うらしいですが、ナルニアの世界にも現代的な考え方や風潮が流れ込んでいるのかなあ?こちらの世界との対応も気になるのよね〜近代化や技術の進化が全ていい方に向かうとは限らないし。例えばこの本の最初に出てきた「新教育」や戦争のように。そういうこちらの世界が反映されてるような気がしてなりませーん。なにしろ前書きで「ナルニアがくずれさる」ことは予告されてるわけなので…物理的にどうと言うより、人間の心の変化みたいなものが大きく関わってるのかなあと。

 「指輪物語」はこれから徐々に失われていくだろう神話時代の終わりと人間の時代の始まりを描いていたと思うのだけど、「ナルニア」は神話の世界とはちょっと違うような気がする。この世界が滅んだ後に現れるものは何なんだろう…?うーむ大人になってから読んでるせいで、純粋に子供たちの「ここではないどこか」の冒険物語としては読めないようです〜。

銀のいす ナルニア国ものがたり (4) C.S.ルイス(岩波少年文庫)



novel | C.S.ルイス
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