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読書の欠片ネタバレあり
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村田エフェンディ滞土録  [Edit]
2005-06-18 Sat
 時代は明治の終わりから大正にかけて、土耳古(トルコ)政府から招聘され公費で考古学研究をする主人公・村田が下宿するスタンブールの家には理性的で公平なイギリス人の女主人、陽気なドイツ人のオットーやもの静かなギリシア人のディミィトリスに信心深いトルコ人の召使いムハンマドが集い、穏やかに、時に賑やかに日常が営まれている。冒頭ムハンマドが鸚鵡を拾ってくるところからすぐに100年前の異国の風情やゆったりとした時間が感じられて引き込まれてしまった。物語のほとんどはごく何気ない毎日を綴ったもので、絶妙な間の手を入れる鸚鵡に笑ったり、宗教や文化の違いから感じ方や考え方が違い、その全てを理解はできなくても少しずつ尊重しあったり、盗賊に襲われながら日本からやってきた研究者を看病したり、発掘現場から持ち帰った土着の神と日本の稲荷がケンカしたり。そんな中徐々に第一次世界大戦前の影が見えてきたりもするのだけど、村田自身の性格もあって本当にごく穏やかに日々は過ぎていくのだ。

 けれども、だからこそその日々が後になってどれほど貴重な、優しいものだったかが分かるんだよね…。ヨーロッパがキナ臭くなって期間終了を待たずに慌ただしく帰国することになった村田の元に、やがてディクソン夫人から彼らの消息を伝える手紙が届く。そして海を渡ってきた鸚鵡と。最後の鸚鵡の一言にはホントに泣かされたよ。国とは何か?自分にとって確かなものとは何なのか…。滞土中起こった大きな事件を描いたわけでなく、声高に何かを主張する話でもないのだけど、淡々と綴られた中にいろんな思いを感じる余地があるのがすごくよかった。心に残ります。

 村田が日本に帰ってきて「家守綺譚」の綿貫と友人であったことがわかるわけですが(いやそういや出てきてたよ…そして家守の時代も特定できるわけね)。綿貫も相変わらずだし高堂もゴローも息災で何よりです(笑)…というわけで、読む順番は家守→村田がオススメですv

村田エフェンディ滞土録 梨木香歩(角川書店)



novel | 梨木香歩
CM:2 | TB:2 |
<<ごくせん番外地 | 日々是好日 | 6ステイン>>



Comment
 banriさんこんばんは。また、TBさせていただきます。絶妙のタイミングの鸚鵡の「友よ!」にもやられましたが、ムハンマドの死骸にとまっていた鸚鵡を発見したオットーを想像すると、また胸に迫ります。
「家守綺譚」もよかったですが、「村田エフェンディ…」の人種や信仰がちがっても、繋がり分かり合うことは隔たりがない。というラストはよかったです。
2006-07-10 Mon 21:20 URL | 莉絵 [ edit] |
★ >莉絵さん
莉絵さん、こんばんは~お寄りくださってありがとうございます。
鸚鵡にはほんと泣かされましたねえ。信仰や国が違い、情勢が変わっていってもやっぱりその一言で表せる関係が確かにあったわけで。
違いは違いとしてちゃんとあるのが却って深いというか、「それでも…」と思えるのが響いたのです。
口に出さなくても伝わる想いみたいのがよかったですねー。
2006-07-11 Tue 21:45 URL | banri [ edit] |
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村田エフェンディ滞土録
「家守綺譚」に登場する土耳古(トルコ)に考古学研究のため留学している村田を主人公にした、土耳古滞在録。エフェンディとは、おもに学問を修めた人物に対する敬称で、先生に近い意味。時代は明治32年、この年代なのはのちに重要な意味を帯びてくる。「家守綺譚」の綿貫は …
2006-07-10 Mon 19:10 白露書房
本書の主人公である考古学者の「村田」は、【家守綺譚(いえもりきたん)】の主人公「綿貫征四郎」の友人。 家守綺譚梨木 香歩 (2006/09)新潮社 この商品の詳細を見る綿貫が日本で物書きとして地味に(そして河童やキツネ …
2006-11-10 Fri 16:36 ぱんどら日記
| 日々是好日 |
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