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読書の欠片ネタバレあり
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蒼路の旅人  [Edit]
2006-08-03 Thu
 この前にバルサの「守り人」シリーズが一つあるんだけど飛ばして、続けてチャグムの「旅人」シリーズを。今のところは去年刊行されたこれが最新刊なんだけど、近々続きも読めそうです。秋から「天と地の守り人」三部作が順次刊行予定とのことで、「守り人」シリーズだけどバルサとチャグムの話が交わりラストに向かっていく、一応シリーズ最終巻になる…のかな、多分?

 15才になり才気と人を惹き付ける若々しい改革の息吹を感じさせる若者に成長したチャグムだけど、反面親子関係や王宮での派閥争いは悪化。「虚空」でタルシュ帝国に攻められたサンガル王国も落ち、これまで他国との戦いと無縁だった北の大陸の国々にも嵐がやってくる。そしてチャグム自身も捕虜としてはるか南の大陸・タルシュ帝国の大きすぎる力を目の当たりにし、国と民を背負わざるを得ない嵐の中に飲み込まれていく…

 しょっぱなからシュガとも離ればなれになり、数少ない味方だった祖父をもなくしてしまうチャグムは、たった独りで嵐の中に立たされるのだ。捕虜となった最初にはかつて暗殺者として自分の命を狙ったジンが、航海の間はタルシュに征服されたヨゴ国の出身でありながら密偵として生きながらえているヒュウゴや元サンガルの海賊船の「船の魂」セナが少しは支えになってくれるけど、それでもチャグムの肩に乗っているものを誰も肩代わりしてはあげられない。最後の時がきたら、もう何に縛られることなく懐かしい異世界・ナユグへ行ってしまえると憧れ、でも逃げるなと言われればこれから嵐に呑まれるだろう祖国や民のことを考えないわけにはいかないチャグムがホントに孤独でかわいそうっした;

 そして最後に選んだ道もまた孤独…。旅人というよりももはや流浪の民だよ。でも与えられた国で王になることも、父や弟を殺すことも、民を戦に駆り出すこともチャグムが望む未来じゃないから。たとえ無謀でも今まで決して自分で自分の道を選べなかったチャグムが初めて自分で選んだ道なのだ、これは。皇子であることを捨てながら、国と民を守ること。美しく生命に満ちた水が呼ぶ声に背を向けて、血と炎の匂いに満ちたみにくい人の世を、はるかに旅していくこと…。

 王への道を捨てたチャグムだけど、この道の先には回り道して再び帝になる未来が待ってるのか?それとも辿り着くのはナユグの世界なのか?そして今は別々の道を歩いているバルサの道と交わる時がくるのか…きてほしいですねえ。それから今回出て来たヒュウゴも気になる人物です。少年時代の番外編の予定があるみたいだけど、この後どんな道を辿るのかも知りたい。この後もチャグムと関わることがあるかしら?次の三部作が待ち遠しいですー。

蒼路の旅人 上橋菜穂子(偕成社)



novel | 上橋菜穂子
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