読書の欠片ネタバレあり
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虚空の旅人  [Edit]
2006-08-03 Thu
 「守り人」シリーズ外伝…だけど、この後チャグムの物語は「旅人」シリーズとしてバルサの物語とは全く別の物語が紡がれていくことになるのですねー。

 チャグムの生まれ育った新ヨゴ皇国やバルサの故郷カンバル王国を含む北の大陸、その南端には海賊を祖に持ち、男たちの力と女たちの知恵で周辺の島々を統治する島守りを束ねる広大な海の国サンガル王国があり、海を越えてさらに南には強大な国力と武力を持った諸国が争いを続けている南の大陸が広がっているという。14才になったチャグムはサンガル王国の王位継承式に皇太子として出席するためにはじめてその「世界」に触れることになるのだけど、そこでは南の大陸の大国・タルシュ帝国が北の大陸を攻める足がかりとしてサンガルを攻めようと動いていた…

 サンガルにも「守り人」シリーズと同じようにこの世界と重なって存在する別の世界があり、そこに魂を引かれた少女と、彼女を通してかつてその身に宿した異世界との間で再び揺れるチャグムが一つの物語ではあったんだけど、むしろチャグムのシリーズの「世界」とは国々で構成されるこちら側の世界に大きく傾いていくみたい。バルサのシリーズは、目に見える世界と見えない異界との繋がりと、その中に居場所を定めて自分という人間を実現しようとする個人の物語だったけど、チャグムは個人としては生きられないんだもんね。皇太子としてやらなければいけないことと、そのために切り捨てなければいけないものとの間で葛藤する、国と民を背負った少年の物語になっていくのかな。

 「旅人」ってむしろバルサに相応しいような気がしてたけど、読んで納得。確かにチャグムはこれから世界に旅立っていくんだわ。はじめて触れた外国の為政者の姿、外から見るあまりにも小さな自国の姿は、まだ14才で父帝に疎まれ、王家の中の後継者争いから暗殺の危険も常に身に負っているチャグム自身の寄る辺なさと相まって、とてもとても堂々たる船出とはいかないけれど、国のために民が駒のように死なないで済むような王になりたいという思いがチャグムの中に確かに芽生えた旅立ちなのだ。自分で言うようにそれはとても幼くあやうい資質だけれど…そんなチャグムだからこそできる何かがあるんだと思う。

 バルサたちは王宮でのチャグムになにもしてあげられないし、味方といえるのはシュガくらい。だから今回サンガルの王子・タルサンとの友情はホッとするものだったんだけどね~。バルサと関わりの深い「王の槍」たちとも誼を結べそうだったし、北の小国の皇子にすぎなかったチャグムの世界が広がって、王や国の論理を超えた為政者へと成長していくのかなと思える予感になんともわくわくしたんですが。…えええっまさかこうなっていくとは<シリーズ次巻。タルサンとも再び会えることはあるんだろうか…無事でいろよー。

虚空の旅人 上橋菜穂子(偕成社)



novel | 上橋菜穂子
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虚空の旅人 上橋菜穂子
新ヨゴ皇国の皇太子チャグムが、シュガとともに向かったのは、ヤルターシ海のサンガル王国だった。新王の即位の儀に招かれたのだ。ところが... …
2010-10-04 Mon 18:49 粋な提案
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